今回は、様々なお客様の保険契約を見てきたなかで、しばしば香港で契約書にサインする前に立ち止まって考えてみてもらいたいポイントを少しお話ししたいと思います。

言ったつもり、分かったつもりになっていないか

多くのお客様と話をしても、未だに感じるのは、お客様にある「認識ギャップ」であり「先入観」です。ファイナンシャルプランナーとしてはもちろんお客様のニーズを汲み取って、かつ重要事項をしっかり説明する義務があります。

ただ、現実にはお客様の金融知識、そして金融への興味が千差万別なので、本当に伝えきれたかどうか、という点については悩むことがあります。しっかりお客様側で吟味をしていただいたとき、質問がとても多かったときは少し気が楽になりますが、こちらからご提案した商品をそのまま受け入れていただいたときは逆に質問がないのであえてポイントをかいつまんで話したりはします。

香港での保険契約に潜む「認識ギャップ」や「先入観」の例

【例1】香港の保険契約には、保証利回りと非保証利回りがある商品がありますが、文字通り、非保証利回りは非保証です。当然ですね。ただ、保険会社はバックテストをして、相応に妥当とみなせる数字を出している、とお考えいただくことは問題ありません。そして、保険会社としては達成率(fulfilment ratio)を公表する必要がありますので、できれば100点に着地させたいとは考えます。したがって、非保証利回りは完全なブラックボックスではありません。ただ、どこまで行っても非保証だということは、必ず覚えておくべきことです。数十年後に蓋を開けてみて、思っていたものと違った、ということにならないようにしてもらいたいと思います。

【例2】香港の保険契約には、投資性を帯びたものがあります。日本でいう変額保険に近いもので、ファンドを選んで月々の積立をしている感覚になるものです。ただし、保険契約なので支払期間が25年など長期にわたるものが多いのですが、もしお客様が、「ファンド積立」だと思われてしまった場合、積立なので途中で止められるはずだと思ったり、あるいは途中で増額できたり、というオプションがついていると考えがちです。でも、保険である以上、最初に設定した支払期間を満了することが基本であり、そして増額するのならば新しい保険を買ってください、ということになります。昨今は証券投資が手軽になったので、あえて投資対象の選択肢の少ない変額保険を選ぶ必要性は少なくなったように思います。契約前には「本当に保険で良いのか」考えてみてもいいかもしれません。

【例3】金融への興味や関心というのは人によってまちまちであり、ある人は「株が資産運用の鉄板だ」と言い、ある人は「株は危ないものだから、保険でいい」と言います。しかし、そもそも自分という人間を客観的に見たときにどのような資産運用の形態をとっておくべきなのか、ということはあってもいいかもしれません。もちろん、自分自身の考え方はとても大切で大事にすべきものですが、もし偏っているとしたらまずは姿勢を正すところから始めてみてもいいかもしれません。「元本保証」という呪縛に捉われていないでしょうか。あるいは元本保証であるべきことに気付いているでしょうか。確認すべきことです。

結局は最初に誰と契約するかが非常に大事

保険は長期の契約です。長期の契約をする以上、「誰から買うか」は非常に重要になってきます。商品としては同じものを扱っているケースは当然ありますが、だからといって「どこでもいいや」と思ってしまうと後々悔やまれる結果になり得ます。

お客様から見て担当者を選ぶときには、

  • ① 自分に合った商品を紹介してくれているか
  • ② 内容を理解するまでとことん付き合ってくれそうか
  • ③ 契約満了まで面倒をみてくれそうか

あたりがきっと大事になってくるのでしょう。

過去に他社で契約された、あるいはこれからされる方が、担当者変更(IFA移管)やセカンドオピニオンという形で持ち込んで来られるケースもそれなりにありますが、多くの場合は①〜③が不満のもとになっているように感じます。いかに商品が優れて見えたとしても、どういう人と付き合っていくか、を意識しておくことは大事かもしれません。

また、保険のことは保険の専門家に、という考え方はある一方で、少なくとも資産全体のプランニングは包括的に見てもらった方がいいという考え方をなさる方もいます。つまみ食いのような資産構成になってしまわないことは意識したいものですね。

そのため、「どうしてもこの商品がいいと思うのですがどう思いますか?」といった商品ありきの検討をやめてみると、担当者からは全く別の提案が出てくるかもしれませんね。最初のポイントに戻って、「言ったつもり、分かったつもり」が減っていくことに気付くことでしょう。