海外の方が日本の不動産に関心を寄せることが増えてきましたので、改めて日本のワンルームマンション投資についてもまとめてみたいと思います。

投資初心者に勧められがち

知り合いのつてでFPさんに相談したら、まずはワンルームマンション投資を勧められ、次はオフショア積立投資でした、もともとNISAについて聞こうと思っていたら何だか不信感を感じて、なんて話も聞こえてきます。

そもそも不動産投資は投資初心者向きではないと個人的には思います。ではなぜ投資初心者に勧められるかというと至ってシンプルで、小さな手出しで大きな金額が動くので、業者の実入りがいいからです。オフショア積立投資も同じで、毎月の積立額はそれほどではないのに、何十年もの契約が発生し、手数料が業者の懐に入ります。かたやNISAはというと、熱心に話を聞いても一円にもなりません、といった具合。

売り手主導で準備されたプランにのるかそるかを決めるのは投資初心者には難しい、とは言えそうです。難しいからやるべきでない、ということではなく、難しいということを認識しておくことが何より大事だということです。

ワンルームマンション投資のメリット

投資初心者向けである、という理由をねじ込むとしたら、一つは賃料が安定していて、価格も暴落はしづらいということでしょうか。大都市においてワンルームマンションへの需要はそれなりにあり、素人オーナーでも手間暇をかけず、心配なくできる、とは言えるでしょう。今後不動産を投資の主軸にしていくのであれば、基本的な不動産に関する知識は同時に身につけられる可能性はあります。もちろんもっと手間暇をかければ知識だけでなく利回りも実現できる不動産投資だってあります。

投資としての部分から目を離してみれば、ワンルームマンションは多くの人の生活を支えており、そしてその一つ一つに対してオーナーさんがいるのは事実なのです。学生時代から、あるいは社会人になってからもお世話になった人も多いことでしょう。ワンルームマンション投資の是非を語る人は多いにせよ、ワンルームマンションそのものを否定する必要はない、とは言えそうです。

いつまでも持っていたい不動産か

不動産投資においては、税金の話、保険の話、老後の話、借入金利の話、様々なサイドストーリーが展開されるわけですが、究極的には投資対象は不動産であり、不動産が持つに値する価値があるか、あり続けるかどうかに尽きるとも言えます。価値を維持するにはメンテナンスも必要です。

しばしば、5年経ったら利益が乗っているので売ればいいんですよ、とか、何室も持って何倍にもレバレッジをかけて売買を繰り返しながらやっていけばいいんですといった、マネーゲーム要素も出てくるわけですが、あらゆる条件が上手くいくことを前提に語られてしまうと、逆流が始まったときドミノ倒し的に悪化する可能性だってあります。

後々売却を考えるにせよ、そのときに買い手が買いたいと思う物件であることは非常に重要で、それはひいては売り手として手放したくないと思う物件でもある、という意識は重要でしょう。つまるところ、いつまでも持っていたい不動産を売買すること、いつまでも持っていたい物件に維持することは最終的に投資家の利益になります。当たり前の話ですよね。

借入に対する是非

借入でレバレッジをかけないならワンルームマンション投資に何の魅力もないですよ、と業者が言ったとしたら、ここでふと借入の是非を問わなければなりません。前述の通り、不動産投資は不動産が最も大事なので、借入をしてもしなくても魅力的な物件ではあって欲しい気がします。でも、そうでないと業者が言う、とは果たしてどういうことなのか、という話ですよね。

実際、ワンルームマンション投資は大きな利回りが見込めるものではありません。場合によっては修繕などでほとんど手元に残らないことだってあり得ます。そこで、キャッシュで買うとしても買うのか、は(もちろんそのキャッシュがないから提案されているケースが多いわけですが)案外考えてみると判断基準を与えてくれる気はします。

近年は円安の進行により海外の投資家から見れば物件は数年前に比べ何十%の割引で買うことができます。彼らは逆に言えば借入をできないので、シンプルに物件としての魅力について考え、2件も3件もまとめてキャッシュで買ったりしているわけです。定期預金でも4-5%はもらえる時代に、この利回りはさておき、日本のマンションは諸外国のものに比べてしっかり作られており、いかにも長持ちしそうな感じはします。

ワンルームマンション投資は役に立つのか

調べれば調べるほど色んな意見が登場することに気付くとは思いますが、結局のところ投資はツールに過ぎません。投資案件として優れているかどうか、というのも人によって使い方が変われば見方も変わってくるわけです。役に立つ人もいる、という玉虫色の回答になってしまうかもしれませんが、それぞれの人の状況に沿って考えるしかない部分はあるわけです。

大切なのは比較的大きな買い物をしている、という感覚を持つことであり、必要であればセールスパーソンだけに相談するのではなく、客観的なセカンドオピニオンを取得することが意思決定には役に立つ、とは言えます。私自身は海外なので、例えば、海外の投資家が日本の不動産を買う際にどういったところを悩むのか、お金周りのアドバイスをすることはできます。ワンルームマンション投資に限らず、本人とは違う視点から意見を言ったり、本人が気づかない点に気づいて指摘したりすることはできるわけです。

ネガティブな意見が多いように思ったかもしれませんが、投資はやはりリスクを考えることが大事です。その上で、投資を通じて開ける未来、除かれる不確実性を目一杯享受すればいいと思います。

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