資産を守る、とはどういうことか、その悩みの深さが理解できるのは実際に資産を持ったことのある人だけなのかもしれない。日々のお金には困っていない富裕層だからこそ資産保全に対する関心が高いと言える。

資産保全の定義

資産を守る、というのは実は様々なニュアンスが含まれている。過度なリスクがある投資をして、元本を減らさないこと、詐欺に巻き込まれないこと、あるいはただ置いておくにしてもインフレ以上の利回りを確保すること、といった具合だ。

現金を金庫にしまっておく感覚に近い、というと怒られるだろうか。

儲かるか儲からないか、ということよりも、気付いたら減っていないか、誰かに取られたりしないか、確実にそこにあるか、何なら誰かが見張ってくれているか、という話なのだ。

増やし続けることとの違い

日々のお金に困らないだけの資産になったからといって満足している人、というのは意外と少ない。

目標を達成したからこそ次の目標を立てること自体は自然ではあるが、盲目的に増やし続けることに躍起になっている人もいないわけではない。何が本人をそこまで駆り立てるのかまでは分からないが、立ち止まっていると感じないことが大事な人もいるのだろう。

増やし続けることでまた違った景色が見えてくるとは思う一方で、結局いつまでもお金に執着している感覚は消えないかもしれない。

人が守りに入る理由には様々あるとは思うが、そこに理由があるのは確かである。したがって、本当に守りたいものはお金そのものなのではなく、そのお金によって成し得るべきもの、であるケースは多い。

プライベートバンクとは

プライベートバンクは、一般の金融機関と異なり、富裕層向けのサービスを提供する金融機関である。

担当者は資産運用、資産形成に関わることだけでなく、法律や税務、相続などの幅広い相談にも対応できることから、よりパーソナライズされた長い付き合いを実現したい人にとっては検討の対象になる。

一方で、資産額に対する基準や、あるいは職業や出自、資金の流れなどが適切であると判断される必要はあり、厳しい審査基準がある、とは言える。

プライベートバンクの独自性

プライベートバンクの顧客の違いとしては、口座開設そのもののハードルもあるが、それに合わせて、資産に対する考え方が変わってくる点も挙げられる。つまり、「増やす」を目的にやってきたところから「守る」という目的へのシフトが確認できるケースがある。

もちろんプライベートバンクを利用できるくらいになっても、ひたすら増やすことだってできるし、その独自の方法だってある。

ただ、資産を保全するという考え方に多く接している、という意味でサポートが得られる可能性は大きい。大きく儲けなくてもいいが、合理的で十分なリターンは得たい、ということと、税金やインフレで目減りすることなく、次世代に継承できること、などである。

顧客側は目的が変わったことは自身で認識ができるが、これまでの知識や経験が通用しないことも同時に感じ取るため、新しいリレーションが必要になるのも事実である。

二人三脚の感覚を掴む

資産額が大きくなればなるほど、それに対する悩みも大きくなる傾向がある。したがって、どこかの時点で第三者の力を借りなければ追いつかない瞬間が訪れる。このとき、事業を経営している人であれば、誰かを上手く使って事を成し遂げるのに対する抵抗感は薄いかもしれないが、そのときに気持ちの良い関係性を築けているかは人によるし、誰かに自分の資産の面倒を見てもらう、ということに抵抗を感じる人だっている。

文字通り、二人三脚の状態になるので、繋がっている部分が存在する。自分の歩幅と違っていたら絡まってしまうし、片方が休みます、と言ったら何も先に進まないかもしれない。

とまぁ例え話をしてもあれだが、要は相性の良い担当者がいればスムーズにいくし、逆に何か違和感があるのであれば、その原因を突き止めて理解しておく必要がある、ということに尽きる。

自分に合う方法を見つける

もちろん資産保全がプライベートバンクでないとできない、ということはない。守りたい資産の規模がプライベートバンクの基準に満たないこともあるだろうし、良い担当者に巡り会えるとも限らない。

常に守りの姿勢を貫くことは失敗を避けるという意味ではいいかもしれないが、守り続けた結果、本当は達成したかったものから遠ざかっている可能性だってないわけではない。

結局はプライベートバンクも一つのツールにすぎないので、固執しすぎず、自分に合う方法を見つけることのほうが大事である、とは言えよう。

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