ビール業界世界最大手のABインベブのアジア太平洋部門子会社である、百威亜太控股(バドワイザー・APAC)。2019年9月の香港上場からわずか1年でハンセン指数入り。
目次
サマリ
百威亜太控股(バドワイザー・ブリューイング・カンパニー・APAC、バドワイザー・APAC)はビール大手、アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)のアジア太平洋部門子会社である。2019年7月15日に、市場環境の悪化を理由にIPOを一時断念を公式発表したが、再度検討に入り、2019年9月30日に香港上場を果たした。香港市場での2019年の調達額はアリババに次ぎ、第二位の規模であった。
グループでは50を超えるビールブランドがあり、Budweiserはもちろんのこと、Stella Artois、Corona、Hoegaarden、Cass(韓国)、Harbin(中国)などが含まれる。
バドワイザーはアジア太平洋地区に62の醸造工場を持ち、そのうち30が中国にある。特に中国広東省仏山醸造工場は、世界で最大の醸造工場である。ABインベブは中国のハイエンド・超ハイエンドのビール市場でシェア4割を目指す。
中国では販売額でトップ、プレミアム及びスーパープレミアム分野では販売額、販売量ともトップ、韓国では販売額、販売量ともトップ、インドでは販売額、販売量ともトップ3に入り、プレミアム及びスーパープレミアム分野ではトップ、ベトナムではプレミアム及びスーパープレミアム分野で販売額、販売量ともトップの位置を占める。
特徴
筆頭株主:アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ) 約87%
親会社のABインベブが支配的株主であるが、アジア太平洋地域のオペレーションは全てバドワイザー・APACが担うこととなっている。少数持分の株式公開の理由として、①世界最大級のビール会社への直接投資を可能にすること、②アジア太平洋地域でのM&Aの機会を柔軟にすること、③より地域に根差したオペレーションと意思決定を実現すること、④より地域に根差した人材を確保すること、を挙げている。
配当利回り:1%
外部格付け:S&P A- / Moody’s Baa1 / フィッチ BBB (親会社ABインベブ、2021年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 1876 BUD APAC
最近のトピック
2016年にSABミラー社(当時、世界第二位のビールメーカー)を買収したことで世界第一位を確立したABインベブであったが、負債の規模は1,000億ドルに上っていた。2019年7月のIPO中止は約100億ドルの調達を予定していた同社にとって債務返済計画への大きな打撃となった。
その影響もあってか、ABインベブは、アサヒに対して豪ビール最大手、カールトン&ユナイテッドブリュワリーズを113億ドルで売却した。
ABインベブとしては、新型コロナウィルスの影響でバーやレストランの休業が幅広く見られ、2020年の業績見通しは大幅に悪化することとなったが、中国を始めとして回復の基調が見られている。
2020年12月7日、スワイヤー・パシフィックに代わり、ハンセン指数の構成銘柄に採用された3つの銘柄(Meituan, Budweiser, Anta Sports)のうちの一つ。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。