海外投資家による日本の不動産への投資が増えているという報道は増えました。仲介業者が手続きに慣れれば広告も増え、購入ハードルも低くなりますが、最終的には不動産オーナーとしての責任が伴います。日本の不動産を保有し続けることがベストなのか、考えてみてはいかがでしょうか。

日本の不動産への投資ブーム

現時点で、日本の法律に基づくと、日本国籍を持たない人、海外に住んでいる外国人でも不動産の購入や売却を自由に行うことができますよね。国によっては外国人による不動産の購入や売却に一定の制約を課したり、より高い税率を課したりすることが一般的ななかで異例と言えば異例です。

そんななか昨今の円安傾向もあってか、観光インバウンドだけでなく、投資用不動産の購入や移住のための住居購入も一大ブームのようになっています。出口戦略は見えているでしょうか。

そうでなくても、国際化の流れの中で、ご家族から日本の不動産を相続した、ということもあるかもしれません。

関心の低下と維持コスト

ところでブームに乗って日本の不動産は買ったはいいものの、その後は思った通りの結果になっているのでしょうか。不動産は保有しているだけでも様々な維持コストがかかります。現地にいかなければならないことはそれほど多くはないでしょうか、逆にいえばどうなっているのかを自分で目にすることは少ないわけです。業者に任せて完全自動運転、と思いきや、設備更新の検討、あるいはマンションであれば管理組合のことも気にかけなければなりません。距離が離れていると関心が低下する人は少なくありません。利回りの面でも十分な成果を得られているのか、と改めて考えてみるのもいいでしょう。

また、長年海外に住んでいて日本の相続税を払わなくていい状態にある場合も日本の不動産に関しては相続税の対象ですし、相続手続きが必要です。高齢になって不動産の管理が行き届かなくなる、といった場合も早めに手を打っておいた方がいいでしょう。やむなく専門家に依頼をし始めるときには何かと高額です。

売却手続きは煩雑か

書類

売却に向けて集める書類には、取引する不動産に関する書類と、取引する人物に関する書類が必要です。不動産に関する書類は購入したときのものをきちんと保管しているでしょうか。海外に住んでいる場合、住民票や印鑑登録証明書といったものがありませんので、代替書類を準備することで問題ありません。在留期間や個々の状況によって異なるので、一つずつ確認することが大切です。

税金

売却に伴う物件に関する税金は売主が日本人であれ海外在住外国人であれ変わりません。所有期間が5年超かどうかで譲渡所得税率は変わります。また、所得に関する税金は海外に住んでいると控除を受けられるものは減ること、源泉徴収が必要になる可能性があること、納税管理人を選定する必要があること、などが加わってきます。

日本人の場合、書類を揃えやすくするために住民票を入れることを考える人もいるかもしれませんが、その場合は、住民税や社会保険料など、直接不動産と関係ないところで予想外の出費に繋がる可能性はあります。

代理人

海外に住んでいる場合、日本で手続きを進める代理人を選定する必要があります。日本語が堪能ではない場合は特に、信頼できる人物に頼むのがよいでしょう。

もちろん売買契約や引き渡しにおいて自ら立ち会うという選択肢もあります。

売却活動に入る前に

不動産の査定

購入したときに不動産業者のお世話になったとしても時間が経てばリレーションは薄くなりがちです。それに売却を同じ業者にお願いする必要はありません。売ってもいいかな、と思うときは不動産の査定を依頼するところから始めてみてもよいでしょう。マンションであれば査定するまでもなく、大体の取引傾向は調べられます。

売却意思の確定

購入したときもそれなりに書類や手続きがあったのと同じで、売却にも時間がかかります。気になっていても売却をせずにそのままにしている人がいるのも頷けます。ただ、売却意思を示さないことには、売却するチャンスはやってきません。買い手が見つからない限り売却はできませんのですから。

売却意思が確定したら、不動産会社と媒介契約を結び、買い手を探し始めることになります。この段階では、買い手との価格交渉はあっても、そもそも売る気がないものを広告してはいけないので、意思が揺らぐようであれば不動産会社と事前によく話をしておきましょう。

留意すべきこと

売却して利益が出るかどうかは物件次第ですが、それでも高く売れるに越したことはありませんよね。そのためにできることは、売却のための時間を十分に確保することです。そもそも賃貸と違って、売却のための広告を打ったからといってすぐにたくさんの買い手が問い合わせてくるとは限りません。気長に待つことも必要です。

もちろん不動産会社が買主となり買取を行ってくれることもありますが、その後不動産会社は再販する必要があるので、買取価格は相場よりも低いものであると覚悟するべきでしょう。

売却が終わってお金を受け取り不動産を手放したら終わりではありません。日本の不動産に関するものは少なくとも日本で確定申告が必要です。その上で、居住する国でも申告が必要になることもあるので一応確認しておきましょう。ここまでやりきれば終わりです。売却資金で次の投資を考えていきましょう。

売った後のお金の使い途を考えることは、結果的には売却活動を投げ出さないための動機にもなりますので、そこから手をつけるのも一つの方法です。まずは売却が必要なのかも含め、プランニングをするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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