ファイナンシャルプランニングを通じて、ご自身のお金に対する意識は明らかになります。このときに単に節約が大事、無駄遣いが良くない、贅沢が良くない、などと言い始めても実は人の心には響かなかったり、継続できなかったりします。消費支出行動を通じて得ているものがあるからです。大切なことは消費支出行動をコントロールする習慣を身につけることにあるのかもしれません。今回はそれを見ていきましょう。

中古品の取引をする

新品は高く、中古品は安い。シンプルに誰でも知っていることです。物によっては新品と中古品の値段がそう変わらないもの、あるいは中古品の方が高いものもあるかもしれませんよね。ただ、多くのものは使用することによって消耗し、価値が下がっていきます。

香港においても、中古品の取引が手軽にできるアプリ(例えばCarousell)や、そういう人がコミュニケーションする場(例えばFacebookや掲示板)がありますし、非常に活動が活発です。蚤の市(フリーマーケット)に参加して掘り出し物を探した方がいい、と言いたいわけではなく、単に「新品でなければならないのか」「使わなくなったら捨てるしかないのか」を問う習慣は非常に大事だということです。リサイクルは環境に優しいという話でもないです。結果的にお財布に優しく、同時に生活の質を高める可能性は十分にあります。

新居に引っ越して家具を揃えなければならなくなったとして、どういうお店に行くでしょうか。量販店で手頃なものを買うのは必要なことかもしれませんが、実は同じように引越しをして家具を手放す人がいるかもしれません。すぐには必要ないが、いずれ揃えたいものがあるのであれば、そういった機会を待ってみてはいかがでしょう。今すぐ手放したいという人が現れれば安くいいものが手に入るかもしれませんね。

リセールできるのかどうかを意識することも大事です。中古品を取引する自分をイメージすると、どこで買ったか、あるいはどのブランドなのか、気にしますよね。あるいは、誰でも使いやすく、どこの家庭にもあっておかしくないのかどうか。個性を表現することは大切かもしれませんが、それが結果的には他の人からすると要らない物になっている可能性はあります。物を大事に使えば、別に大した値段で売れなくても、誰かに引き取ってもらうのはそう難しくないはずです。

買い物リストを作る

去年一年間に買ったものの中で、本当に必要だったものはどのくらいあるでしょうか。あるいは衝動的に買って後悔したものはあるでしょうか。買い物リストを作ることは、買い物に行ったときに余計なものを買わない、という牽制になると同時に、買い物リストを作ったら少なくとも数日置いておきましょう。そうすると、リストの中にあるものでも、今すぐ買わなくてもいいものと、次に必ず買わなければならないものに違いが見出せるようになります。大きな買い物ならもっと時間をかけていいかもしれません。本当に必要なものほど、いつ買うにしても必要なのです。

買い物をしに動き回る

物の値段は場所によって時期によって変わる可能性が十分にあります。オンラインショッピングをすると、楽で便利だという感覚が得られるかもしれませんが、同時に値段を比較している場合もあり、結果的に安く購入する機会を与えてくれます。

実際に動き回って買い物をする場合も同じで、同じものが違う場所ではもっと安く買えるかもしれないわけです。もちろん、動き回るのにかける時間と費用はあるかもしれませんが、そうした習慣を持つことは必ずプラスに働きます。

普段していない買い物をするのであれば、刻一刻と変わる状況そのものを知らない可能性があり、ただ目の前にあったというだけで、実は高い買い物だった、ということにもなりかねません。

クーポンなどを使うことも、単にクーポンがあるから安いと信じるよりは、そもそもの値段が他と比べてどうなのかを知っておくことが大事です。

財務状態をチェックする

上の3つで日々の行動のところは習慣ができたかもしれませんが、果たして実際の財務状態はどうなのでしょうか。物に対して焦点を当てて習慣化するのと違い、お金に対する習慣化という意味では、財務状態のチェックが肝心です。といっても、財務状態をチェックするとはどういうことか、という人もいると思いますので、まずは自分の目で見てどのように見えるのかを追いかけてみましょう。

給与のうちの半分くらいが支出されていることに気づいて、多いと思うか少ないと思うか。またそのうちの支出の大部分が借入に対する返済である場合や、あるいはどう計算しても支出が少なくしか出てこず、感覚に合っていない、という場合もあるでしょう。

香港においては、負債や信用の状態を知るのに使える分析ツールを出してくれている会社もあります。また、ご自身とはまた違う視点でファイナンシャルプランナーに診てもらうのも一つの手でしょう。

支出を見返す

数字を追いかけて支出を見たときに、支払っている想定でないのに出ていっているお金があることにも気付くことがあります。クレジットカードのリボ払いによる追加費用、昔見ていた映画配信サービスのサブスクリプション料金、あるいは電気代の変化も挙げられます。

支出したくてしているもの以外にも支出しているものがあり得る、ということに気づけば、単純に支出削減するきっかけになりますし、今後の支出において事前に気をつけるべきことなども分かってきます。

どうでしょうか。何か無理をして切り詰めなければならない、という話ではなく、当たり前の日常を送っているだけでもおろそかになっているものはあるのです。

消費支出行動をコントロールするための習慣を身につけることは、消費以外の様々な意思決定にも良い影響を与える可能性はあります。できることからスタートしてみてはいかがでしょう。

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