香港の永久居民にも色々なバックグラウンドの人がいるわけだが、ここでは日本人として申請を行う際の一般的なプロセスについて触れておきたいと思う。個々の状況は異なるはずなので、不安だという人は専門家の助言を仰いでもいいだろう。複雑でなければ自分で行なっても何ら支障はないし、問題があれば入境事務處(以下、イミグレ)の方から色々言ってくれるはずだ。
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資格申請は任意だが、アクション必要
それまで香港での滞在を続けるにあたってはビザの延長をしてきたはずだが、永久居民の申請はそれとは別である。だから何もしなければ永久居民にはならない。まずは、永久居民になる資格があるのかどうかの認証を行い、その後永久居民用のIDカードへの切り替えを行う、という順序である。
永久居民になる資格があるのかどうかの認証、については申請費用は無料(2026年7月現在)である。仮に却下されたとしても特にペナルティがあるわけでもないし、何度申請をしてもよい、ということにはなっているようではあるが、当然却下の履歴は残ることを思えば、基本的には一回でクリアすべき性質のものだと言えようか。ちなみに、この認証プロセスは実際に永久居民になった後、香港を訪れることなく3年を経過して、永久居民の資格に疑念があると判断されたときも同じである。
なお、参考までに立法会(2026.3.18質疑)で開示された申請総数や却下数は以下のとおりである。この中の一人になるわけだからなんてことはない。とはいえ、これには多種多様な人が含まれているので、あまり参考にはならないかもしれない。以下、抜粋。

資格申請前の準備
まず、申請時は香港にいる必要がある。申請はオンラインでもできるようになっているものの、この申請を出すタイミングは気を付けなければならない。イミグレはその人が香港にいるのかどうか当然把握しているので、この点は誤魔化しようがない。署名した申請書類の提出を誰かに託して出張に行く等してしまう場合も申請の有効性が疑われるかもしれない。
また、先ほど述べたようにビザの延長と永久居民の申請は別である。そのため、永久居民の申請中または申請直前にビザが切れる、という人はビザの延長申請は並行して進めなければならない。繰り返すが、7年経過後のビザが自動的に永久居民に切り替わるという意味ではない。また、永久居民になることが強制されるわけでもない。
7年のカウントの仕方は公開されているわけではないが、多くの人にとっては最初にビザが有効になった日のちょうど7年後の日を過ぎたら、であるとは考えられる。最初のビザの有効化のために一回マカオに出てから戻ってきた、という人の場合は、そのマカオから戻ってきた日なのだろう。その前はビザ免除で滞在していた、ただの観光客であるならカウントはできなそうだ。ネットで検索して調べると、丸7年きっかりより前に申請した人もいるようなことが書いてあるが、法律の該当箇所をよく見ると、外国人の場合、連続7年は申請日の”immediately before”というワードが余計にあるので、過去に7年いた期間がある、とか、もうすぐ7年である、とかは排除されるのではないかと考えられる。加えて、昔はイミグレに乗り込めばなんとかなる、という雰囲気があったかもしれないが、今はデジタルの時代、日付は極めて厳格に見ざるを得ないと考えた方がいい。
7年を証明する上で、基本はその間のビザの状況確認からスタートする。途中でビザの種類が変わっている(就労ビザ→配偶者ビザ etc.)のはあまり関係なさそうだ。ただ途切れてはいけない。たとえビザが連続していても、香港から6ヶ月以上離れた期間があればそれもきちんと説明できなければならない。香港では出入国スタンプがない以上、記憶が怪しい人は予めイミグレに申請してStatement of Travel Records(有料、書留郵便)を取得してみると良い。この間にパスポートを更新した人は以前のパスポートも用意した方が親切だろう。基本のフォーム(ROP145)に添付するべき書類はこのくらいではなかろうか。ここに関しては普通に考えればイミグレ側が既に持っているであろう情報ではある。つまり、単にお互いの認識確認、という面が強い。
外国人の場合、基本のフォーム以外にもう一つフォーム(ROP146)が求められ、香港を唯一永住の地とする宣言を行うことになる。ここで、7年の居住を通じて香港が唯一永住の地となっていることを証明することになる。証明の内容は、自分の力で生きていくだけの収入があること、滞納している税金がないこと、その他の永住意図を示すサポート情報、となる。この点で、雇用に関する書類、収入や資産状況の分かる銀行ステートメント、税金の支払い明細は有用だろう。働いていない人の方が証明しづらいのは確かだ。また、現在の住所についても宣言することから、賃貸契約書または、持家なら不動産購入契約書等はあった方が良さそうだ。諸々の証跡は現在の正確な状況が分かることを最優先に、過去7年に遡れるものをできるだけ、といったところか。引越しや転職をしてきたのであれば、その様子もどこかしかの書類上に現れているはずだ。
申請時に利用するオンラインサービスは以下のページにまとめられている。
GovHK : Online Services for Verification of Eligibility for Permanent Identity Card
資格申請後のプロセス
内容に問題がなければ提出するわけだが、不備があればイミグレから連絡が来ることになるので、急いでいないのであればとりあえず申請して、その後の指示に従うだけでも十分だろう。ちなみに、追加書類は別途提出用のオンラインリンクからも提出できる。申請一発目でスムーズに済ませたい人は、予め書類を整えておくとよい。なお、オンラインでPDFファイルを提出する場合は、種類毎に一つのファイルにまとめておく必要があるが、ファイルサイズが大きすぎても受け付けられないことに注意だ。
オンライン提出後、受理された時点でその旨のレターが住所宛てに郵送される。また、システム上も状況確認できるようになるので、画面に表示されるケース番号(通常RVNEで始まる。末尾の括弧内の文字だけは恐らくレターで初めて付与される)は控えておきたい。都度進捗を見にいってもいいが、iAM SmartアプリのPersonal Assistant機能を有効にしておけばステータスに変更があれば自動メッセージも届く。いかにシステム処理が早くても、普通郵便での郵送に日数がかかるので、この受理レターは1週間以内を目安に届くと考えていい。
申請内容に問題なければ、追加のアクションは必要なしに、次は、原本確認のための招待レターが郵送されることになる。このプロセスが人によっては一番時間がかかることになるが、早ければ数日で処理され、この招待レターも1週間以内に来ることもありそうだ。追加書類があれば、代わりにこの段階にてリクエストされることになる。無事、招待レターが作成されたならその時点でイミグレでのアポイントメントの初期指定があるので、レターの到着を待たずともシステム上でアポイントメントの日時を先に確認することは可能である。招待レターが届くまでの時間も考慮して概ね2週間後くらいが初期指定されているのではなかろうか。アポイントメントの日時はシステムで変更依頼が可能なので、空き枠があれば早めても全く問題ない。ただ、招待レターには当日の持ち物などの指示も含まれていること、招待レターも当日持ってくるよう指示があるので、実際に招待レターを受け取るまでは日時を早めない方がいい、かもしれない。リスケジュールは1日前まで、メールアドレスを登録すれば2日前にリマインドが送られる。
かつては面談があったという話も聞くが、多くの人にとってはこのアポイントメントはHKIDやパスポートの原本確認、本人確認といった事務的な作業のみのようである。受付を済ませ、窓口で呼ばれるのを待つ。招待レターには90分程度かかる、と書かれているが、待ち時間がなければ10分程度で終了する。招待レターを発出する時点で、イミグレとしても最終段階であり、問題なければその場で永久居民証資格認定結果通知のレターが発行されることになる。その認定結果通知レターを持参して、今度は永久居民用のIDカードへの切り替え申請を行うことになる。
永久居民用のIDカードへの切り替え
イミグレのオフィスが移転したことで、先ほどのアポイントメントは恐らく将軍澳(TKO)で行われる。そのままの流れで将軍澳(TKO)にてIDカードの手続きを済ませるならちょうど真横にPersonal Documentation Submission Kiosk(PDSK)端末が存在するので、そこで指紋や写真(撮影トライは3回まで)を登録し、旧IDカードは回収され、仮IDとなる紙を受け取る。なお、永久居民用のIDカードへの切り替え費用は無料(2026年7月現在)である。もちろん永久居民証資格認定を受けても、その場でIDカード申請をすることはマストではないので、他のイミグレのオフィスにいってKIOSK端末以外の方法でIDカード申請してもおそらく問題ない。対面希望であれば、オンラインでアポイントメントは入れられるが、場所によっては随分先まで予定が埋まっている印象である。ちなみに、KIOSK端末でトライしても指紋が過去のものと一致しないなどエラーが出た場合は対人カウンターに案内される羽目になるようなので、そもそもアポイントメントも含め対人カウンターの営業時間を意識しておいた方がよさそうだ。
IDカード申請から発行までは最短5営業日かかるので、仮IDの紙を持ってイミグレを後日再び訪れることになる。次回は指定されたKIOSK端末に仮IDを入れ、指紋と写真認証を経て、新しいIDカードを受け取る。その間は(香港に一番最初に来たときと同じように)仮IDの紙をIDとして所持することになる。なお、仮IDの有効期間は1ヶ月なので、その間にIDカードと交換しなければならない。
新しいIDカードが手に入ったら晴れて永久居民として、より実感が湧いてくることだろう。これまでのビザに課されていた滞在制約は全てキャンセルされ、紛れもなく香港コミュニティの一員となる。
その他の留意事項
さて、この一連のプロセスは標準的には6週間かかるとされており、ほとんどの人は遅くとも3ヶ月以内には決着するようである。一方、オンラインも積極的に活用することによって、極めてスムーズに進んだ場合、申請から最短2週間で永久居民用のIDカードを手にすることも可能であることが分かる。
ちなみに、申請時は香港にいなければならないが、その後は香港を離れていても構わない。イミグレのオフィスに行くのはオンラインだと最低2回、そのうち、本人が一度必ず出頭する場面が1回あるが、IDカードの受け取りは委任フォームを提出さえすれば他の人でも構わない。
ここまでで終了と安心することなかれ、必須ではないが、IDカードが替わった以上、銀行などの金融機関には通知しておくと良いだろう。永久居民となれば、MPFは免れ得なくなったりと、ちょっとした変化もあることは知っておきたい。権利と義務は一対なのだ。窓口で認定結果を受けとってKIOSK端末に行くまでの間があまり早すぎるとシステム反映が間に合わないというので、5分ほど結果の紙をしみじみと見ていると、選挙人登録のスタッフに声をかけられるので、お願いしたら2分ほどで登録を済ませてくれる。そう、永久居民には選挙権がある。
なお、永久居民申請にあたって雇用先に知らせることは必須ではないと考えられるが、そもそもローカル職員との待遇の差がある駐在員のケースにおいては事前に相談しておいた方が賢明かもしれない。その辺はいわゆる根回し、というやつである。
今後立法会でも、永久居民の要件に語学能力を課したり、地域コミュニティへの貢献点数を可視化したりするなど、人材の定着に向けた様々な議論は起こり得ると思うが、現状は香港らしく法律に基づいた極めて事務的な承認作業であるから、書類をしっかりと揃えて説明できることを第一に考えていればいいのではなかろうか。
以上、2026年7月時点の最新情報として、今後永久居民になろうと考えている人の一助となれば幸いである。