プライベートバンクを複数利用する人のなかには、「彼らの提案なんて金太郎飴のようだ」、つまりどこを利用しても同じだと感じる人もいるようですが、果たして本当にそうなのでしょうか。プライベートバンク選びにおいて重視しがちなポイントと、実際に重要になるポイントはどこかを知り、失敗しない方法をとりたいものです。

プライベートバンクを選ぶ際に気にしがちなポイント

まずはプライベートバンク選びを検討する方が、チェックするであろうポイントについて考えてみます。

企業ブランド

プライベートバンクにも色々あり、プライベートバンク事業だけを行っているところ、リテール(一般顧客)事業も行っているところ、米系、英系、スイス系、など、企業ブランドが気になります。有名なところがいい、と思う人もいるかもしれませんし、知る人ぞ知る老舗のようなところがいいという人もいるでしょう。企業の歴史について聞いてみることは役に立つかもしれません。

世界的にはネームバリューがあっても、その地域では新しい、あるいは撤退の余地がある、ということであればそれもまた検討の材料にはなるでしょう。ネームバリューは弱くとも、独立系のプライベートバンカーの方が小回りの利く対応ができることもあります。

最低預入金額

1円からでも利用できるプライベートバンクというのは残念ながらありません。一定以上のサービスを提供することを前提としているからです。多くの場合は最低預入額が日本円にして1億円となっていますが、近年は2億円や5億円といったより高めのハードルを設定し差別化を図るプライベートバンクもあります。

なお、最低預入金額は企業としての受け入れ最低額であり、プライベートバンカー個人の平均顧客とは異なっているケースがあり、最低預入金額で口座開設をしても満足のいくサービスを受けられない、ということもあり得ます。

資産運用サービス

日々の資金決済や借入などは一般の銀行でもできるので、プライベートバンクに求めることは洗練された資産運用サービスである、という人は少なくないでしょう。実際、資産家向けに提供される商品と一般向けに提供される商品は異なっていますから、資産ができた場合、一般向けの市場から退出した方がいい場合もあります。

取引の規模が大きくなることは、したがって一人ひとりの顧客に割り当てられるリソースが増え、オーダーメイドのサービスを提供できる余地が増えるのです。資産運用において何か特別な期待があるのであれば、商品の種類、商品の幅、運用方針などを他社と比較する、あるいはセカンドオピニオンをとる、などで判断することも可能でしょう。

費用体系

提供される価値に応じてしっかりと対価を払う、というのは富裕層の発想にはありますが、とはいえ費用が高すぎてもいけません。プライベートバンカーとはビジネスライクというよりは私生活や家族のことにまで踏み込んで話す人もいますから、その分費用面の判断が弱くなることはあり、結果として本来の目的であった、資産を増やす、という点が疎かになる可能性すらあります。

付加価値サービス

プライベートバンクの重きは資産運用にある、とはいえ、資産運用であればどこででもできる、という意見もあるでしょう。その場合、付加価値として何が提供されるかを気にする人はいます。例えば、世界的なスポーツイベントでVIP席を用意されたり、ワインのオークションに招待されたり、プライベートラウンジの会員に入れたり、何がしか“特別扱い”を受けることは想定されます。あるいはプライベートバンカーを通じて、同じようなクラスの知り合いが増えることもあるかもしれません。

プライベートバンクを選んでから重要になるポイント

さて、顧客がプライベートバンクを選ぶのと同じように、プライベートバンク(プライベートバンカー)もまた、顧客をある程度見極める面があることは知っておくべきでしょう。気に入るところを選んでから重要になってくるのはそこです。

口座開設要件

当然ですが、プライベートバンクは金融機関なので、口座を開設する必要があります。この場合、口座を開設するにあたっての審査が伴います。一つは既に触れた最低預入金額ですが、他には送金先(Source of Funds)や資産の発生理由(Origin of Wealth)、身分確認(Know Your Customer)などがあります。近年はマネーロンダリングやテロ等犯罪へのチェックが厳しくなっているので、疑わしいと判断されないように証跡などを用意しておくことも大切になってきます。

他にも、現地に行って面接をしなければならない、他国の居住者を受け入れていない、などプライベートバンク毎にポリシーがあったりします。

担当者との相性

プライベートバンクの中には専属の担当者がつくところもあれば複数の担当者で対応するところもあります。法律や税金の話は外部のアドバイザー、投資商品の細かな話は投資カウンセラーなどが登場することはありますが、最も重要になってくるのはクライアントとの接点になる担当者であることは間違いありません。

企業ブランドでプライベートバンクを選んだところで、担当のプライベートバンカーとの相性が悪かった、ということも頻繁に起こります。長期的な付き合いになるからこそ、能力や知識以外の、性格などもプライベートバンク選びには欠かせない要素になり得るのです。

プライベートバンク選びで失敗しない方法

色々とポイントを見てきましたが、多くのことは口コミやインターネットの情報だけで判別できるものではありません。このブログすら一つの一般情報にすぎず、プライベートバンクを利用しようと思うのであれば、ご自身の目で見て、耳で聞いて、そして場合によっては足を運んで確認しなければならないものです。

プライベートバンクに関する情報は基本的に少ない、という点に注意が必要です。誰かから紹介されたからといってチェックが甘くなることのないよう、しっかりとした関係を築けるプライベートバンクを見極めていくことが、プライベートバンク選びで失敗しないための近道になるでしょう。

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