香港最大の地場銀行とも言える恒生銀行(ハンセン銀行)。HSBCグループの中で、香港市民の最も身近な銀行の一つとして堅実な経営を続ける。

サマリ

恒生銀行(ハンセン銀行)は1933年から営業を開始した、香港で最大の華人系銀行である。その後、1960年代の香港では銀行業の膨張と銀行間競争の拡大を背景に、銀行危機が相次いで発生し、銀行システムの改善のために銀行条例導入に向かった。当時は、イギリスの貿易会社ジャーディン・マセソンの上場などで株式市場が空前の活況となり、代わりに預金が多く引き出されたことも一因となった。

1966年の銀行条例導入前、1965年にハンセン銀行では取り付け騒ぎが発生し、破綻しかけた際に、香港上海銀行が過半数株式(51%)を取得して救済したため、現在はHSBCグループ傘下にあり、リテール部門を担っている。1972年には香港証券取引所に上場を果たした。また、1981年に地下鉄(MTR)での支店営業を許可されたこともあり、香港内ではどこの地下鉄の駅にもハンセン銀行のATMは必ずといっていいほどある。

香港以外では中国本土、マカオ、シンガポールなどに営業拠点がある。中国本土で事業の本格化は1995年の広州支店開設に始まり、現在も広東省や華南地区を中心に展開している。

特徴

筆頭株主:HSBC ホールディングス 62%

1965年の救済以来、HSBCは筆頭株主を継続しており、持分も徐々に増加させている。

配当利回り:5 – 6%程度

外部格付け:S&P AA- / ムーディーズ  Aa2 / フィッチ AA- (2021年11月時点)

株価推移

TradingView提供チャート 11 HANG SENG BANK

最近のトピック

金利が市場最低水準で推移し、利ざやを圧迫する環境が続いているものの、ハンセン銀行は金利収益の安定資産を積み上げて来ており、過去10年の経営は比較的良好に推移。中国本土との大湾区構想(GBA構想)の中でも、個人富裕層向けのウェルスマネジメントサービスの提供が期待されている。

一方で、MoxやZhongAn Bankなど、香港でのバーチャル銀行誕生による競争激化、業界再編にはやや注目が集まっている。HSBCやハンセン銀行をはじめとする主要行はバーチャル銀行を意識して、各種の手数料廃止へと舵を切っているとも言われる。

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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。

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