香港を代表する企業家である李嘉誠が築いた多国籍コングロマリット、長江実業(CK・ハチソン)。世代交代後の舵取りには逆風が多いが、独特の事業展開には注目したい。

サマリ

長江和記実業(CK・ハチソン・ホールディングス、CK Hutchison Holdings Limited)は、2014年に設立され、香港を本拠とする、イギリス領ケイマン諸島登記の多国籍コングロマリットである。

前身は1950年創業の長江実業(Cheung Kong Holdings、元1:HK)にあり、2015年に同社がその関連会社であった和記黄埔(Hutchison Whampoa、旧13:HK)と合併したことで誕生、新会社として上場した。なお、このとき、不動産事業は切り離され、長江実業集団(CK・アセット・ホールディングス、1113:HK)として分離上場している。

創業者は李嘉誠(Sir Li Ka-shing、り かせい)であり、長江実業を香港最大の企業集団にのし上げた「超人」の異名を持つ。アジア全域で最も裕福な人物とも言われる。

2018年3月に、李嘉誠は89歳にして現役引退を表明し、同年5月には長男の李沢鉅(ビクター・リー)に取締役会首席の座を引継ぎ、自らは会長職に就いた。30年以上にわたってグループ経営に携わってきたビクター・リーではあるが、超人の引退の影響は決して小さくはなかったとされる。

コアとなるビジネス領域は、テレコム、インフラ、港湾、小売、エネルギーの5つであり、長江グループの非不動産部門を担う。売上比率で言えば、欧州が半分程度を占め、中国や香港はそれぞれ10%程度に止まる。

  • テレコム事業では、欧州の通信大手3(スリー)を保有する。2019年に組織再編し、通信事業は完全子会社である、CK Hutchison Group Telecom Holdings経由で、アイルランドやスウェーデン、オーストリア、デンマーク、イタリアなどで移動体通信事業を手掛ける。アジアでは、インドネシア、ベトナム、スリランカなどで事業がある。
  • インフラ事業では、アジア・欧州・オーストラリアで電力や水関連の事業を展開する長江基建集団(1038:HK)の76%の持分を保有する。
  • 港湾事業では、欧州最大のコンテナ港と言われるオランダのロッテルダム港を保有する。
  • 小売事業では、A.S.Watsonsが、ドラッグストア「Watsons」、スーパーマーケット「PARKnSHOP」、家電量販店チェーン「Fortress」などを展開している。

エネルギー事業では、カナダの石油・天然ガス大手、ハスキー・エナジーを保有する。

香港上場銘柄でありながら、中国・香港での売上寄与が少ないのが特徴であったが、それゆえに米中対立の狭間に置かれたことで、経営の舵取りに注目が寄せられている企業の一つである。

特徴

筆頭株主:李嘉誠(複数のトラストや財団を経由) 約30%

同銘柄は引き続き、李ファミリーによる家族経営銘柄であり、株価下落局面でも自己株買いが積極的に行われている。

配当利回り:6 – 7%程度

外部格付け:S&P A- / フィッチ A-(2021年11月時点)

株価推移

TradingView提供チャート 1 CKH HOLDINGS

最近のトピック

米中対立などを背景に、長江実業の株価は下落が継続したため、2020年、李嘉誠やビクター・リーは数度にわたって、CK・ハチソン・ホールディングス、そしてCK・アセット・ホールディングスの株式の買い増しを行っている。

2020年10月、同社のエネルギー事業の柱であった、カナダのハスキー・エナジーを同国のライバル企業であるセノバスに売却することが決定したが、その後設立される新会社の15.7%の株式を取得する。

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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。

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