老後のことをしっかりと考えないままに行動している人、考えすぎて不安になっている人はいる。リタイアメントプランニングを始めるにあたって知っておくべきことをまとめてみる。
目次
リタイアメントプランニングとは
リタイアメントプランニングとは、一般には、退職後の収支を計算して、長生きをしても経済的にやっていけるように資金計画を立てておくことを意味する。
「老後に備えて」何かをしている人も多いとは思うが、実際にその努力をするかしないかによって老後がどのように違ってくるのかを具体的にイメージできている人は少ない。
それは一つには、かなり先の未来の自分が何をしているのかよく分からないし、考えた結果、目先のことの方が差し迫って感じられるからでもある。
こういう人はプランニングをするにあたって、遠い先の未来を「予言して」あるいは「約束して」過ごそうとするのではなく、どういう未来を避けられているのか、を考えてみるといいかもしれない。
毎月銀行の通帳をどのような気持ちで眺めていたいだろうか、子や孫とどのように過ごしていたいだろうか。最低限のことが今できているのなら、もっと経済的に苦しかった時のことを思い出してみてもいいかもしれない。たぶん、一人ひとりにとって譲れないラインが見えてくるのではないだろうか。
夢や不安を見える化する
まずそもそもリタイヤメントに限った話ではないが、将来のことというのは基本的に様々な選択肢があって、どうなるか分からない不確実性が存在する。この不確実性こそが、漠然とした不安に繋がってくると同時に、進むべき道を変えて夢に向かうだけの時間が残されていることを意味しているのである。
今すぐは改善しようのないことも時間をかければ良くなるものもあるわけだ。だから、夢や不安というのは「見える化」をしてあげることで、軌道修正を試みることが大事になってくる。
改めて、行きたい場所、欲しいもの、新たに始めたいこと、会いたい人、どのような観点でも構わないが、具体的に挙げてみるといい。
自分が優先順位が高いものについて考えてみてもいい。家族、生きがい、健康、お金、と細分化してみるのが肝心だ。
老後の自分が何をしているのか少しはイメージが湧くだろうし、逆に、老後を待たずしてできることもあることに気づくだろう。
セカンドライフのあり方を考える
- 自分から仕事をとってしまったら何が残るのか、それが不安である。
- やることを見つけるにしてもすぐに飽きてしまいそうな気がする。
- 働き続けられるのならばそうしていたいかもしれない。
世の中には(お金が十分あるのなら)さっさと仕事を辞めて悠々自適に暮らしたいと思う人がいる一方で、(お金が十分あっても)仕事を続けていきたいと思う人がいる。
この差は一体何なのだろうか。
どちらが正解というものでもない。ただ、お金の問題によって選択肢が限られているのであれば、多くの場合はその制約を取り除いてあげたい。意外と別の選択肢に向かうかもしれない。
リタイアメントプランを考える時期
プランする以上は軌道修正ができるだけの時間が残っている方がいい。退職してからリタイアメントプランを考えるというのでは遅いわけだが、実際には、退職金をもらうまでそれをどう使うか考えたこともない人がいるし、いつからいくら年金がもらえるのか知らない人だっている。
少なくとも40代、50代で一度考えておきたい。
ひょっとしたら働き盛りだと思うかもしれないが、おそらくこの時期の方が経済的には安定していて、選択の幅が広い。逆に言えば、この時期に何もしなければ選択肢はどんどん狭まってくると考えていい。
それ以外にも、定年まで、あるいは一生頑張って働かなければと思っている人が実は経済的にはそうでないことを知る機会にもなる。働く、というのが日常になっていて、結果的に何のために働いているのかまでは考えなくなっていることは多い。自分にとって働くことの意味を見直すことで、リタイアメントまでに仕事で成し遂げたいことの方向性も変わってくることがある。
家族とはどういうきっかけで話すのかいいだろうか。突然切り出したとして、逆に訝しがられるかもしれない。一つのきっかけは子どもの自立が挙げられる。子どもが経済的に離れてくれればシンプルに家計への負担は減る。ただ、その時期に依存していると遅くなったりする可能性があるにはある。それ以外だと、一つのアイデアとして何かの記念日だろうか。
受動的なきっかけとしては健康を意識する出来事があったときかもしれない。大きな病気をした、両親が他界した、等今までどおりがいつまでも続くとは限らない、ということを理解する。
今の自分に反映させることが大事
老後のことを考えたのはいいし、安心は得られた気がするが、それでまたただ日常に戻るのは少し寂しいと私は思う。先にも少し触れたが、リタイアメントプランニングを通じて分かることの中に、今すぐにでもできることは意外とあるし、逆に今だからこそできることがあることにも必ず気づく。
あぁしなきゃ、こうしなきゃ、とだけ考えるのではなく、未来の不確実性が取り除かれた分、今の自分に何ができるようになったかを考えてみてもいいだろう。
年一回は家族で旅行に行くのに予算を組んでもいいし、記念日にちょっとだけ奮発するのでもいい。
今しかできないことはきっとある。