3月8日は国連の定める国際女性デー(International Womens Day、 IWD)とされる。ジェンダー平等を実現する動きにちなんだテーマで話をしてみたい。

共働きの夫婦は昔よりも増えたが、パートナーよりも給与が少ないとしたら、女性はどのように感じるだろうか。家庭の中での立ち位置はどうだろうか。稼ぎも多いとしても、家庭のことも子育てもこなすスーパーウーマンを求められていないだろうか。

とにもかくにも、日々の役割をこなすのが見るからに不可能な状態で過ごしている女性は多い。手いっぱいになることを察して、子育てに専念するという選択をする人もいるが、キャリアに穴があくことがどのような経済的損失をもたらすか、具体的に考えられただろうか。金銭的な保証がリスクにさらされていることに後になって気付く人も多い。仕方なかった、ではなく、その意思決定が短期的に、あるいは長期的にどのような影響をもたらすのかを知っておくことは非常に重要である。

子育てがファイナンシャルプランニングに与える影響

子育てには時間と費用がかかる。何もあなただけの出来事ではないので客観的なデータも探せばいくらでも出てくる。時間はともかく、費用は二つに分解できる。本来働いて稼げたであろう収入が育児休暇や退職で失われることによる機会費用、そして子どもというかけがえのない存在への投資費用である。

子育てが収入になる、というケースは稀であるがゆえ、お金は出ていく、そして想定より出ていく、の繰り返しになりがちである。結果として気づかぬうちに大きな負債を抱えてしまうことは少なくない。子育てから解放された頃には随分とマイナス地点から再スタートしていることに気付くことになる。

家庭のお金のことを夫婦のどちらがコントロールすべきか、というのは決まりがあるわけではないが、お金に関する意思決定とコントロールに関してより多くの部分を担えるようになった方が一人の人間としての安心感があるのは事実である。

稼いでいないから家計に口出しできない、女性だから資産運用に保守的であるべきだ、ということはない。個別具体的なお金の話になると夫婦で噛み合わないことも起こるが、お互いにそもそも寄って立つプランニングが存在しないから議論が拡散してしまっているだけかもしれない。

資産運用の目的は値上がり益だけでなく心の安寧

資産運用におけるリスクを損失である、と考える人は多いが、リスクとは上下両方であるからして、もう少しフェアに見るならば、資産の変動(ボラティリティ)である。分かったようで分からない。

人はお金に関して一体何をリスクと考えるのだろう。もっと広く定義をするならば、

生涯にわたって発生する消費に関する不確実性

であるともされる。つまり、生きていくなかで一体どこでどのくらいお金を使う(お金が減る)のかが分からないというものである。このリスクに直面したとき、人は心の安寧を失う。

なぜ自宅に火災保険をかけるのだろう。なぜ賃貸ではなく家を買うのだろう。なぜ子どもに英才教育を施すのだろう。

お金に関する意思決定はお金が出ていくものが多いが、一方で心の安寧が得られていることも多い。逆に消費をしたのに何も得られていなければ、やはりその意思決定を後悔している。でも、心の安寧は天からは降ってこないのだから、その意思決定をスマートにするしかない。

資産運用に求めているのは値上がり益なのだろうか。確かに資産が増えれば将来発生する消費に対しても備えることができる可能性は高まる。間違ってはいない。

一方で、将来発生する消費が何なのかは依然として明確化されていない。何か分からないもののために必死で稼ぎ、そして貯蓄をする。何かが達成できているようではあるが、不安は拭いきれない。いくら稼いでもいくら貯めても“足りている”という感覚にはなり得ないのはこのあたりである。

世の中の、今こそ資産運用を!株が下がったからこそ買い時です!のような言説に左右されることなく、まずは心の安寧に繋がるものは何なのかを突き詰めて考えることがまずは効果的である、と言えそうである。

資産運用の目的を問うて、「愛する家族のためです」と答えるならば、それに基づいて手段を選べばよいのであって、それは生命保険かもしれないし、特定疾病に対する保険かもしれないし、健康保険かもしれない。一見すると資産運用でないが、リスクは低減できている。そして資産運用で過度なリスクをとらなくてもお安く目的は達成できている、ということなのかもしれない。

家族が守られているかをチェックする

ウクライナの情勢が緊迫化して資産運用に絶好の機会が来たのか、あるいはこれから先長く続く景気低迷の始まりなのか、議論は尽きない。しかし仕事に家事にと悪戦苦闘しているあなたにとってやろうと思えばできることなのだろうか。多くの人にとってはそうではない。

経済情勢が変わって何か不安を感じたならば、その不安がどこからくるのかを考え、そして取り除くことに専念する。そのためにはあなたが今どのような状態に置かれているのかをチェックすることが先決である。何かあったときに利用できるお金はどこにあるか、何かあったらどのようなアクションをとれるか、何かあったら連絡すべき人は誰か、など、分かることを増やすことは間違いなく安心に繋がる。

そして、あなたは自分のことよりも家族のことを大事に思っているかもしれない。何かあっても家族が大丈夫でいられることはあなたにとって心の安寧に繋がるのではないだろうか。今、家族が守られている状態にあるのか、チェックすることは確実にとれるアクションである。

ファイナンシャルアドバイザーと苦楽をともにする

ファイナンシャルアドバイザーのことを、お金を持っている人に営業をかける人だ、と認識している人はいる。だから、「私はお金を持っていないので」「お預けするほどの資産はないので」という断り方をする人がいる。

綺麗事のように聞こえるかもしれないが、金銭的な苦境や悩みというのは、お金のあるないではない。田舎で細々と暮らしていてもしっかりとお金のマネジメントができているなら不安はないし、都会で豪華な生活をしていてもお金のマネジメントができていなければ終始不安に駆られる。

ファイナンシャルアドバイザーと付き合うことで、失敗しない人生を歩めるかというとそうとは限らないとも思う。挑戦する人を応援することも仕事の一つではあるし、あるいはそもそも人生には良い出来事もあれば悪い出来事もある。

人間誰しも、目先のことと長期的なことを同時に考えられるほど器用ではない。長く付き合っているファイナンシャルアドバイザーから声をかけられたなら、それは立ち止まって考えるべきチェックポイントなのかもしれない。

ファイナンシャルアドバイスが重要な理由

社会で活躍する女性になればなるほど、自らの金銭的未来に対するコントロールができるようになりたいと考える。海外で働くことを決心したのは、あるいはジェンダーに左右されない人生を歩むための一歩だったかもしれない。

しっかりとしたプランニングにのっとった目標に対して整合的な金融サービスを受けていることは必ずより良い方向に向かわせてくれる。全てを自分だけで解決しようと思わず、プロフェッショナルな金融アドバイスを受けながら、公私ともに充実した人生を目指してみてはいかがだろうか。

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