FP1級と言えば、平均合格率が10%前後の難しい試験、とも言われます。どうやったら合格できるのか、というノウハウではなくて、実際に試験を受け、合格に近づく上で考えたことや悩んだことをまとめてみたいと思います。
目次
FPとしての資格とライセンスの話
FP業だけでいうならば規制業種でも何でもないので、資格もライセンスもなくてもできるし、なんだったら資格なんてなくてもよほどしっかりしたサービスを提供しているところもあるでしょう。結局のところ、資格というのは試験にパスして合格証書をもらっている、ということだけなんですよね。一方、証券や保険など、いわゆる金融に属する業務をするならば、所定の試験の合格証書をもとに、登録を行い、許認可、つまりライセンスを取る必要がある、というのが一般的かと思います。
だったらFP試験なんて受けなくていいのでは、という考え方をしてもいいですよね。私もそう思います。ただ、受けてもいないのに役に立つか立たないのかを議論しているのもなんだか変な感じはしたのと、FP業やっています(でも試験は受けてません)、と言うのに対し、私もFP資格は持ってます(でも仕事としては使ってません)、と返されるのになんだかもどかしさがありました。一人で勝手にモヤモヤしてただけだね、と言われたらそうです。
資格を取って何か世界が変わるとは思えませんが、実務経験を踏まえて、知識の再整理、ものの本にどのように書かれているかを知ることはブレない基礎になるのではないか、と考え、FP試験の階段を登ってみることにしました。あとは、国家資格だから一生モノだしねと、時間とお金をかける自分を納得させるだけです。
FP試験は3級→2級→1級と進んでいくものです。受検要件とかもなくはないですが、受けて受かって前に進むだけです。3級や2級の合格体験はFP業をやるにあたって、正直わざわざ文章にしたためるほどのことはありません。でも、一般の人だったら、2級までパスしたら、生活に役立てられる内容はかなりあると思いますので、是非挑戦してみてください。自分のためなら2級まで、誰かのためなら1級も、です。
FP1級で立ちはだかる断崖絶壁⁈
FP試験の階段を登るにあたって、CFPなどを経由してとかは考えていませんでした。単に最短距離で1級まで登り切って終わり、でいいのではと現時点では思っているからです。登ってみて違う景色が見えたらまたそこで考えたらいいと思います。ただ、試験を受けていくにもそれなりに時間がかかります。勉強時間も然り、試験のスケジューリングも然りです。
3級と2級とはトントン進みましたが、噂の通り、1級はそうではありません。沼だという人がいるのもよく分かります。思い切って名前変えるとかしないと、世の中に分かりづらい違いなのではないかと思います。はっきり申し上げて、合格した後何かに役立てる予定のない人がむやみに挑むべきではありません。少し息が乱れるくらいのハイキングをエンジョイしていたはずなのに、いきなり酸素が薄くなって専用の靴と軍手の必要な岩場に差し掛かった感じです。
私の場合、2級に合格したのが4月で、(実務要件は満たして)1級学科を5月に組んでおきました。若干無謀な感じもしましたが、受けられるときに受けておこうと思ったからです。2級の勉強がすぐに活かせたのと、1ヶ月と短期でできることは限られているので必要なことに集中して、結果は112/200で不合格でした。合格ライン120点ですから随分健闘したと思います。ただ、計算問題などに慣れる時間がなかったので、大事なところをさらりと落とす凡ミスの嵐でした。一発合格にこだわりがないのであれば、早い段階で実際の試験を受けるのは結構大事ではないか、と思いました。
その後少し勉強を休んで、(今度は2級合格要件も満たして)1級学科を9月に組みました。少し余裕をもって2ヶ月半の勉強期間でしたが、まぁ範囲の広いこと、そして完成度が高まっている気が全くしないこと、過去問を1周するのにどれだけ時間がかかるのか、と途中で心が折れそうになります。とても3周以上やる時間なんて捻出できないことに気づきます。1周目をじっくりしすぎたのかもしれませんが、2周目はもう必要そうなところだけって感じです。
9月試験にあたって準備万端だったかというとそうではありません。ただ、やりきれなかったことの多さを噛み締めながらも、やるべきことはやったというところに至ってはいたと思います。結果は134/200で合格です。余裕があったとは言い難いし、それでも凡ミスが残りました。範囲が広いのでとにかくうろ覚えになるんです。そんな中、なんとなく自分で作っていた出題予想(いわゆるヤマ)が当たっていたのは大きいし、その意味では、できれば出て欲しくないが今回は出そうだ、というものが重なっていたのは試験中に感じていましたから、自己採点をして合格圏だったときはほっとしました。
実技面接というラストスパート
試験データを見れば分かる通り、きんざいの実施する実技面接の合格率は毎回8割を超えています。1級学科を乗り越えた強者だけが挑戦できるからなのか、はたまた別の理由があるのか、それは試験を受け、そして合格点をもらうまでは分かりませんでした。学科を9月に受けた私が最短で受けられた実技面接が2月試験でした。
対策はというと、多くの受験生がコメントしている通り、準備万端になる方法、というのは多分ありません。設例を読み、そして過去問の解説に取り組むくらいですが、たくさんやれば点数が上がるかというとそうではないと思います。ただ、面接である以上、面接官には点数をつけるためにこなさなければならないタスクがあります。それにしっかりと合わせてあげることは少なくとも大事だと言えそうです。また、実務でリアルな顧客の悩みと向き合ったことがない人の場合は、ロールプレイングなどは必須だと思います。
学科試験を乗り越えたときの知識量があった方がいいかというとそうだと思いますが、どちらかというと世の中の課題を実践的に解決していく過程を経験することでしょうか。だから知識だけではダメなわけです。
実技面接に備えて、正直学科試験を振り返る時間はありませんでしたし、私の場合、仕事上の経験もあるので、面接もロールプレイングに参加したりはしませんでした。ただ、公開動画などで面接の流れについてイメージするのはとても有意義だったと思います。対策にかけた時間はおよそ2−3週間といったところです。
面接は2つのパートに分かれていて、片方は非常に細かくやりとりされ、もう片方は割と機械的な質疑応答で終わった印象です。面接官が実務者なのかどうかで分かれているのかもしれません。どちらも終わったとき、合格に十分だった、という感触は一切ありませんでした。結果は138/200で合格です。自分としても思ったより全然高い、し、おそらく合格者の点数分布の中でも高い方、と思いますからやっぱり知識を聞かれている試験ではなさそうです。終始釈然としませんが、とにかく完全合格です。試験当日は雪でしたから、それも乗り越えた自分にお疲れ様と言いたいです。
FP1級試験が求めていること
勉強しながら途中から思っていたことは、この試験で問われていることの多くは今を生きている人の悩みそのもので、だから悩みが解決できるところまでやり切らないといけないんだ、ということです。制度がこうなっているのか、ふむふむ、で終わりではなくて、制度がこうなのであなたの場合はこうなんです、って感じです。我が身のことだけではなくて、他人の身になって考える力です。非常に細かいところも見なければならないのは、もちろん制度を簡略化せよという批判はあっていいけれど、要するに一般論ではなくて、実際のAさんとBさんの状況によって回答が変わる、という実務的視点でもあるんだと思います。
例えば、最新の法改正とかももちろん追いかけないといけないわけですが、それはどう変わったかを覚えること以上に、なぜ変わったか、と結果それがどんな違いをもたらすのか、に焦点を当て、それがより多くの人の関心事なら、きっと出題される、と予想できるわけです。もちろん毎回同じ問題ばかり出すわけにはいかないので、調整はされていると思いますけどね。
冒頭触れた通り、FP1級は試験に受かった人だけをプロとして世の中に送り出す、という役割までは担っていませんが、試験に受かると、世の中の課題の重点は理解できて、そこに実務的な回答を導ける人にはなっているだろう、と思います。その意味ではただの暗記が求められているわけではない、とても良い試験だと感じます。
FP1級試験の受検者数は年々減っている、ともされています。かくいう私も仕事で関わっていなかったらわざわざ受けなかっただろうと思います。もちろん人口が減っているというのも影響があるかもしれませんが、マネーリテラシーなんて誰にでも必要なもの、もう少し認知度が上がっていいのではないか、と感じました。