投資を始めると、損失を抱える瞬間に必ず出会う、このときに評価損と正しく向き会う方法について今回は考えてみる。

日常生活に例える

投資活動において、損失が出たものを諦めて次に行くことを「損切り」と呼び、それでも「見通し」は明るいので「継続」するという選択肢を選ぶことはある。

例えるのがいいかは分からないが日常生活における意思決定にヒントはあるかもしれない。

例えば、映画。

2時間半だが、30分ほど見るとあまり面白くないのではと思い、席を立つ。あと2時間はレストランで美味しい食事をする。結果的には席を立った自分は満足度が高い。

面白くなくてもチケット代を払ったのだからと、映画を最後まで見るのか、あるいはそもそもクライマックスに向けて盛り上がるのだからと、映画を最後まで見るのかは違ってくる。

また、そもそも映画の事前の口コミはどうだったのだろうか。これはドラマなどの事前知識がないと楽しめないのか、映画だけで完結しているのか。映画のチケットを買い、映画館の席に座るまでの間に、もっと何かできることはあったのではないだろうか。

結果的に、最後まで見たから分かるものは確かに存在する。でも見続けた結果、時間もお金も失ったと感じることは稀にある。

例えば、パーティ。

人が集まるところなので、新しい出会いがあるかと思ったが、堅苦しい雰囲気だったので、途中で退席し、そのまま帰途につく。睡眠時間が多く取れて結果的には満足度が高い。

パーティ自体は楽しくないが、出てくる料理は美味しいので元を取ろうと思って食事するのか、宴もたけなわとなって打ち解けて色々な人を紹介してもらえるかもしれない、と期待するのかでも違ってくる。

パーティ自体は好きになれなくても、出会いが稀にあることから参加をし続けるが、数をこなしたからなのか、たまたま早いうちに出会いがあったのかはともかく良い結果になることはある。

さて、そもそも投資には時間軸がある。映画やパーティのように数時間で終わるものではない。数時間なら我慢をしてもしなくても、それほど変わらない気がする。周りに配慮しても諦めがつく範囲だろう。ただ、投資の場合は何年にもなるし、逆に一ヶ月やあるいは半年ですら、そこで成果を求めることが適切でない、ということはある。

正しい軌道に乗っているのかがずっと気になるわけだ。

損を避けたい人ほど大損しやすい

投資活動には大小入り混ざったリスクが必ず伴う。投資とはそういうものだからである。だから、リスクのない投資をしたい、という感情は一方通行であり、往々にして空振りに終わる。

「リスクのない投資」というのは、リスクのないように見せられた投資か、コストを払ってリスクを誰かに転嫁した投資という形でしか解決されないことが大原則であることを理解しておくと良い。

リスクとリターンのバランスをとるのが投資家としての活動であり、そのバランスが上手くなければ失敗に繋がるのは容易に想像ができる。本来避けるものではなく、リスクを理解した上で受け入れることでリターンを得るわけであるから、損を過剰に避け始めると、市場の中で端っこの方に追いやられている。

もちろんリスクとリターンのバランスが投資家にとって極めて有利な投資機会というのに絶対出会わない、というつもりはないが、きっとその「端っこ」にはリスクとリターンのバランスが投資家にとって極めて「不利な」投資機会も隣合わせであることは想像に難くない。

元本(簿価)に固執しすぎない

何を言っているのか、と思う人もあるかもしれないが、元本(簿価)は今後のパフォーマンスに影響を一切与えない。したがって、元値、元本、簿価、取得価額、持ち値、原価、様々な言い方はあるものの、これらに固執しすぎても特に意味はなく、しかし呪縛にかかっている人は多い。

  • 「一時期は損失を抱えたが、今なら元本は取り戻せるのでやめる」
  • 「元本割れしているので、とりあえず持ち続ける」
  • 「買ったときより10%値上がりしたので自分としては上出来だと思う」

どれも投資の起点を意識してしまっているわけである。

でもよく考えてみれば分かる通り、次の瞬間には新しい価格が存在をしていて、誰かが売買をしている。その誰かは新しい価格のことにしか興味はないはずなのである。一方、取得した価格は過去のものであり、元に戻る、という概念は存在しない。戻ってこいなどと念を送ったところで何の意味もない。

損失回避≠リスク回避

利益は欲しいけれど、損失を出したくない、という気持ちは投資家として極めて健全であるものの、その気持ちを上手くコントロールしない限り、投資で成功することはない。

損失が出ることをリスクだと思うのであれば、リスク回避的であることは多くの投資家に確認できるし、そのこと自体は特別なことではない。

ただ、リスク回避的であることがリスクを取らないということとは少し違っていて、リスク回避的であるというのは、リスクに見合わないリターンを追求しないことである、と考えるべきである。

したがって、リスク回避的な投資家が、リスクの高い投資をしない、ということにはならないし、損失を恐れない、ということにはならないわけである。

ただ、一般の投資家は頭ではこれを理解しながらも、実際は、「リスクに見合ったリターン」というものの尺度を持ち合わせていないので、リスクを受け入れることを元本全てを失ってもいいと腹を括ることであると拡大解釈するし、リスクを避けることを元本を失わないことであると限定解釈することでもある。このとき、バランスを失った判断の目は曇らざるを得ない。

まとめ

投資の評価損と正しく向き合う、というのは頭では分かっていても実践できている人は少ない。もし今回触れたようなことを自分で上手くコントロールできていないと感じるのであれば、アドバイザーを通じて改善することを考えてみるといい。自分は投資に向いていないと結論づける前にやるべきことの一つでもある。

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