様々な方と投資戦略についてお話しつつ、しばしば思うことは、最高の投資商品を探すことに一生懸命になりつつも、一方で“自分に合った投資とはどのようなものか”にあまり意識を向けていない人が多いということです。

この点、少しだけ時間をとって、

「あなたの投資戦略はあなたの長期の人生目標に本当に沿っているのか」

ということを考えてみていただきたいのです。

もしそうでないとしたら、投資戦略を切り替えるべきときです。

もし“自分に合った”投資戦略が分からなければ、ファイナンシャルプランナーに相談してみることが大切です。

(ちなみに、この話は実は結婚相手を探すのとプロセスがよく似ている気がしますので、もし結婚で悩んだことがある人は実はよく分かるのではないかと思ったりします。違ってたらごめんなさい。)

投資に存在する運と実力

投資には運と実力があります。

このことは何となく感じてはいるけれども、具体的に何が運で何が実力なのかは考えたことがない人が多いのではないでしょうか。もう少し具体的に挙げてみます。

投資家としてのあなたがどうにもできないもの=運

  1. 勝つ銘柄を選ぶこと
  2. 優秀なファンドマネージャーを見抜くこと
  3. 最良のタイミングで投資すること
  4. 景気の波が来ること

4くらいはどうにもできない、と認識している人が多いかもしれませんが、1〜3はどうでしょう、一度は誰しも取り組んだことがあるのではないかと思います。

投資家としてのあなたがどうにかできるもの=実力

  • ① 投資にかかる費用を抑えること
  • ② ポートフォリオを分散すること
  • ③ 税金を最小限にすること
  • ④ 自らを訓練すること

投資の未来は不確実ですが、元本保証にこだわること以外にできることがあることに気づいているでしょうか。①費用や③税金を抑えたりすることはやろうと思えばすぐにでもできることです。④は流石に時間がかかります。でも、できることです。

どうにもできないことをどうにかしたがるのが人間

運を味方につけることは確かに大事です。ただ、多くの投資家はどうにもできないものをどうにかすることに一生懸命になることで、労力と時間を割いています。

投資戦略が短期的であるとき、その場その場でできるだけ運を引き寄せたいとを考えるのは自然ですし、合理的だと思います。

ただ、長期的にこれを続けることが難しいことにいつか人は気付くものです。そのとき、それが自分の実力だと思って投資の世界から出て行ってしまう人すらいます。

例えば、優秀だと言われたファンドマネージャーでも多くは数年経てば、優秀ではない部類に入っていくことは統計的事実として存在します。それはファンドマネージャーが悪かったわけでも、それを見極められなかった投資家が悪いわけでもなく、「ただ一定の割合でそうなるもの」なのです。だからこそ、運と実力を混同してはいけないのです。

投資は仕込み=投資戦略が大事

資産運用の結果は時間をかけることで得られるものです。しかし多くの人はその時間を待つことができません。いや、本当は待つのではなく、ただ放っておくことができるのが理想です。

ただ、放っておくための仕込みは大事です。

何もしていなければ時間が経ってもお金は増えません。それが投資戦略について考えるということです。一方、放っておいた結果、期待どおりにならなかったとしたらそれは取り返しがつきません。過ぎ去った時間は取り戻せませんから。

だから、もし投資戦略について思い悩むとしたら、これはとことん突き詰めるべきものです。自分自身でも考え抜くと同時に、家族、そしてファイナンシャルプランナーなどの第三者に入ってもらうことは非常に重要です。

長期の人生目標とは

あなたにとっての投資の期待値とは何でしょう。

これは残念ながら持ち得ない人が多いです。だって、増えたら増えただけ嬉しいですから。だから投資の期待値を考えるのは難しいんです。

でも、長期の人生目標を考えられない人はいないはずです。

目の前のことに忙しくても、長期の人生目標のことを考えるのはきっと楽しいですから、是非週末にでも時間をとって考えてみてください。

  • 早期リタイアして第二の人生を歩みたい
  • 大切な人と海外でのんびりと暮らしたい
  • 子供が育っていく姿を元気なまま見守りたい

などです。実際、これは人によって違ってきますし、きっとたくさん出てきます。

そして人生目標に紐づいて、時間の使い方、お金の使い方が見えてきます。このとき、またファイナンシャルプランナーと是非話をしましょう。

一人だったらする意思決定も家族がいればしないことってありませんか。投資戦略に他の誰かの存在を組み込むことは一見すると考えるのを難しくしているように思いますが、そうではありません。

自分にとって本当に大事なものは何なのか、生涯を通じて成し遂げないものは何なのか、それを知ったとき、選ぶべき投資戦略は自然と決まってくる、と言えるのです。

何事も、どうにもできないことではなくどうにかできることから手をつけることが大切です。投資家として人生の無駄遣いをしないことも意識したいものです。

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