コロナショック以来高値を更新し続けた世界の株式市場、いつから投資を開始したかにもよるが、いつか来る下落に対する心構えはできているだろうか。仮に株価が下がったときにどのように対応すべきか、解説してみる。

下がったら買うは正しいか

過去にならえば、下がった株価もいずれは戻る、という認識を持っている人も多い。したがって、どうせ買うなら下がったときに買うのがいいということになりそうだ。

実際は、下がり切ったかの見極めは難しいが、高値で買っていないというチャート上の安心感だけは得られる。高値が記録されているということは同じ株式を持つ投資家であなたよりも損をしている投資家がいる可能性が極めて高い。同じ株式を持つ者のなかでは相対的に優位であると言える、かもしれない。

下がるまで買わないは正しいか

株価は上がり一本調子になることはあまりない。時間ともにスイングする。だったら下がるまで買わないという人もいる。それも一つの手ではあるが、そもそも株価が上がることで資産を増やす投資家としては自己矛盾がないとは言えない。大きな下落もないままに上がり続けた場合、期待していた相場なのに、思ったほど利益は上がらない、ということになる。

買わないという選択肢はあるか

投資アセットである以上は、どこかのタイミングでは現金から変わらなければならない。キャピタルゲイン狙いなのかインカムゲイン狙いなのかによって買うべきアセットは変わってくる。

株価が下がったら買おうとする理由の多くはキャピタルゲイン狙いになる。それはそうだ、高い価格で買えばさらに高くなるために時間が必要になるのだから。

そもそも株価が上がっても下がっても買わないという方法はあり得る。そもそも株価=時価でしかなく、取引する意図がなければ見る必要もないものだ。10年持ち続けると決めた銘柄に対して株価の上下で一喜一憂しても仕方ない。

あるいは株式をそもそも資産に組み込まないという人だっている。そもそも価値が大きく変動し得るリスク資産を持たないというのも一つの選択肢ではある。

下がったら売るは正しいか

投資の基本はロング(=買い)だと言われるが、近年はショート(=売り)もできる。

持っているものを手放すという決断と、持ってはいないが、下がる方にかけて空売りする、という方法が考えられる。せっかく上がった株価なのだから、利益確定をしたい、あるいは含み損がたまってきたので売ることを考えたい、いずれも考えることはある。

相場にはダウントレンドがある。節目と思った後に、長期間にわたって下落基調となるのであれば、いずれ上昇に転ずるとしても、その間ずっと持ち続ける意味はない、と考えるのも無理はない。もし、ダウントレンドが予測できるのであれば、この対応は正しい。予測できるのであれば。

下がる前に売るは正しいか

そもそも下がり始めた時点で出遅れているではないか、という反論がきそうだ。

それならば下がる前に売ってしまう方法はある。ある程度上がったところで利益確定をし、その後の上昇については諦める。いずれ下がるそのときにまたポジションを作り直せばいいというものだ。

ただ、人間誰しも利益確定は早く、損切りは遅い、とよく言われる。もちろん、数ヶ月後の下落が予測できるのであば、最良の選択ではあるが、そう、予測できるのであれば。

株価の下落を気にせずに投資をするにはどうしたらいいか

投資の機会をうかがうことを「マーケットタイミングを見る」、と表現する。しかし、その来るべきタイミングにあなたが取引画面にいるとは限らない。

タイミングを見極めている限りにおいて、あなたは投資に時間を奪われていることになる。それに見ていたからといってその瞬間にあなたが最良の判断を下すとは限らない。投資のリターンの源泉は未来の不確実性にもあるから、今度はそれを排除しようとすることは自己矛盾することになる。

一つの解決方法としては、何も見ずに投資を継続すること。

まとまった資金があるなら、投資資金として分けてしまえばいいし、定期収入が投資に回るのであれば、タイミングを見て定期的に投資を行えばいい。まず大事なことは、投資資金と生活資金を分けることにあるからだ。

もう一つの解決方法としては信頼できる誰かに任せることである。つまり、運用の自動化を試みる。できれば自分より金融の経験と知識がある、専門家であると良い。金融市場から解き放たれることで、本当にやりたいことに専念できる可能性はあり、そして精神的にも楽になる。

資産の損益の状態を健康状態に置き換えるならば、自ら薬を買ってきて直す方法や、痛みにしばらく耐える方法、医者にとりあえずかかる方法などがあるのと同じである。どの手法でもって資産の一時的な損失を乗り切るかは投資家として考えておきたい。

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