皆さんに、投資の目標は何でしょうか、と聞くと多くの人は目標リターンのことをイメージするようです。具体的な数字で返ってくることは一見すると良いことのように思いますが、なぜその数字なのか、の根拠は乏しい場合がほとんどです。そこで、投資においてどのような目標を定めるべきなのか、という話をしてみます。
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投資における”おすすめ”
投資したい、となった場合、何か商品を買い求める人がいます。でも、どの商品がどのように良いのか分かりません。となると、自分よりも詳しい人に、どれがいいですか、と聞くのが良さそうに感じます。つまり、おすすめを知る必要があります。
同じように、アパレルショップに行って服選びをする自分をイメージしましょう。自分で選ぶと似たようなものをついつい手にとってしまいますが、店員さんにおすすめを聞くと、自分では選ばないけれど、なんだか自分に合ってるな、あるいは着ていく場面に合っているな、というものがあることに気がつきますよね。
店頭の人形が着ている服はひょっとしたら今シーズンの流行なのかもしれません。それを着る自分を良いと思うこともあるかもしれません。でも、次のシーズンはそれは変わっているはずです。
自分に合っているものは恐らく流行りと関係なく長く着ることになるでしょう。年齢とともに多少好みが変わっていくことはあるかもしれませんが、それでも使い捨ての服よりも最終的なコスパは良さそうです。
大事なのは、服が優れているかどうか、ではなく、自分の好みについて知ることだし、自分の個性を活かす方法を知ることだったわけです。
投資にも同じように流行り廃りがあります。でもそれと自分に合っているかどうかという話は違います。だからおすすめも、勧める人によって違うのではなく、勧められる人によって違っている方が本来のあり方のように思います。
投資の目標
でも、ここで、自分の個性なるものが何なのか、ということに行き詰まる人が多いのも事実です。とことん考え抜くととても良い結果に繋がるのですが、もっと表面的に考える人の方が一般的でしょうか。それは、リスクに対する考え方だったり、リターンに対する考え方だったりするわけです。
何を達成したいのか、という部分をリスクやリターンという尺度で測ることを試みてみます。
- リスクは高くてもいいが、資産が時間をかけて大きく伸びてくれることを期待する
- リスクのことはちょっとよく分からないが、とにかく安定的な収入が欲しい
- 資産が減るところを見たくないが、何もしないのはもったいない
- 少ない元手を時間をかけずに増やしたい
これらはどれかが間違っている、という話ではないのは理解できますよね。考え方の違いです。だから、短期トレードをしている人を批判する必要はないし、あまり投資をせずにコツコツ貯蓄だけしている人を批判する必要もないわけです。
ただ、考え方と実際の行動を踏まえた上で、本来目標としている地点に向かっていないケースはままあります。例えば、1日1万円ずつ貯金をしても1年で365万円しか貯まりません。1年後に1,000万円ないと困るのであればこのやり方は正しくないわけです。1日1万円貯めるという目標は、1年後に1,000万円貯めるという目標とは一致していないことに早い段階で気づかねばならないと言えます。
ちょっと極端な話をしましたが、投資の手法を選ぶ上でも同じで、目先のことばかりを考えていて、本来達成したいことを棚上げにして考えている人はいるわけです。
数字にすると変な感じがする人もいるかもしれませんが、実際のところは、子どもにしっかりとした教育を受けさせたい、だとか、何歳までには戸建てに住んでいたいとか、老後は夫婦で世界を旅していたいとか、そういう目標に置き換わるのが自然です。
資産の増え方は一様ではない
コツコツ着実に伸びていくのを目指すのはいいとして、実際に資産を持っている人がどのようにして資産を増やしたか、という点が気になる人もいます。現実的には人生のある時点でポコっと資産が増えている人がそれなりにいるのも事実です。
これも先ほどの手法の選択の延長で、資産は労働の産物だ、という考え方をとりすぎると、結果として資産の伸びを抑制することは何となく理解できますよね。攻めは最大の防御なり、なんて言葉も世の中にはありますが、適度なリスクを受け入れ、それに晒されている方が、実際にはガチガチに固めてしまうより可能性を広げてくれる面はあるのです。そもそも経済環境、そして未来というのは不確実なのですから。
投資はいつやめればいいのか
投資を始めたはいいが、いつやめるのか、この答えがなくて困っている人も見かけます。これも実は投資の目標の部分がはっきりしていないからでもあります。何を持って達成されたのか、が決まっていないのでやみくもに続けないといけない、と感じているわけです。
実際のところは、スパッとやめる、というよりは投資における目標の変化に気づき、運用の仕方の部分を変化させていくことが必要になります。だから、やめるという極論に落ち着かなくていいと個人的に思いますが、やめた方が何だか心が楽になる、というのであればそれもまた一つの考え方でしょう。これも目標に沿ったものであれば最善の選択肢なわけです。
投資の成功への近道は、目標を正しく認識することにあると言えそうです。