2024年、予想された通りに多くの国は利下げに向かったものの、市場の期待が膨らんだり萎んだりせわしい一年だったように思います。それでも大きなショックに見舞われることはなく、年を越しました。
ここ数年の特殊性から2025年は予想を立てるのに難を感じている投資家も多いことでしょうが、先行きに触れながら考えてみたいと思います。
目次
2025年のメインシナリオは?
2024年は市場の期待が膨らんだり萎んだりと忙しかったと書きましたが、一方で変動率が過度に高まることなく市場としては比較的大人しい一年でした。したがって、この1年で投資とはこのくらいのリスク、と認識するための指標としてはあまり適切ではありません。
インフレの高止まり
さて、本題に話を戻しますと、2025年のメイントピックはインフレ動向でしょうか。これまで、高いインフレを沈静化するために高い金利を設定してきましたが、それも一旦落ち着く見通しとなり、各国は利下げに動きました。ただ、ここにきてインフレがそれほど落ち着かない可能性がある、ということで、政策変化を予想する向きが強いです。
米国の政策転換や地政学リスクはまだはっきりとした道筋が見えているわけでもありませんが。大きなトレンドが生まれるくらい視界良好になることもありそうな気がする一方で、また期待と現実に振り回されるだけの一年になる気もします。金融市場はやや身構えている、と考えていいでしょう。
各国中央銀行の動き
金利は大事である、という認識がここ数年で投資家の間でもだいぶ広まったと思いますが、実際金利は社会の様々なプレーヤーの行動を変えていますよね。先行きの金利が高くなると思えば早めに固定金利で借入を進める人もいれば、借入自体を足踏みしたりする人もいる。預金でもある程度お金が増えていくのでリスクのある投資を避ける人もいれば、それ以上の期待リターンを求めてせっせと動く人もいます。
ざっと各国中央銀行の動きを見渡すなら
- そのまま〜利上げ → 日本
- そのまま〜利下げ → 米、欧、英、豪、スイス、中国
となります。
うちスイスや中国は既に低金利に突入しており、下げの余地は大きくないと想定されます。また、日本に関しては諸外国と反対に利上げ方向ですが、急激に利上げすることが想定されているわけではないですし、今はそもそも十分な低金利です。米、欧、英、豪の利下げレースの順位がどのように推移するかがキーかもしれません。
金利が高いことはその国への資金流入が増え、通貨の価値を高めるとも考えられていますが、一方で、金利が高止まりすることで財政は確実に悪化しますから国としての信頼度が低下すれば通貨の価値は低下することにも繋がるとされます。トルコやブラジルは高金利として目につくかもしれませんが、インフレも高く、通貨価値としては脆弱だということでもあります。
2025年のブラックスワンは?
ブラックスワンはそもそも当てられる性質のものではないですが、左を向いていた人たちが一斉に右を向くようなイベント、と考えると想像はできます。2025年のブラックスワンとしてプラザ合意の再来を指摘しておきましょう。(次点としてAIの暴走を考えましたが、月並みなのでやめました。)
プラザ合意というのは、1985年9月、国際協調によるドル高是正が行われたものを指します。トランプ政権に移行すればドル高が進むと予想する向きは多いです。実際、強い米国を掲げるトランプ氏が単に米ドルが弱くなることを望むとは考えにくいでしょう。ここでブラックスワンになり得ると想定するのは、米ドル全面高に米国が耐えられなくなるシナリオではなく、米ドル全面高に米国以外が耐えられなくなるようなケースです。
各国はできるだけ為替介入で凌ぐことを考えますがどこかに限界があると言えます。したがって、ここではトランプ氏の嫌いな国際協調の出番であり、米国にとっては為替以外で他国に何らかの譲歩条件を突きつけることができたらディール成功というわけです。
過去のプラザ合意なら国際合意による揺り戻しはさすがに影響が大きく、トレンドを急激に反転させ得ます。ここにソフトランディングを求めるのは少々無理があるでしょう。トランプ氏就任1年以内に起こるような話ではないのかもしれませんが、今年のブラックスワンとして挙げておきましょう。
手堅い投資?積極的な投資?
年末年始、色々と考えてみてはいたのですが、今年はかなり難しい年になりそうだな、と思っています。
数年前のように買うものがないわけではないのは幸いだとしても、買ったものが値上がりすること以上に、いかに変動などのリスクを低減していけるかに神経を使いそうです。市場から自分が退出せざるを得ない状況を作らないこと、は非常に大事です。とりわけ投資家はここ数年で期待に反して良い相場を経験しており、安全バーを低く設定してしまいがちな可能性があるからです。
一方で、ここ数年の中では積極的な投資に資金を振り向けやすい環境であるのも確かなのかもしれません。市場期待は現実を先回りしています。視界良好になった頃には高値掴み、ということもありますから、割高、割安には十分気をつけて取り組みたいものです。