多くの人は海外における遺言の作成が時間がかかる複雑なプロセスだと思っている。遺言の中身についてよく考えることは必要であるが、書くこと自体はプロの手助けがあればそれほど大変な作業ではない。

海外で遺言を書くにあたってのチェックリストを挙げておこう。

受益人(Beneficiaries)

受益人というのはあなたが亡くなったときに、資産や所有物を相続したいという人物のことである。誰にいくらくらいを渡したいのかを具体的に書くことも可能である。受益人の候補としては、配偶者や子ども、直系の家族、あるいは友人やチャリティでも構わない。もし仮に最初に指定した受益人が亡くなった場合は代わりの受益人も指定し直すことができる。

個人の所有物の面倒を見る人

あなたが亡くなった後、個人の所有物をどうするのか考えをめぐらせておくといい。もし子どもがまだ若いのであれば、その扱いができるようになる年齢になるまでは誰か別の人を任命した方がいいかもしれない。家宝は家系の人間の手にわたるようにしたいだろう。ペットは個人の所有物という扱いになるので、それも同様に考えておいた方がいい。

法定後見人(Legal Guardians)

後見人というのは、両親とも亡くなった場合に子どもの面倒を見る人物として指定する人のことである。未成年の子どもを残して両親がいなくなり、法定後見人が指定されていなければ、裁判所がそれにふさわしい人を決定する。結果的に、保護施設行きとなることもあるかもしれない。もし後見人が子どもとは別の国に住んでいる場合、子どもの住む国で一時的に後見人をする人物を指定し、最終的な後見人に引き渡されるのを確実にするといい。

遺言執行人(Executors)

遺言執行人というのは、あなたの残した遺言を執行し、遺産を取り扱いたいと言う人物のことである。理想をいうならば、あなたの思った通りの遺言を指示してくれる、信頼のおける誰かであるといい。受益人は遺言執行人になれないという勘違いをする人もいるが、多くの場合では配偶者が、最大の受益人として遺言執行人を務める。もし未成年の受益人がいるのであれば、遺言執行人は二人を共同指定することとしている国もある。

未成年の受益人に対する信託人(Trustees)

もし受益人が未成年である場合、法的には直接遺産を継承することはできない。成年に達するまでの間、代わりに相続財産の面倒を見る信託人として、誰かをあてがう必要がある。ずっと子どもの面倒を見てくれたヘルパー(お手伝いさん)を指定するというアイデアもあり得るが、ヘルパーとしての雇用はそもそも親が行っていることが多く、現実のシチュエーションにおいてヘルパーが信託人をこなすことができる法的根拠は弱い、と考えられる。

信託人としての指定期間は長くなる可能性があるので、誰を指定するのかよくよく考えないといけない。遺言執行人が信託人を務めることはままあるし、法定後見人を信託人に含めることも合理的かもしれない。

海外における遺言を準備する

遺言(Will)とは人生の中で恐らく最も重要な法的書類である。したがって、明瞭でかつ正確な言語で、かつ現地の法律に則って書くことを忘れてはならない。国ごとに遺言に対する法的要件が変わってくるのでそれも考慮に入れる必要がある。法的な複雑さを可能な限り排除できる適切な遺言を作成することで、相続のプロセスは極めてスムーズにすることができる。

遺言とは非常に個人的なもので、かつ対象となる人との間では感情的なやりとりを生む可能性がある。この性質ゆえに、作成を先延ばしにしようと考える人が多い。しかしながら、もし遺言がなかったとしたら、あなたの望むような資産継承が、あなたの望むような人にストレスを与えることなく実現することはない、ということは考慮に入れるべきだろう。

すぐにでもすべきこと

遺言を書くにあたって家族で話し合いをしたりするケースもあるだろうから、実務面以上にそれなりのタイムラインを用意すべきと考える人の方が多いかもしれない。それはそれでいい。ただ、遺言にいたるステップの中で、そもそも現状がどのようなものなのかを知らない人は多い。

〇〇の国に銀行口座を持っているということがどう扱われるのか、△△という国に不動産を持っていることにどう対処すべきなのか、である。全ては“あなたが元気でいれば”あるいは“あなたが生きていれば”何とかなるものかもしれないが、その条件がなくなったときに混乱をもたらすようではいけない。現状を知り、必要なタイムラインを把握して、余裕を持って動くこと。当たり前のことかもしれないが、先延ばしすればするほど厄介な問題に発展する可能性は高い。

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