円安に急速に振れたので過去の契約者による解約が相次いでいる、という話がよく聞こえてくるようになりました。解約のお手伝いをした際に気になったポイントをいくつか挙げてみます。

保険会社に直接行かなくてもいい

銀行と同じように、窓口に直接行けば何とかなると思っている人はいますが、保険の場合はどちらかといえばメールや電話で話を進められるケースが多いようにも思います。

解約をしたいという旨を保険会社に伝えれば所定のフォームを送ってくれるので、記入及び署名をして返せば手続き自体は進んでいきます。もちろん契約した代理店に相談をしても処理をしてくれるはずです。

円安は解約理由になるのか

歴史的な円安になったので待っていても円高にしかいかないのではないか、と思う人は少なくありませんが、為替を理由に保険を解約するのはあまり推奨されることではないと個人的には思います。そもそも保険は保障を提供しているものであり、解約するということはその保障(プロテクション)を失う、ということだからです。それに為替は長期的にはかなり振れ幅の大きいものです。短期的な為替の動きで気持ちに変化が訪れるのであれば、そもそもその考え方自体を整理しておいた方が心持ちとしては良いのではないでしょうか。

ただ、海外保険において、契約してから手数料が高いことに気付いたり、あるいは円安のせいで保険料が想定より高くなってしまっていたり、という理由でそもそもできるなら解約したいというニーズがある場合、円安という局面を捉えて損失を最小限にする、というのはあると思います。焦って解約手続きをするのではなく、契約内容の再確認などをすることで、改めて保険の価値に気づくことができるかもしれません。

回転売買に要注意

保険契約における販売手数料は当初の数年で払い出しが完了するものが比較的多いので、数年経つと、別の商品への切替を促すブローカーもいるようです。証券であればこれを回転売買と自覚する人がいますが、保険の見直しと言われると納得して提案を受け入れる人もいるようです。毎月払っている保険料をストップして他の保険に入りましょう、であったり、今持っている保険契約を解約して解約返戻金で他の保険に入りましょう、というのはあり得ます。

もちろん本当にメリットのある提案であることもあるので、しっかりと話を聞き、ご自身でも何度も確認を行い、良い提案であると考えられたのであれば受け入れるようにしましょう。その際にはそのような提案を受けたことを記録に残しておくことが推奨されます。

解約時に登録情報を確認

解約を考えたときには、保険会社に登録されている情報がどのようになっているかを確認するところからスタートしましょう。住所や身分証、あるいはお名前などは契約時から変わっていないでしょうか。しばらく海外渡航をしていないのでパスポートの期限が切れてしまった、という場合はついでに再発行してもらうといいでしょう。

あとはそもそも解約をしてどのくらいを受け取る権利があるのかの確認です。早期の解約時に手数料をたくさん取られる保険契約も少なくありませんから、解約返戻金が期待と大きく異なっていないことをチェックしましょう。

場合によっては、解約以外の選択肢について保険会社から案内があるかもしれません。しっかりと話を聞き、解約がご自身の意向に最も沿ったものであることを確認しましょう。

解約返戻金の海外送金

もう香港には縁がなく、銀行口座を閉じてしまったという人もいるでしょう。その場合は保険会社に海外送金を依頼する必要があります。送り先は保険契約の名義人の銀行口座だけです。

もし日本の銀行口座を指定するのであれば、合わせてその銀行にマイナンバーの届け出を行っているか確認しておきましょう。あるいは銀行に海外送金があるかもしれない旨、事前に伝えておくのも有効です。全く海外取引のない個人の顧客に突然海外から入金があった場合、疑わしい取引として受理してくれない可能性がありますし、マイナンバーが登録されていなければそもそも受け取れないという銀行も増えてきています。

受け取れなかった場合、気づかないうちに香港に返金されてしまい、余計な手数料がかかる可能性があります。提出した銀行情報が間違っていた場合なども、保険会社を責めることはできないので、ご自身で責任を持って受け取り側のチェックをしましょう。

仮に他国に住んでいる場合は、その国での納税者番号(TIN)を申告することが望ましいです。もちろん、住み始めてすぐでTINがないという場合もあるでしょうが、その場合は少し丁寧に説明をする方がいいでしょう。

まとめ

海外においても保険は長期契約です。解約をしてしまうとまた入り直すというのは大変だったりします。ご自身の状況などをよく踏まえた上で、慎重な意思決定をするようにしましょう。解約フォームを出す前に契約に関する情報を見直すことは常に推奨されます。

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