2023年末、各国の金融政策は再び大きな転換点を迎えました。急速な利上げに投資家が振り回された一年であったと言えるかもしれません。

いや、転換点と勝手に思っているのが、果たして本当にそうなのか、2024年の先行きに触れながら考えてみたいと思います。

2024年のメインシナリオは?

2023年は多くの投資家にとって想定と違った結果をもたらしたことでしょうが、悪い結果だったという人は相対的には少ないのかもしれません。投資家の多くは、プラスのリターンで終わればそれが6%だろうと7%だろうと細かな差だと認識しやすく、0%やマイナス1%だと大きな差だと感じやすいというのがあります。実際には、世の中の物価も大きく動いているので、3%でも残念ながら喜ぶべき数字ではないはずなのですが。投資の世界にも(試験のような)点数だけでなく標準偏差のようなものがあれば案外分かりやすいのかもしれませんね。

さて、本題に話を戻しますと、2024年のメイントピックは利下げになることは間違いなさそうです。確かに今はインフレを沈静化するために長期的な水準よりも高い金利を設定しています。ただ、それが2024年だけをとってみればメインシナリオなのかは慎重に考えざるを得ません。利下げという事実だけにとらわれ、それがさもリーマンショックの後のような極端なゼロ金利環境と近似しているかのような認識になってしまってもいけません。そして利下げを所与の条件のようにして投資に取り組んでしまってもいけません。将来は極めて不確実である、ということを忘れないようにしたいものです。

なお、2024年11月には米国の大統領選挙があります。4年前も、どちらの候補が勝ったらこうなる、というシナリオについて聞かれることはありましたが、そういった「賭け」をするかは投資活動の性質を大きく変えることになり得ます。(ダメだ、とまで言うつもりはありませんが、一つの要因について結論を出したところで、別の要因でも市場は動く、ということを忘れがちだからです。)

2024年のブラックスワンは?

ブラックスワンというだけに、想定外のショックが起こるものを考えなければならないわけですが、あえて挙げるなら国家債務問題の発火でしょうか。コロナでも先進国、新興国ともに公的債務は今まで以上に大きくなっています。あるいは戦争を通じても。この事実に関しては、経済学者でも見解が分かれるものですが、私はあくまでマーケッター(市場参加者)として見るとして、信用不安を呼び込み得るかという点だけで言えば、あり得ると思っています。

一般企業を発端とする債務デフォルト問題とは別に国家の債務問題は発火点は本当に突然である可能性が高いです。必ずしもデフォルトをする必要はありません。その際に起こるのは、国債利回りの上昇であり、それは利下げと同時に起こる可能性も十分にあり得ます。国家の信用不安はひいては発行通貨への信頼失墜、高インフレとなって返ってきます。つまり、利上げを急ピッチで進める必要が生じることになります。

投資環境として良いのか悪いのか

2024年に投資家が獲得すべき最も大きなスキルは、投資対象を横断的に見ることだと思います。投資環境として2024年は良い方である、と個人的には思いますし、恐らくそれに似た論説もそれなりに目にするでしょう。

少し前のようにTINA、すなわち代わりに投資するものがない状況は脱していますから、目の前に現れる投資機会が魅力的に見えやすい性質を帯びます。ただし、それは「相対的に」より魅力的であることを必ずしも意味しない、ということです。もちろん他に目移りしなければ気付くこともないわけですが、同等のリターンでリスクがより低いものがあるならそれを選ぶのが賢明な投資家であると言えます。

2023年の展望でも触れたとおり、引き続きインフレ環境下では、投資をしないという選択肢が最終的にもたらす帰結について理解しておく必要があります。過度なリスクテイクをしたくない、という方にとってはその中でもインフレに打ち勝つだけのリターンを求めていくことが大切です。

最後に

ここ数年は債券も株式も相関が高かったこともあり、分散投資ポートフォリオで良かった、という感想を得るのは難しかったかもしれませんが、徐々に金融市場は正常化に向かっているとは考えられます。

これまで得た知識と経験はもちろん貴重ですが、それが冷静な判断を阻害することはプロの世界にも存在します。

ご自身の中で、どのくらいの金額でリスクを取り、どの部分はリスクをとってはいけないのか、理解しながら進んでいければ、より多くの選択肢に出会うことができるのかもしれませんね。

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