誰でもできる投資、パフォーマンスの良い投資…オルカン投資に登場する文言も過去に一世を風靡した投資とあまり変わらない気もしてくる。ここから得られる投資のエッセンスについて考えてみたい。

オルカン投資とは何か

オルカンとは、オール・カントリーの略で、資産運用の世界では、一つのファンドを購入すれば、全世界の株式に分散投資できる、というコンセプトです。全世界といっても、実際には、全ての国に投資をできるわけでも、それぞれの国に均等に投資をできるわけでもないですが、先進国、新興国を含めて国際分散投資ができる、という意味では間違っていません。

オルカン投資のメリットは何か

資産運用の勉強を少しすると、アメリカの資本市場が巨大だとか、アクティブ/パッシブな運用のスタイルがあるとか、先進国は経済成長が落ち着くだとか、一般的なことは分かります。一方で、ご自身の投資の選択肢に関して言えば、何か絶対信じられるものがあるわけでもなく、でも失敗したいわけでもない、とすれば様々な可能性にまんべんなく投資しておくのが良いと考えられます。

特定の企業、市場、業界、あるいは国に固執、肩入れすることなく、単純に投資の成果(リターン)をご自身の生活に取り込みたい、という人にとっては貴重な選択肢の一つではあります。

また、自分で一つ一つの投資先を見て、少しずつ積み上げていき、自分なりのオルカン投資を最終構成する(DIYする)ことはもちろん可能ですが、それほどの時間と労力をかけることは容易ではありません。かといって、オルカンのファンドが費用として高いわけでもありません。初めからオルカンの一つのファンドにしておけば、あとは自動運転なのであれば、コストパフォーマンスとして悪くない、と考える人もいて当然でしょう。

オルカン投資は“安全”なのか

投資にリスクはつきものです。であれば、オルカン投資も投資と銘打つ以上はリスクがあるわけです。残念ながら今まで一円たりとも資産を失いたくないと思っていた人が飛びつける奇跡のような投資ではありません。

オルカン投資とて、大切なのはリスクとリターンについて理解することです。逆に言えば、投資が初めてなのであれば、オルカン投資において語られるリスクとリターンについて勉強すれば多くのことが分かる、とは思います。

だからといって、オルカンが投資初心者向けなわけではありません。投資に対する敷居が低く感じるならばそれはいいことかもしれませんが、必要に応じてアドバイスを受けることが肝心です。

オルカンは特定のファンドを指しているのか

オルカンが特定のファンドのニックネームのように思っている人がいますが、全世界の株式に投資をする、あるいは株式のみならず全世界の様々な資産に投資をするという手段を提供しているサービスは実はたくさんあります。

オルカンとは投資のエッセンスを集めた一つの投資アイデアである、と考えた方がいいでしょう。あるファンドが一時期パフォーマンスがよくもてはやされる(そして廃れていく)のと同じく、オルカンからもまたエッセンスをそこから学び、活かしていく必要があるわけです。

オルカン vs. S&P500で悩む意味は何か

業界の定番ネタなのでしょうが、やはりオルカン(全世界株式)とS&P500(米国上位500銘柄)ならどちらがいいか、と聞く人はいます。どちらもいわゆるインデックス投資の代表格のように語られているからです。過去のパフォーマンスも良いものが残っていて、ウケがいいというのはあるのでしょう。

インデックスとはある一定の篩にかけられて残った企業群ですから、篩のかけ方がどちらが優れているのかを議論すること自体は否定されません。

ただ、過去にはその篩のかけ方が上手かった運用マネージャーのことをアクティブだと呼び、そしてアクティブファンドは数年経って、運用の世界から消えていった、だから今度はインデックスなのだ、という構図です。確かにトレンドはある一方で、インデックスもまた運用のコンセプトの一つにすぎないことは理解しておくべきでしょう。

一周回って自分に戻るべき

世の中で他の人がどのような選択をしているか、人気があるか、成功を収めているか、知りたいという気持ちは当然誰でもあるでしょう。特に専門性を持たない投資分野ならなおのことです。

でも、多くの人にとって投資はあくまで手段であって目的ではありません。手段に振り回されないことが大事だし、目的が達成されることの方が大事なのです。

目的を達成するにはどのような手段を選ぶのが良いのか、と考えるなら、ところでその目的とは何だったのか、恐らくぐるっと回って自分のところに戻ってくることに気づくのではないでしょうか。

それこそがあなた自身が最も時間と労力をかけて考えるべき、そしてあなた自身が考えなければ誰も考えてくれない分野です。それ以外は誰かに任せるという選択肢が常にあるのですから。

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