日本では、生命保険は一般に、定期生命保険(Term Life Insurance)と終身生命保険(Whole Life Insurance)に区分されます。香港の場合、これにユニバーサル生命保険(Universal Life Insurance)というのがバリエーションとして加わりますので、どのような保険なのかをまとめてみたいと思います。

ユニバーサル生命保険の特徴

カタカナ生命保険だと会社名かと思ってしまうかもしれませんが、ユニバーサル生命保険というのは保険の種類です。ユニバーサルという名前のとおり、“柔軟な設計”ができることが特徴です。通常、生命保険契約であれば、加入時に保険料や支払い期間、保障額などを決めてしまいますよね。もちろん、減額したり、払済みにしたりすることをすすめる人がいますが、本来それはやるべきではないことです。ユニバーサル生命保険の場合は、契約期間中に自由に変更ができるのです。

ユニバーサル生命保険のメリット

1 死亡保障と貯蓄を同時並行

ユニバーサル生命保険も保険なので、死亡保障を捻出するための保険料が存在します。ただし、それは支払った保険料の一部なので、残りの保険料は運用に回されることになります。したがって、契約時から例えば満100歳までは死亡保障が提供されます。つまり、亡くなったときは保険金がおりるという点でただの貯蓄と異なります。一方、貯蓄を自分で運用するとなると、様々なテクニックが必要になりますが、ユニバーサル生命保険における利回りはそういった市場変動をややなだらかにしてくれるので、大勝ちはしない代わりに大負けもしないことが想定されます。もちろん、死亡保障の分だけ市場運用したときよりも利回りは低い可能性がありますが。

2 インフレーション耐性がある

通常、日本で加入する生命保険の場合、予定利率というのが存在し、購入時に実質固定されてしまいますね。そのため、保険加入者は保険契約に書いてある数字をいつでも受け取ることを期待できます。しかしそもそもその利回りはインフレーションが仮におきたとして損をしない水準なのでしょうか。あるいはインフレーションを十分加味した上で利回りが残るのでしょうか。今は低金利であっても将来は金利が上向くかもしれません。そのような時代の変化に合わせることができるのがユニバーサル生命保険である、とは言えるでしょう。

3 保険料を銀行から借り入れることもできる

既に触れたとおりユニバーサル生命保険は貯蓄の性質が強いため、加入時の解約返戻率も例えば8割と高めに設定されています。つまり、加入当初から価値が約束されている資産なので、銀行も与信をしてくれる場合があります。その場合は概ねこの解約返戻金に対して8割なので、支払保険料に対しては0.8×0.8で約6割くらいになることが多いようです。仮に現在が低金利であったとしても借入は変動金利ですから、レバレッジをかけるときには十分注意すべきではあります。

ユニバーサル生命保険のデメリット

1 保険の維持コストは高め

ユニバーサル生命保険の場合、当初10年などで最低保証利回りがついていることがあります。もちろんこれは加入者として安心材料ですが、プラスアルファで安心を提供している分コストがかかっていることになります。また、最低保障利回り期間を過ぎたのちに運用利回りが極度に下がっていれば、死亡保障にかかる保険料もまかなうことができず、最終的に保険契約が失効してしまうことすらあります。この点は終身保険と大きく異なるので一つのリスクとして認識しておきましょう。

2 市場環境や運用能力に依存

保険料の運用に関してフレキシビリティがあることは様々なリスクをとってその分の高いリターンを得る機会を提供します。ユニバーサル生命保険の場合、予め約束された運用利回りはありませんから、運用の結果は顧客へ転嫁されます。したがって、市場環境という運の要素や、運用能力という実力の要素に関して保険会社に委ねるしかない面があります。

3 投資資産への所有権は存在しない

運用に回される保険料は何かに投資されていますが、あくまでそれは保険会社としての投資にしかなりません。そのため、個人で証券口座で運用をするのとは異なり、投資資産への所有権を主張することはできません。保険加入者が享受できるのはその投資資産に紐付く金銭的価値であり、そしてそこから生まれる将来のリターン、ということになります。

ユニバーサル生命保険を選ぶ

ユニバーサル生命保険の中にも種類はあります。一般的なユニバーサル生命保険と、変額ユニバーサル生命保険(Variable Universal Life Insurance)です。一般的なユニバーサル生命保険は生命保険会社が運用方針を握っており、毎年いくらを配当するかを保険加入者に対し一律に決めます。一方、変額ユニバーサル生命保険は、保険加入者自身、あるいは指定した投資運用会社が運用方針を決めるため、保険加入者ごとに運用リターンが異なってきます。

低金利環境下では、積極的に資産運用に取り組みたい人が相対的に増え、一方で保険のニーズも満たせるとなると、ユニバーサル生命保険に意識が向きやすいのも理解できる、と言えます。

さて、香港にきたがゆえに目にするのがユニバーサル生命保険ですが、メリットとデメリットがそれぞれあります。どのような商品が自分自身に合うのかはよくアドバイザーとも相談をして焦らずに決めるのが良いかと思います。