IFA移管の相談が増えてきた。一つには私自身の認知度向上の成果だと思う一方、他方には私自身は新規の方を主に対応している関係から、過去の業界そのものの難しさを感じる。実際の相談事例から考える私なりの回答について触れておきたい。

私はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)か

そもそもIFA移管の話を実際の受け入れ先となり得るIFA以外のところとすべきか、という点に関してははっきりとNoと言えよう。したがって、相談をもちかける相手がIFAであるかどうか、というチェックは重要になってくる。でなければ話したところで時間の無駄か、費用の無駄である。

私はIFAか、という点について考えるならば、Yes or Noだろう。なぜなら、IFAとは独立系ファイナンシャルアドバイザーというものの略称であり、そういう活動をする人の総称にすぎない。

レストランにも中華やフレンチがあるのと同じで、金融機関にも種類がある。

中華にも色々あって、ラーメン屋は中華か、という指摘に近いかもしれない。別にIFAであると名乗ることに問題はないが、逆にいうと名乗らねば困るのか、というとそういうわけでもない。少なくとも香港IFA一覧ランキングのようなものにも載っていないし、載せて欲しいとも思っていない。

実際にどのような業務を行っているのかはアドバイザー一人ひとりによって異なっている。

保険だけを売っているアドバイザーもいれば、運用プランは全て会社のプランであって実際には中身に対する裁量をもたないアドバイザーもいるし、一人ひとりの状況を見ながら組み替えていくアドバイザーもいるわけだ。どれもIFAといえばIFAだ。

運用成績でIFAを選ぶ限り幸せにはなれない

資産運用を目的にIFAを利用している限りにおいて、運用成績は確かに存在する。残念ながら私の経験上、モデルポートフォリオのようなものは全く当てにならない。

なぜなら、実際にあなたが保有する証券に対して行われるスイッチングが、モデルポートフォリオと瓜二つになることはないし、そもそも運用を開始した時期も、かかっているフィーも違うから、頑張って同時に処理をしたとしても、結果は微妙に違ってくるからである。

それにお願いしていたIFAが同じだったとしても運用マネージャーが途中で変わっていたら評価のしようもない。もし運用マネージャーが気に入っていた、というのであれば運用マネージャーが他社に移った時点で、あなたもそれについていかなければ理屈に合わない。

具体的に誰があなたの証券の運用の面倒を見ているのかを知らないことには運用成績を語りようもないのである。

IFA移管によって発生する費用

IFA移管によって、移管費用をとるケースは少なくない。もちろん大変な作業ではないので高額にはならないが、費用は費用である。ただ、個人的に見ていて思うのは、IFA移管によって強制的にスイッチングが発生することによる取引コストは顧客からは見えないが、アドバイザーとしては大きく映る。

もちろんスイッチングをしてもIFAに対して費用が発生していることは多くないので、まさに誰得なのだ、という話である。中身がファンドなのであれば、売りと買いでは価格が異なるため、売って買うだけでも数%は価値が毀損されるのである。もちろん、必要な組み替えはあるかもしれないが、必要以上の組み替えが発生するのは避けたい。

証券の解約

IFA移管を考える人というのはまずもって現状に満足はしていない。不満の原因がどこにあるのかにもよるが、はっきり言って証券を解約した方がマシなことはある。

もちろん損失は発生するが、続けることによって発生する費用よりは小さい、ということはあり得る。過去の意思決定を悔いることにはなるが、その方がすっきりすることだってある。

他社に相談をすることで、現状のIFAが教えてくれなかった費用について気付かされることもある。継続して費用がかかっているのだから、その費用のより適切な支払い先について考える権利がある。

IFA移管を通じて過去のお金の流れを断ち切ることはできるし、もちろん証券を解約すればその後何かの支払いに悩まされることもない。

移管できるものとできないもの

一般には独自ブランドの商品は移管できないことが多い。

といっても何が独自ブランドなのか、顧客側には分かりづらいだろう。少なくとも、手数料はかかるにせよ、解約ができないものを見ることはほとんどない。そのため、解約ができない、と誰かに言われたのであれば大元のプロバイダに契約内容を確認することを勧める。

それ以外で移管できるかできないかは商品によって状況が異なる。代わりに運用はできないが書類提出の代行はできるケースはある。あるいは今すぐに何かできなくても待機リストとして考えることはできる。

一つだけアドバイスできるとしたら、移管の検討もまた、新しい関係への第一歩ではあるので、その会社にとってのビジネスになるにせよならないにせよ、感情的にならず、様々な意見を交換するとよい、ということだろうか。大事なお金のために一生懸命になる人をサポートはできても、大事なお金をぞんざいに扱う人のサポートはできないからである。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓