投資はロング(買い)が基本であるが、弱気相場、ベア相場に突入すると、恐怖心が上回り、投資家は性急な判断をしがちである。長期的な目標を考えること、アドバイザーを活用することを考えるべき局面である、という話を今回はしよう。

人間が持つ恐怖心

新型コロナウィルスが流行り始めた頃、金融相場は暴落した。明らかな景気後退を経験したにも関わらず、あれよあれよという間に株価が上昇した記憶は決して古くない。

人間には恐怖心がある。それは人間たる証であるが、同時に投資においてはノイズになりかねない。相場が下がり始めると、株価はいつ底を打つか、待っていればもっと下がるのではないか、を考え、相場が上がり始めると、株価はいつ調整局面を迎えるか、利益の出ているうちに勝ち逃げをすべきではないか、と問いかけてくる。

さて、実際に景気後退局面を迎えるかどうかはさておき、そうなるのではないかという観測に対して不安を抱える投資家が犯しがちな3つのミスを指摘しよう。

景気後退期における投資家へのアドバイス

奇をてらった投資を探さない

株式市場は大きく、誰もが知っていて、そして明らかに“ダメだと思う”から別のものを探すという発想をする人がいる。弱気相場においてわざわざ負けにいくようなものだという反論が返ってくるかもれないが、そういう人に限って、よく分かっていない、奇をてらった投資に手を出すことがある。

もちろん、そういったものの中にも優れた投資機会が存在する可能性を否定はしないが、往々にしてそういった投資家の逃げの心理を生かして投資家を呼び込んでいるものが多い。しかし、冷静になれば手を出す必要のないものであり、結果的に失敗に終わる可能性を高めているに過ぎない。

荒波に小舟で漕ぎ出さない

金融相場には荒れている時期と凪いでいる時期がある。例えで恐縮ではあるが、荒れ狂った相場に船を出したなら、運が良ければいち早く次の目的地に着けるかもしれないが、途中で坐礁する可能性も高い。追い風が吹いている相場ならともかく、逆風が予想されるのに小舟ではまずい。

確かにボラティリティは激しいのでデイトレードのようなことで儲けられる瞬間もあるかもしれないが、次の瞬間、全ての利益は高波に持っていかれる。ちょっとだけなら短期トレードでいい、そんな気持ちの緩みは結局のところ上手くいかない。資産がそれなりにあれば、波が大きいほど資産の振れ幅も大きくなる。しかし、資産家には資産家なりにの荒波の乗り越え方を身につけておかねばならない。

全てを手放してはならない

損失を抱えたい投資家などいない。弱気相場に入ってじりじりと資産価値が下がれば、最初は心に余裕があっても、どこかで我慢ができなくなる。相場の反転を待っている自分を信じきれなくなる。

何度も自分に問いかけるうちに、その恐怖から解放されたいと思うようになる。そのときに、一人で抱えこんでしまうと、見境なく全ての資産を手放し、身軽になろうとする。

もちろん、勝っていたって手放した方がいい資産があるのと同じように、負けていたら手放した方がいい資産はある。しかし、だからといって全てを手放す必要は全然ない、ということはよくある。

長期的目標とアドバイザーの存在

景気と資産運用の成績は相関があると思い込んでいる、あるいは相関があると思いたい人がいるが、必ずしもそうではない。正確にいえば、ある瞬間は「やっぱりそうだよね」と思うことがあり、そして別の瞬間は「何でそうなるんだっけ」となるのである。人は常に納得をしたい生き物である。

景気の波が個人にとって予測不可なものであるのと同じく、資産運用の成績の波も予測不可なものである。波の予測は不可ではあるが、コントロールと対処はできる。

景気を乗り越えて人が生きていけるのと同じように、資産運用もまた長期的には向かう先をイメージして対処はできるのである。最終的にゴールに辿り着くのであれば、途中経過に目をくれる必要なんてない。

ただ、その辿り着くゴールについてあまり考えたことのない人は多い。本来、相場がちょっとやそっと動いたくらいで動じる必要などないが、そもそも何のために投資をしているのかが欠けているがために足元がぐらつくのである。

景気後退が訪れたとき、投資家を支えるのはファイナンシャルプランニングであり、その助言をするファイナンシャルアドバイザーである。景気後退が来るかもしれないと感じるなら、拙速なアクションをする前に、しっかりとしたプランニングをしてみてはいかがだろうか。

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