少しずつ利用者が増えてきたロボアドバイザーだが、香港の状況を探る。チェックすべきポイントと利用すべき人とは。

ロボアドバイザーというサービス

ロボアドバイザーとは、予めいくつかの質問に回答をして判定された投資家のリスクレベルに応じて自動的に運用先を選択してくれる、というサービスである。資産運用における一つの取り組み方と言える。

投資家がしなければならないのは、運用口座への入金だけであり、あとは全てお任せになる。

ロボアドバイザーへの期待値

ロボというと機械ではあるが、資産運用の世界で機械を使うのは高速・高頻度取引(HFT)が挙げられる。人間の判断よりも先んじて取引をするのでその分利益が出るという仕組みだ。

しかし、ロボアドバイザーが行うのはこれとは異なり、細かな入金に対する運用先の割当やポートフォリオ全体のリバランスなど、実は人の手でできてしまうものでもある。

ロボアドバイザーへの期待値とは、まずは省力化である。毎回の運用先を考えること、投資するタイミングを考えること、そして他の用事を差し置いて運用口座を見て取引をすることを丸投げすることにある。何なら銀行口座から運用口座への入金を自動化してしまえば、毎月の給与から自動的に差っ引かれて否応なく運用される。これでいいのだ。

働いていない人の場合は比較すべき時給すら存在しないかもしれないが、資産運用にかける時間を節約し、本来遊んだりリラックスしたりする時間をしっかりととることは“トク”である。

もちろん運用を一任する以上、運用リターンは高い方がいい。

だが、はっきり言って運用の中身に興味を持つことも放棄しているので、どのように運用リターンが捻出されるのかは分からないことの方が多いだろう。

どちらかといえば、素人が下手に考えてあれこれするよりも、プロに任せておいた方が、増えるにせよ増えないにせよ自分よりはマシだろうというのがある。プロに運用を任せているからといって誰よりも高いリターンを享受できるかどうかを考えてしまっては元も子もない。

実際、投資の基本はリスク資産に投資を続けるバイ・アンド・ホールドであるが、非常に多くの人が金融相場の動きが大きくなるにつれてリスク資産を手放し、“動かない”安心を得ようとすることが知られている。増えるときも“動く”し、減るときも“動く”から、動かないことを好んでしまうと投資は続けることができない。

ロボアドバイザーのコスト

自分でできてしまうものをロボに任せている以上、ロボにフィー(手数料)を払う。現状は、運用額に対して年率0.5 – 1.0%くらいではないだろうか。将来的にサービスを利用する人が増えればよりこの費用が下がってくる可能性はある。

ロボに対するコスト以外にも、ロボが選ぶ運用先においてもコストはかかる。ただ、運用先におけるコストは極力低い方がいい。どんなに高くても年率0.5%くらいではないだろうか。取引における売買手数料も極力ゼロに近い方がいい。

そもそもロボアドバイザーにおける運用資金は限りなく預金に近い感覚でできることが大切だから、選ばれる運用先もどこかの企業の個別株式といったものではなく、非常に分散投資されたポートフォリオになることが一般的ではある。ロボアドバイザーにスリルは求めてはいけない、常に安全運転を大事にする。

ロボアドバイザーへの適正

ロボアドバイザーの得意分野は一回数万円程度のより少額の取引である。コツコツと少しずつ運用は開始していきたいが、誰かの手を煩わせるほどでもなければ、自分としてもそこまで熱心に考えを巡らせるほどでもないという規模感には適している。

資産運用において手間をとにかく嫌うのは意外と大事なことである。ロボアドバイザーであれば口座開設もオンラインで可能であるし、入出金もインターネットやアプリで完結する。

資産が増えてくれば自然と必要な情報の質も変わってくるため、対面でのアドバイスを求めることは有効になってくる。

香港でのロボアドバイザー

日本ではロボアドバイザーを利用したことがあるという人がいるが、海外でもロボアドバイザーを利用することはできるだろうか。実際、香港でもロボアドバイザー自体はいくつか出てきているようだ。

香港ローカルの人は、自分で判断して株式投資をする人が多いから、ロボに丸投げすることをよしとしない人もいるだろう。

一方で、海外在住で、子育てや仕事、学業などに励みたいという人にとってはロボアドバイザーは適度なオプションと言えるかもしれない。MPFのような引き出し制限もないし、長期の積立契約のように途中で辞めてペナルティが発生することもない。

好きなときに好きなだけ運用に回せる。香港だからといって何も運用先が香港や中国の株式に割り当てられるわけでもない。

まずは銀行口座と資産運用口座を分けるところからスタートし、余剰資金をせっせと資金運用口座に移す。運用残高が伸びてくれば、自ずと投資の選択肢も増えるからそのときに新しい機会を探せばいいのである。

時間をかけて運用残高を伸ばす間に、時間をかけて投資の勉強やリサーチが少しだけできたならそれで十分ではないだろうか。また、資産運用以外にも海外での資産に関わるアドバイスが必要なのであればロボアドバイザーとの使い分けは必要になってくる。

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