生命保険に入りすぎる人がいるように、そもそも生命保険が必要な局面とは何か、そしていくら保障が必要なのかということを正しく理解している人は少ないように見受けられます。本稿では、生命保険を必要とする目的の主な5つについて見ていきましょう。

収入の喪失分を補う目的

To replace lost earnings

家計における働き手がこの世を去るということは、その後の収入が失われることを意味します。もちろん本人はこの世を去っていますからその失われた収入についてとやかく言える立場ではありませんが、もともと生活をしている以上、この収入を前提として何らかの意思決定をしている、ということはあり得ます。住んでいる家の賃貸契約などは良い例でしょうか。死んだからといって支払いが免除されるわけではありません。

したがって、働いて稼いでいる、という状況がその人にあるのであれば、万が一の際に喪失される収入は存在するので、生命保険が必要かどうかを検討する余地があります。それは収入が多い、少ない、資産がある、ないなどの観点に照らして、どのくらいの生命保険が必要かはもちろん変わってきます。

保険とはそもそも喪失分を補う仕組みです。喪失がなかったのであればそれでいいし、喪失があったときに対処できる、そういうものです。

収入があるにしても、別に働かなくても何の問題もない、あるいは、収入が喪失しても発生する費用も同時になくなる、などが明確になっているのであれば、この目的において生命保険が必要である、と言える根拠は少なくなるわけです。

借金を返済する目的

To pay off debts

借入を行う、という行為は将来の支払を約束することです。死んだからといって支払いが免除されるわけではありませんが、返済のための大きな障害になることは想像に難くありません。

この目的における生命保険で最も典型的なのは住宅ローンに付随する団体信用生命保険ですが、万が一の際は残債を保険会社が返済してくれます。とてもシンプルですね。

それ以外の借入においては、自らの意思で生命保険をかけておく、ことになります。ただ、生命保険があるからと考えて、命を絶って借金を返済する、という事例があるのは要注意でもあり、生命保険の存在の意味を勘違いしないことは大切です。

家族や愛する人に経済的安定をもたらす目的

Give financial stability to family members and loved ones

家族生活を営むにあたってはそれぞれのメンバーが何らかの役割分担が存在します。働く人、家事をする人、育児をする人、はっきり分かれるわけではなくてお互いに支え合って生きているという意味です。支え合っている以上、いなくなると困るのは想像がつきますよね。

存在の喪失がお金で完全に解決できる、とは私も思いませんが、やはり経済的安定というのは必要です。お金が十分にあることは残された家族に様々な選択肢を与えてくれます。

旦那が一生懸命働いてくれるという前提で、妻は仕事を辞め、育児に専念するという選択を取っていたりするわけです。そうすると、旦那がいなくなってすぐに仕事に出るのは現実的でない可能性があるわけです。保険金を受け取っていれば、稼ぎは半分や3分の1の仕事を選び、育児に時間をしっかり割けるかもしれません。

この目的においては家族のおけるお互いの位置付けについて認識することが重要です。お互いの経済的な依存度が高いほど、生命保険は必要、と言えるでしょう。

ビジネスと従業員を守る目的

For business to protect the key employees and the business itself

家庭とはうってかわって、ビジネス(法人)においても役員や従業員との依存関係は存在します。この人がいなくなると事業が立ち回らなくなる、という状況のとき、もちろんその人自身の専門的スキルやかけがえのない人脈などを指しているケースはありますが、最終的にはビジネスは稼ぎです。

したがって、そうした専門的スキルや人脈が稼ぎに与えている影響が数字として表れていることになります。

特に中小の事業者にとっては、重役級の喪失は企業の存続自体にも関わることですから、事業とそこで働く従業員を守るために生命保険は欠かせないものとなります。会社が金銭的に困らなければ、従業員に退職金を払って、借金を返済して、クリーンな状態で事業をたたむということも選択肢としてはとれるわけですから。

資産承継と相続税に備える目的

For Estate Planning and for paying death taxes

収入を補うだけの資産があっても生命保険が必要である一つの例が相続になります。承継の対象となる資産は現金にとどまらず、不動産や会社の株式だったりしますが、売却できるもの、相続人で分割できるものではなかったりします。

相続税がかかるとして、すぐにそれを支払うことができたなら、資産への対応は時間をかけて行うことができます。相続人が被相続人よりも多くの資産を持っているとは限りません。死亡保険金を通じて得られる現金は、相続人にとってあらゆる支払いの原資になり、そして遺産分割を円滑に進めるためのバッファーにもなるのです。

まとめ

ここで挙げた5つだけを見ても、生涯を通じて生命保険を無縁でいる、というのはあまり想定されないことが分かってもらえると思います。

生命保険は誰にでも必要、というのはある意味で正しいですが、いつでもいくらでも必要かというのは違っています。

目的に合わせて適切な保障を得ることが生命保険を最大限活用するポイントなのです。

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