一般の人々の資金を管理するプラットフォームとして、銀行は政府に厳格に協力する義務があり、さらにはマネーロンダリングやその他の活動に対して共同で対処することも義務付けられています。その中でも最も厳しい利用制限や口座凍結は、口座所有者が資金を引き出したり送金したりすることができなくするものです。状況によって対応は大きく異なる可能性があり、なぜ銀行が口座を凍結するのか疑問に思う人も多いでしょう。

銀行が口座凍結・閉鎖する理由

例えば、香港においては、一般的に言えば、すべての銀行資金は基本法第 105 条によって保護されています。この条項には、「香港特別行政区は法律に基づいて、個人および法人の財産の取得、使用、処分および相続の権利を保護するものとする」と定められているのです。なんだか当たり前のような気もします。

にも関わらず、口座所有者にとってさらなる注意が必要なケースは依然としてあり、銀行が口座を凍結する理由は以下のようなものがあります。

マネーロンダリングの疑いがあると判断した場合

実際にマネーロンダリング活動に関与していなくても、口座に不審な取引記録があることを警察が発見した場合、口座が凍結される可能性があります。

例えば、あなたの口座に不明な出所からの大規模かつ頻繁な送金があった場合、警察はその資産が「マネーロンダリング」によるものであると疑い、銀行に一時凍結を申請することになります。関連する資金及び、開設された銀行口座が対象となり、必ずしも直接関与している場合とは限りません。

実際、マネーロンダリングの疑いがある場合には、銀行が事前に顧客に確認し、疑いが晴れない場合には口座を凍結します。ただ、証拠が不十分な場合、裁判所は関連する銀行口座の凍結をいつまでも継続することを許可しませんので安心してください。

政府から口座凍結の指示が出た場合

もう一つの凍結の可能性としては、テロ対策法等に基づき、国家安全維持を前提に銀行が犯罪に関与した疑いのある人物の銀行口座を凍結することも考えられます。

この場合、本人の口座が凍結されるだけでなく、利用制限や没収、関連資産の没収などが行われる可能性があります。ただ、没収もあり得るとなると既に国家レベルの話なので、一般の人々にとってはあまり関係のない話ではあるのかもしれません。

銀行口座を長期間放置する

もっともよく見るのは、銀行口座を長期間放置した結果、口座が凍結される場合です。銀行により期間は異なりますが、利用しなければ凍結されるのが普通と考えていいでしょう。残高を動かしたりした形跡がなければそもそも利用する予定のない口座とみなされるからですね。

このレベルの凍結では店頭取引が利用できなくなる可能性があり、一部の銀行では店頭引き出し・預け入れサービスを限定的に認めています。このような状況では、本人確認書類を銀行に持参して直接凍結解除手続きを行うことになります。

口座所有者への連絡の未達

銀行は定期的に口座情報を更新し、口座所有者に確認の連絡をする必要があります。この手の電話に関しては突然かかってくるのでセールスの電話と勘違いすることもあり得ると思います。それに外国語で話すのを躊躇って、知っていながらも電話に出ない人もいるかもしれません。

銀行から何度も連絡をしても長期間返答がない場合は、銀行が口座を凍結してしまう可能性があります。

上記と同様に、銀行に直接行って情報を更新すれば、凍結を解除できます。

申告された口座利用目的が実際のものと一致しない

その場で答えた後忘れてしまう人も多いかと思いますが、口座開設する際には、本人確認や住所確認以外にも、口座開設の実際の目的や利用頻度などを聞いていますよね。しっかり記録に残っているんです。

口座内の資金や口座の用途が当初の申告と異なることが銀行に判明した場合、銀行は口座を凍結する理由が生じます。

異常な取引の場合は、取引拒絶や取引前確認が行われ、すぐに適切に対応すれば凍結に至らないケースも多いです。

万が一口座凍結や口座閉鎖に至ったら

口座凍結になったと思われる場合、まずは銀行に連絡をすることになるでしょう。ただし、電話やメールなどで事態が完全に解決することはまずありませんので、早めに銀行本支店に直接出向く必要があることを認識しましょう。どんな経緯であれ、銀行が本人確認作業を行い、該当取引(あれば)の詳細を把握し、今後の口座利用目的を知る必要があるからです。なお、口座凍結してしまった時点で、既に銀行担当者だけで解決できる状態ではなく、コンプライアンス部門に面談内容を共有し、凍結解除の許可を仰ぐことになると考えられます。

単純に長期間にわたって口座の利用が確認できない場合、あるいは口座凍結への対処を懸命に行っても、結果として口座閉鎖になる可能性はあります。銀行としては極めて厳しい対応であることに変わりはないので、実際にこの決断が下された場合、覆すことは難しいと言えるでしょう。口座所有者としては、口座閉鎖の通知を一方的に受け取り、今後の対応を促されることになります。銀行残高に関しては、何もしなければ小切手で払い出されるか、指定することで別の銀行の口座に送金するといった可能性が考えられます。閉鎖理由によっては、閉鎖前に、制限を受けた状態でも、自ら残高移動する猶予期間を与えられることもあるかもしれません。

大切なお金を預けている銀行だからこそ、突然の凍結や閉鎖の対応に納得できないということはあるとは思いますし、利用者として不安になることもあると思います。ただ、銀行がわざと嫌がらせのようにやっているわけではなく、各種法令への対応という銀行側が外部から課せられた義務によるものが原因だということは理解しておくべきでしょう。そして銀行の利用者として、銀行の法令遵守に協力することは義務であり、それは利用規定や約款などにきちんと記載があります。

ここに個人の意見を差し挟む余地はあまりないですし、逆に言えば法令に則ったきちんとした手続きがあるので、それに合わせて落ち着いて丁寧に対応することが求められるわけです。海外の銀行口座は日常遣いでないことの方が多く、凍結解除や口座閉鎖はときに作業として大変な場合もありますが、大切なお金だからこそ、投げやりにならずに根気強く解決しましょう。

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