そもそも、サステナブル投資とは、経済・環境・社会のそれぞれに配慮した上で、持続可能な投資のことです。
実際には、ESG(環境、社会、ガバナンス)やSRI(社会的責任投資)、スチュワードシップ、など様々な用語が飛び交っています。使う人によって意味が異なりうる状況ではありながら、サステナブル投資はもはやニッチな領域、あるいは一部の人だけが叫ぶ戯言ではなくなってきています。
今回は、個人投資家にとっても選択肢として挙げられるようになってきた、サステナブル投資において目指すべきものは何なのか、を考えるきっかけを提供してみたいと思います。
目次
エンゲージメントを通じた企業へのインパクト
理想を言うなれば、はっきりとした意思表示でもって企業行動に影響を与えることも考えるべき、ということにはなります。これはエンゲージメントと呼ばれるもので、結果として企業へのインパクトを生み出します。そのため、インパクト投資とも言われます。巨大な投資家であればこれは十分に実現可能です。
一人ひとりにできることをやっていく、その投資家としての意思表示としてよりダイレクトな活動は意義があるでしょう。事業投資やあるいはビジネスそのものでも実現できるものがあります。あるいは一人での力が小さいということであれば、インパクト投資のマネージャーを選別することでも構いません。
サステナビリティを所作に自動的に組み込む
多くの個人投資家にとっては、何となくサステナビリティが高そうな企業に投資する、ということになっています。
ESGを標榜するファンドも多数登場してきており、違いは判別しづらくなっているからです。実際、サステナビリティ評価をめぐっては様々な指標がありますから、外部機関の格付けを利用することですら十分とは言えない状況であることは知っておくべきでしょう。
しかし、サステナビリティを時間をかけようとかけまいと、そもそも自分で評価できない以上、一体どうすればいいのか、多くの人はここで思考停止に陥ります。
逆にこう考えてどうでしょう。同じような投資を実現することができるという前提で、二酸化炭素の排出量削減ができるのだとしたら、あなたはそれを選ぶかどうか。冷蔵庫を買うのであれば、冷蔵庫を買うか買わないかを悩むのではなく、省エネが実現する冷蔵庫(値段は同じ)を買う、のと同じような状況が生まれれば、サステナビリティは所作に自動的に組み込まれます。
結果として今まで通りの投資を続けていれば、サステナビリティへの貢献を自動化することができますね。
サステナブル投資信者になる必要はない
サステナブル投資がトレンドなので、乗っかかれば儲かるのではないか、そう考える人もいると思います。
投資活動において自己利益の追求を掲げることは当然です。
十分なトラックレコードが確保されないことがあるとはいえ、サステナブル投資を意識することでプラスアルファのリターンを得られる環境になってきている、とも言われています。ただ、現実にはサステナブル指標は将来のリターンを約束はしません。
しかし、このようなスタンスの場合は、リターンがついてこなければサステナブル投資に対する「信仰」は薄れますし、逆にリターンがついてくるとサステナブル投資に過剰な「信仰」が生まれることにもなってしまいます。サステナブルをテーマに投資をしてしまっているからですね。
サステナブル投資はそれ自体に賭け、投機的な側面を帯びる必要はありません。投資においてはリスクを低減するために様々な資産に投資を分散させますよね。
同じようにサステナブル投資もそうでないものと両立、分散させ、心地の良いレベルで留めておけばよいのです。何も全ての資産がサステナブル投資でなければ、サステナブル投資家ではない、ということではないですし、そうなる必要もありません。
サステナブル投資において目指すべきもの
サステナビリティに対する自分自身の考え方を持つこと自体は重要であり、そしてそれを実践したのであれば可能な限り数値化してみることは望ましいと言えます。
「目に見えない陰の努力」にする必要はないからです。ただ、そもそもはっきりとした考え方を持たない人も多いのが実態です。
投資活動において全てが成功することがないように、サステナブル投資もまた全てが正解ではないし、そして投資として成功するとは限りません。
様々な投資機会を見ながら、やってもいいと思うサステナブル投資の形があれば、それに取り組んでいければいいのではないでしょうか。ひと昔前よりはサステナブル投資が身近なものとなってきています。どのように始めていけばいいか、と思う人がいればご相談いただくところからでいいと思います。