ドバイは中東における国際金融センターとして知られ、国内外への資金の流出入に制限がなく、所得税、贈与税、相続税といった税金も一切ないオフショア地域でもあります。

フリーゾーンでの100%外資による会社設立ができるため、ビジネスを移転させることを考える人もたくさんいます。2023年6月からは法人税導入がスタートすることもあり、変化が予想されていますが、依然として注目を集める地域であるのは間違いないでしょう。

今回は、そのドバイで住む方々がどのような資産運用のチャンスがあるのかまとめてみたいと思います。

定番はやはり不動産投資か

ドバイといえば不動産開発が盛んな地域である、と認識している人が多いことでしょう。不動産登記もきちんとなされるので、新興国のような投資詐欺の不安は少なそうですし、成長市場であるため、大手のデベロッパーを利用しても十分なリターンを見込むことができる、ともされます。

もちろん不動産投資なので、流動性が高い、とは言えませんが、賃貸市場も底堅く、インカムゲインを得つつ、キャピタルゲインを最終的には狙えます(もちろんどちらも非課税です)。ただし、キャッシュで購入できる資産家はともかく、一般投資家向けとは言いづらいかもしれません。一部には投資用のローンを組めるという話もありますが、誰でもというわけではありませんので、調査が必要です。

銀行及び投資口座の利用

ドバイに住み始めれば、現地通貨はディルハム(AED)ですから、まずは銀行口座を開くことにはなりますが、そこで投資口座を開くことももちろん可能です。ただ、非居住者でも銀行及び投資口座を開設か、という点に関してはあまり積極的な印象はもちません。ほとんどの銀行ではエミレーツIDや滞在のためのビザの提示を求めているため、非居住者は原則不可と考えていてよさそうです。

ドバイにも株式市場はありますし、(利用するかはともかく)イスラム圏特有の金融商品に出会うことはできるでしょう。ただし、商品ラインナップとして多岐にわたるかと言われるとそこはまだまだ発展途上という印象です。現地で証券口座を開く場合もこの点は知っておくと良いと思います。

また、現地サービスに関しては、レスポンスの早さと正確さに関してはまだまだ満足度が低く、メールや電話で話が進められる、というよりは実際に支店に行って話をしないと埒が明かないと感じる人は多いようです。このあたりは人それぞれの感覚だと思いますが、お金周りのことに時間がかかると不安に思ってしまいますよね。

オフショアでの資産運用

ドバイ自体がオフショア地域ではあるのですが、資産管理センターとしては香港やシンガポールなど他の地域の方がいち早く発展してきました。そのため、満足のいくサービスを得たいと思うのであれば、少しトリッキーに思うかもしれませんが、ドバイ→オフショアという形で資産運用の仕組みを構築するのも一つの方法です。

両方の地域で税金がかからない以上、無理にドバイ現地のサービスに固執する必要はない、とも言えます。もちろん、いざとなったときに資産の管理場所に行く必要があるかどうか、というのは確認しておいた方がいいことではありますが。のちのち日本やマレーシア、タイにも行き来するという場合、香港などを資産管理場所にするのは立地として適している面はあります。

また、人口が十分でないことにより、現地の金融サービスではカバーし切れないこともあります。例えば、がんや脳卒中などを保障する保険などは海外のものの方が充実していることがあり、現地の医療サービスもそれを受け入れているケースがあります。

投資スタイルの決定

海外にいると投資に関する情報が少なく、周りの人に聞かざるを得ないこともあり、所属している集団の投資スタイルに引きずられてしまうことがあります。

もちろん誰かに助言を求めること自体は否定されませんが、自分がどういう投資を目指しているのか、ははっきりと持っておくことが大事です。起業家タイプの人で積極的にリスクを取る人もいれば、あるいは家族のために保守的な運用をする人だっていていいのです。

この部分が揺らぐと最終的に投資は失敗したと感じやすくなります。

資産保全・継承の効率化

オフショア地域で資産運用を行う目的は、運用時の税金がかからないことで、効率的に増やすことができる、というのが挙げられますが、一方で、資産保全・継承を行う上での効率性を考えての人も多いでしょう。

その場合は、ドバイなどのオフショア地域における法律だけでなく、ご自身の資産に関係があるであろう、諸外国の法律についても参照しながら進めていくことになります。これまでの人生で、日本だけでなくイギリスやアメリカ、オーストラリア、などに関わって来た場合は要注意です。何か具体的なアクションをする前にプランを組んだ方がよいケースがほとんどなので、早い段階で専門家に相談しておくことが大切です。

また、ドバイでの滞在の後に他の国に移住する予定がある場合も同じくプランニングによって効率化ができる可能性があります。

資産移転時の注意点

単純にドバイでビジネスをして、あるいは働いて財を成す場合もそうですが、もし他国で一財を成した後に資産移転を伴う場合、過去のお金の流れが分かるようなエビデンス(証跡)を残すことは非常に大切になってきます。

というのも、ドバイは目まぐるしく変わる国際情勢の中で様々な立場の人間を受け入れる国際ハブとなっており、それゆえにマネーロンダリングのチェックなども厳しいからです。

自分には関係ない、と思ってしまうかもしれませんが、どこから来たのか分からないお金、というのはいざとなったとき使えない可能性があるのでご注意ください。

↓ この記事が気に入ったらシェア ↓