仕事に打ち込んだことによってできる資産の一つが自社株です。持株会、ストックオプションなど様々な形で半ば強制的に得た株式がいつの間にか大きな資産になっていたとき、考えるべきことについて整理してみましょう。

自社株の良し悪し

良い企業だと思って入社する人はいても、自分の会社の業績は通常はボーナス(賞与)という形で返ってくることまでしか普通は想定しません。業績が伸びるだろうと思っていても、自社株を率先して買うことを考える人は実は少ないのです。もちろんインサイダーという問題点はありますが、全く仕事と関係ない企業の株式を買うときは業績をしっかり見ている、のに、です。不思議ですよね。

日本でも持株会というのは昔からありますし、最近はスタートアップ企業でもストックオプションという、お金ではない見返りを導入する企業があります。働いて会社が成長することが、給与増以外の形でも社員や役員に還元されるわけです。やる気になりますね。

でも、持株会の株価なんてどうせ上がらないもの、などと考えている人もいます。上がらないと考える人は下がることもないと考えてもいますよね。そういう意味で、自社株は消極的に取り組んでいることの多い投資です。でも投資は投資、いつかは現金に変えなければなりません。消極的に得たものなのに、このときの心理的ハードルが高いのも一つの特徴です。

売るタイミングが選べるのか否か

投資は投資と言いましたが、実は売るタイミングが自分で選べないものも中にはあります。売る時は会社を辞めるときだったり、会社を辞めてからしばらく経たないといけなかったり、自由に取引できないものを考えるのは時間の無駄、というのは一理あります。

次に、いつ売ってもいいとしたらどうするか、ですが、自社株ゆえに売ることを躊躇う人もいます。まるで今後会社は成長しないみたいに感じるからでしょうか。あとはお金に困っているわけでもないのに、売ったと周りに知られることを避けたいからでしょうか。いずれも売った後のことまでは考えていないので、売ることの是非に意識が向いているのです。たとえ自社株といえど、株は株。仮に会社が傾けば職も危うくなるし、株価も危うくなり、せっかくのインセンティブも真逆の仕打ちになりかねません。会社は会社、自分は自分、その意識は自社株の扱いには必要なのでしょう。

高騰したら売って分散すればいいか

自社株はたった一つの株式です。とにかく一点集中なので、上手く行けば大きく化けます。自社株に負けがないわけではありません。だから集中投資としてみればとてもリスクの高い行為ではあります。一つのアイデアとしては、高騰したら少しづつ売って、仕事とは関係のない分散ポートフォリオを形成することです。たとえ仕事や事業が上手くいかなかったとしても、資産が残っていれば、新しい道を歩むことだってできます。

売って現金化する作業はもちろんありますが、その後はしっかりと運用をして、キャリアに対するリスクヘッジとして育てていくことが大切です。現金のまま置いておくのではやや中途半端です。ひょっとしたら売った後も自社株の方がパフォーマンスがいいかもしれません。でも、リスクがヘッジできていることも一つの安心材料としてより一層仕事に打ち込んでみてはいかがでしょうか。

売るときの税務にも気をつける

給与や賞与をもらって税金についてあまり気にしない人もそれなりにいますが、自社株が高騰して売却するときは往々にして大きな利益が実現しますので要注意です。しかも自分で税務申告が必要になる場合も多いです。

利益確定をして安心した束の間、税金を正しく納めなければならない現実が追いかけてきます。もし国を跨いでしまった場合は、税務が複雑になる可能性があります。国を離れる前に強制的に売らなければならないことだってあるでしょう。自社株が資産の大部分を占めることになるような人は、仕事は一生懸命打ち込んできたかもしれませんが、そのほかの社会制度には相対的に疎いと言えます。せっかくの利益が目減りしないよう、しっかりとプランニングすべきでしょう。

自社株を持ち続ける道もある

相応の期間働けば自社株も相応の量になります。仕事を辞めたとしても、会社の成長のために費やした時間と労力は次の世代にバトンタッチしているわけですから、それが花開くのは十数年経ってからかもしれませんよね。

現場を離れても誰よりもその会社のことを理解しているのは自分自身ではないでしょうか。宝物のようにずっと置いておく必要はありませんが、歯切れの良い退職金に比べると、ずっと自社株を持ち続け、少しずつ売却し、残りは持ち続ける、というのも一つの方法です。増えたら売り、また増えたら売りを繰り返すことができたなら、最高の資産に育っていることでしょう。

現状整理と将来計画

自社株を売るべきか悩むときというのは、多くの場合予期せず高騰したときです。そのため、株価が下がるかもという恐怖だったり、あまりに短期で高騰しすぎた恐怖だったりが支配してしまいします。

そんなとき、現状を洗い出してみて、その上で将来どうしたいのかを考えられたなら、自然と自社株をどのように扱うことが自分にとって最適なのか、見えてくるかもしれません。焦って意思決定してしまっては一生後悔することにもなりかねませんから、立ち止まって考えるくらいの時間はとりましょう。今まで気にしなかった自分がいるならもう少しだけ待つことはできるはずです。

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