オフショア積立投資を勢いで始めた人もいずれは出口戦略に意識が向かう。海外ゆえのトラブルも多いので早い段階で対策を立てておきたい。

オフショア積立投資とは

オフショア積立投資とは、いわゆる、海外積立、オフショア積立、オフショア投資などと呼ばれる投資手法や金融商品のことである。一般には、日本に進出していない海外の保険会社が提供するスキームであり、つまるところ保険の一種である、とされる。

なぜこれをとりあげる必要があるかというと、海外の金融商品ゆえに情報が少なく、誤解をしたまま契約に至ってしまっていることが散見されるからである。

できれば契約する前に正しく理解したいが、契約した後でも理解を向上させる努力を怠るべきではない。ここではオフショア積立投資の契約後の人が抱きやすい疑問について解説したい。

出口戦略を練るべき理由

全ての投資には出口戦略が欠かせない。投資を開始する前に出口戦略について考えることはもちろん大事だが、契約後にも様々な外部環境の変化が訪れ、出口戦略の見直しを迫られることはある。例えば、

  • 対象税制が変わった
  • 海外での投資継続が難しくなった
  • 海外に銀行口座を持つのを諦めた
  • サポートが悪くなった

などである。

税制が変わったから投資できなくなる、ということはないだろうが、税制が変わると投資を続けていてもメリットがなくなる可能性はある。居住地の変化や、その国での毎年の税制改正、あるいは税制上の解釈の変化などである。投資のネットリターンが大きく変わるようなら投資戦略を再考する必要がある。

また、オフショア積立投資の場合、支払いをクレジットカードなどで行っているケースは少なくない。マイルなどが貯まることを魅力に思った人もいるかもしれない。

クレジットカードはもともとショッピングのためのもので、“金融取引”を行うことは認められないケースがあるので、積立ができなくなる、という事例もなくはないようだ。

他に支払い手段がないか考えねばならない。

そのときに海外に銀行口座があれば支払いはしやすいかもしれないし、あるいは引き出しや解約をするにしてもやりやすいかもしれない。年齢を経て“海外”から遠のいてしまったのであれば出口戦略を意識したい。いざとなれば英語を使わねばならないかもしれない。

外部環境の変化や、商品そのものの問題以外にも、契約を仲介する業者であるIFAなどのサポートが悪くなることや、担当者が辞めてしまうといったことはある。

大切なお金を扱うだけに、サポートが弱くなれば投資の継続を躊躇することにもつながりかねない。そんなときは金融商品の解約だけでなく、IFAの変更も一つの出口戦略となろう。

オフショア積立投資の解約

オフショア積立投資は実は解約も非常に多いと聞く。そもそも流行があったのは2008年以降くらいからであり、まだ20年が経っていないなかで、もともと20年や25年といった契約をした人が未だにきちんと積立を継続している、あるいは契約を維持しているというケースはどうだろう、約3割といったところではないだろうか。

当然ながら積立期間を終えていないもので利益を出して解約に向かうケースは稀である。

契約が維持されない理由は例えば、

  • 契約内容が正しく理解できていない
  • 正しいルートで契約していない
  • 担当者がいなくなった
  • 停止や解約を勧められた

が挙げられる。

オフショア投資の多くは保険契約であるため、保険料として支払う約束をした金額とその期間を満了させることが契約者としての義務である。

にもかかわらず、“積立投資”であるという言葉からイメージされるように、積み立てたい金額を変更したくなれば変更したらいいという感覚が生まれやすい。もちろん変更できないわけではない。

結果として契約違反をしてペナルティをくらいながら、積立を停止したり再開したりしているので、思うように増えないわけだ。期待していることと実際にやっていることのズレが生む悲劇でしかない。

オフショア積立投資は保険会社の商品だが、保険会社の営業員が販売するというよりは、その代理店が販売することが一般的である。その代理店が販売ライセンスをもったIFAなのであり、それ以外の仲介者はただの紹介者でしかない。

にも関わらずサポートと称して販売や勧誘を行うケースは後を立たず、結果として重層的な費用を顧客が支払っているケースまである。その上で担当者がいなくなりでもすれば、もはや契約が残るだけで、顧客の顔や契約の経緯を知る人はいなくなる。そのときにふと、契約を継続する必要があるのかと不安に駆られるわけだ。

オフショア積立投資に解約が多いのは、実は勧める業者がいるからでもある。なぜそんなことをするかというと、一つは解約をさせることで顧客側の予算を作り、新しい商品を販売するため、である。

証券会社の回転売買と同じで、ずっと積み立てを継続されてしまっては利益が薄いと考え、顧客が迷っていると停止を促し、そして解約を促し、新しい商品で稼ぐ。もし2〜3年程度で積立停止や解約の話をもちかけられたならそういった誘因も疑うべきであろう。

オフショア積立で“増えない”理由

まずは“増える”という認識を持っている人にありがちなのが、年率10%超で運用されるのがオフショア投資であるという刷り込みがあることだ。

IFA毎の過去の運用リターンなどを見せられて契約を決めた人などはこうなりやすい。

運用をするなら高いリターンでやりたい、オフショアならそれができると言われた、だから決めたんだ、という人がいる。

過去は過去という話をしたいわけではなくて、この場合には高い期待リターンの根拠が薄い、ということである。ファンド選びにおいても、前年のランキングトップがあと何年先までランキングトップでいられるか、知って選ぶべきである。

ただし、ここ20年の運用環境を見る限り、もしマイナスになっていたり、10年かけて10%とかその程度のリターンなのであれば、以下の構造的な問題を疑うべきだ。

  • 手数料が高すぎる
  • 運用戦略が練られていない
  • 一人ひとりに合わせていない

一時的な投資の出来不出来はあるにせよ、もともとの手数料体系が高すぎれば上手くいくものも上手くいかない。契約を見返して原因を探ることは重要である。運用を開始して年月が経ってからこそできることでもある。

それ以外には運用のスタイルが自分に合っていないケース。いくらIFAに運用を任せているからといっても何でもいいわけではないだろうから、ときどき運用レポートをみるなりして思っているとおりの運用が行われていることを確認すべきである。運用しているはずのお金が現金に過度に偏っていたり、買えるだけのファンドにただ分散投資しているだけになっていたりしないだろうか。

また、IFA毎の運用モデルを見せられた人にありがちなのは、それが自分にももたらされるリターンであると勘違いすること。

契約を見れば分かるが、運用戦略は契約毎であり、当然ながらスイッチングも契約毎に行う。にも関わらず会社としての運用戦略を当てはめてしまえば、モデルとして上手くいっていても個々には上手くいく人と上手くいかない人が出る可能性は排除できない。一人ひとりの顔をみて、契約をみて運用内容を調整するのは実は必要な作業である、と言える。

オフショア積立の満期

オフショア積立の契約には満期があるが、”満期”もまたミスリーディングなワードになり得る。というのも、満期になれば確かに自動解約される契約も存在し、その場合には満期と呼ぶにふさわしい。投資したお金が返ってくるからだ。

一方、“満期”を過ぎても解約にならないものがある、というよりは、支払いが終わることを“満期”と呼んでいるだけであって、実際には契約の終了を意味せず、申請しない限り解約はされない。

ただ、支払い期間が終わっていれば解約手数料がかからないことも多いので、その時点で新しい投資プラットフォームへ乗り換えるのは検討してもいい。ただし、あくまで支払いが終わっただけであって積立投資としての始まりはそこから、ともいえる。いずれにしてもよく考えたい。

オフショア積立の受益人設定

不思議なことに、オフショア積立をやっている人の意識は完全に投資であるので、受益人(Beneficiary)を設定していない人があまりに多い。

おそらく保険であると念押しすると、契約者が投資なのか保険なのか困惑すると思って言わなかったのだろうが、オフショア積立の多くは保険である、したがって受益人を設定できるというメリットがある。

受益人を設定せずに契約者が亡くなった場合、これは解約に非常に時間がかかるので、気づいたときに受益人が指定されているか確認すべきだし、定期的に見直しをするのがよいだろう。

出口戦略は新しいIFAと一緒に練ることも有効

契約を後悔しないため

出口戦略を一人で冷静に練ることができればいいが、出口戦略を考える人の多くは契約したことを後悔した状態に置かれていることがあり、気持ちとしては今すぐ解約したいと思ってしまう。

しかし、このことは株価が下がってすぐにでも損切りしたいという心境とよく似ていて、まずすべきことは何が原因でそうなったのかを知り、続けていくメリットを洗い出すことにもある。解約する理由や口実を探すことではない。不満を正直に聞いてもらうという意味では別のIFAに話を切り出してみるというのがいいかもしれない。

契約したことを後悔したまま解約に向かうと、それは一生後悔のままである。

始めたときと同様、止めるときもまた冷静な判断をすることができれば、次に活きる経験になることは間違いない。失敗から学べ、とはよく言うものである。もしかしたらそのオフショア積立投資は失敗していないことに気付けるかもしれない。

一番損が少ない解約方法を選ぶため

他によりよい運用方法があったとしても、すぐに解約することが最善かどうかはケースバイケースである。

解約ペナルティの問題もあるし、運用の中身を変えるだけでその他の運用と差別化できるかもしれない。せっかく契約したのだから、何か活かす方法がないかも合わせて検討し、一番損が少ない解約方法を選びたい。

この話をする上で、契約のあるIFAでは必ずしも出金や解約(=収益減)に対して中立的なアドバイスは望めないことがあるため、もし話が運びづらいと思ったら、別のIFAに話を聞いてみるのは有効である。

正しいルートとお金の流れに戻すため

もし仮に正規の代理店(IFA)ではなく、サポート業者や紹介者を通じて契約していた場合、その裏にいたIFAと直接連絡をとるようにしたとしても、かつての業者へのお金の流れが絶たれるとは必ずしも言えない。

紹介契約が残っている可能性があるからである。その場合、サポートを受けていないところに間接的に費用を払い続けている状態になり、サポートをするIFAは少ない取り分で顧客の面倒を見ることになる。

顧客にとっては明らかに不利である。この状態を是正する最も良い方法は、契約したIFAと直接連絡をとるようにすることではなく、契約したIFAから別のIFAへ証券を移管し、一度離れることである。

これによって中間マージンのようなものは排除できる。間違ってもここで紹介者に別のIFAに変えたいという話をしてはいけない。全てを正しいルートと正しいお金の流れに戻すことが必要である。

まとめ

金融商品は難しい。そして海外の仕組みはさらに難しい。そう思う人は少なくない。自分で解決しようと背伸びをしすぎて疲れてしまっている人も見受けられるので、長く投資を続けるためには、そもそも何のために投資をしているのか、に立ち返ってみるといいかもしれない。

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