かつての香港は居住者/非居住者問わず比較的簡単に銀行口座が開設できましたが、昨今はとりわけ非居住者外国人に対する銀行口座について慎重な対応を行う銀行が増えているようです。

外国人による香港での銀行口座開設のハードル

香港の場合、外国人も現地の人も同じように、一定期間以上の滞在をすることを認められた証として、香港IDカードが発行され、所持することを義務付けられています。

IDカードだけでも、その人が永久居民なのかどうか、外国で生まれた人物なのかどうか、などが分かりますが、銀行口座の開設にあたっては最もハードルを下げるのは、この香港IDカードの所持だと言えるでしょう。

仮に香港IDカードがなかったとしても、しっかりと書類を揃えることができ、かつ口座開設の目的について銀行員を納得させられるやりとりができたなら、非居住者外国人でも銀行口座を持つことができる、というのは香港の銀行の特徴でもあります。

このことは、仮に香港から将来出ていくとしても、口座をしっかりと維持することができることも意味しています。

口座開設のための書類準備

一般には、銀行口座開設にあたっては主には以下の2点が必要になります。

  • 身分証明書・・・香港IDカード、外国人の場合は有効期限内のパスポート
  • 住所証明書類・・・発行後3ヶ月以内の公的書類(公共料金の請求書)、日本の場合は国際運転免許証

香港の公用語は英語または中国語ですので、その他の言語で書かれたものの場合、翻訳を行い、弁護士や司法書士などから正しい翻訳であることを認めてもらう必要があります。

それ以外にも、給与証明や雇用契約書、他銀行での残高証明書、などが求められるケースがあります。(マネーロンダリングなどのチェックのため)資金の出所に関する証明ですね。

住所証明書類が準備できない場合

住所証明書類とは、自分の名前と住所が書かれ、届けられた郵送物です。公の機関から、定期的に届くものが好ましいとされます。

香港に来てすぐの場合など、住所証明書類が準備できないことがあり得ます。ちなみに、その他の機会で住所証明書類の提出を求められた場合、銀行のステートメントが最も通用しますから、銀行口座開設というハードルは是非とも越えたいものです。ただ、住所を証明してくれる銀行口座を開設するために住所の証明が必要だとしたら、、というのがポイントですね。

銀行ステートメント以外で住所証明書類として通用性があるのは公共料金の明細です。しかし、香港での居住にあたって、電気やガスを直接自分で契約せず、大家に対して払ったり、あるいは家賃に含まれてしまっているケースは少なくありません。また、駐在員の帯同でいる場合には、仕事もしていないし、契約も全て配偶者名義ということだってあります。

携帯電話は多くの人が契約をしますが、実は住所証明書類としてはあまり通用しません。香港に住んでいなくても香港の携帯電話の番号は取得できるし、住んでいることの確認までは通信会社は行わないことがあるからです。

では、何もないときにどうするか、ということですが、誰かに一筆書いてもらう、というのは有効です。香港で新しく働き始めたのであれば雇用主、駐在員の帯同できたのであれば配偶者から自分がその住所に住んでいることを認める旨のレターを準備することで住所証明書類を充足するケースはあります。もちろん、一筆書いてくれる人との関係性を証明すること、そして話の辻褄が合っていると銀行員が納得する必要はあります。会社からのレターの場合は、社印(カンパニーチョップ)をもらうのを忘れないようにしましょう。

バーチャル銀行という選択肢

HSBCやCiti、OCBCなどの銀行口座の開設においては、香港の銀行窓口を直接訪れる必要があります。つまり、銀行員とは英語や中国語でやりとりをする場面が出てきます。口座開設の目的や用途なども聞かれるわけですが、これにきちんと受け答えできなければ口座開設を断られることになります。かつては知人などが隣に座ってサポートすることができましたが、最近は本人によるコミュニケーションが必須であると言えます。当たり前と言えば当たり前ですね。

ただ、コロナで渡航ができないために窓口を訪れるのが難しいケースもあります。それでも銀行口座が欲しいという場合には、バーチャル銀行を検討しましょう。

バーチャル銀行は比較的新しいサービスで、香港だとMox BankやZA Bankなどが該当します。2022年2月28日現在で合計8行がバーチャル銀行として認可されています。

バーチャル銀行の場合、対面でのコミュニケーションは不要で、必要な書類をアップロードするだけで済みます。ただし、基本的には香港ID保有者のみが利用できると考えておくべきです。有効な住所は必要ですが、

それぞれ出資元の企業が違うので、バーチャル銀行で提供されるサービスも異なります。物理的なカードが発行されるところ、外国送金ができるところ、中国本土に人民元が送れるところ、などですね。

ただ、バーチャル銀行のサービスはそうはいっても限定的で、包括的な銀行サービスを受けようと思えば、長期的には歴史のある銀行で口座を持つ方が何かと便利だとは思います。とりあえず銀行口座を、という場合にはこういった新しい業態も試してみる価値があるでしょう。あるいは使い分けができるかもしれません。

銀行以外の口座という選択肢

近年はフィンテック(金融×IT)が発達をして、銀行以外でも銀行サービスを利用できるようになってきています。といっても利用者からすると【実質的に銀行】であるというのがポイントです。香港だとAirwallexやneat、Currenxieなどが該当します。

サービスは法人アカウントに限定をしているものが多いので、スタートアップ企業のような、まだ法人としての実績が少ない場合には有効でしょう。近年は法人における銀行口座開設にも数ヶ月の時間がかかり、かつ銀行側が慎重になるケースも増えているようですが、こういったサービスであればほんの1週間程度で口座開設が済み、お金を移動させることが可能になります。

香港法人の場合は、商業登記書(Business Registration、BR)などの書類が必要になってきますが、審査のための面接はありません。

香港の銀行口座の意味

銀行口座は全ての金融サービスの入り口です。銀行口座がないとできないことは結構たくさんあります。クレジットカードを作ったり、ローンを引き出したり、資産運用だってそうかもしれません。香港での保険料の支払いや保険金の受け取りなども銀行口座があるだけでスムーズになります。もちろん香港に銀行口座がなくてもできることはたくさんありますが。

香港の銀行口座の場合はマルチカレンシーであったり、あるいは世界中どこでもお金を下ろすことができたりとメリットの大きいものもありますので、香港を資産の置き場とする人も少なくありません。

ただし、居住地によっては動かす資金の規模などによっても、あるいは口座の維持をどのようにしていくべきかも、予め専門家のアドバイスを求めた方がいい場合もありますので要注意です。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓