儲かったらそれでいい、そんな風に考えている人も多い資産運用ですが、増えていたとして、それは「十分に増えている」と言えるのかを気にしたことはありますか。ひょっとしたらその増え方では資産運用の効果が半減しているかもしれません。あるいは、資産運用とは気分がいいときにやって、気分を害されたらやめる、そんなものになっていませんか。

お金に関する話は常にアンフェアに人の感情を揺さぶるものです。資産運用においてもQOL(Quality Of Life、生活の質)が存在し、いかに向上させるかを解説します。

資産運用におけるQOLの要素とは

① 安心・安全

実は資産運用というリスクテイクに対して、QOLを求めることは矛盾した考え方であると感じる人もいるようです。

したがって、QOLの高さとは資金が減らないこと、汗水流して稼いだお金がしっかりとそこにあることを意味してしまい、安心・安全=QOLと頭の中で定義をしてしまうと、もはやそれは資産運用ではなくなってしまいます。しかし、ここでは安心・安全=QOLであるという発想を捨て置いてはいけません。

② 資産の増加

資産が増えることをQOLの向上だとすることは多くの人が同意をしてくれるでしょう。資産運用を通じて資産が増えるのであれば、増えた資産を使って何かQOLを高める方法に支出ができるからです。

お金で買えないものはない、とまでは言いませんが、お金があればできることはたくさんあるものです。あるいは人によっては、資産運用というリスクテイクをすることで、資産が増えること自体に喜びを感じ、QOLが高まるという人もいるかもしれません。しかし、多くの人にとっては前者の方がより大きなウェイトを占めることは想像に難くありません。

③ 社会貢献

もう少し視野を広げるならば、社会貢献を掲げる人もいるでしょう。例えば、投資家として、ESG投資などを通じて、社会をより良い方向へと導く、という大義を掲げることもできます。これは本当に素敵なことで、ある意味でのノブレス・オブリージュ(高貴な者の社会的責任)でもあり、そしてそれにより長期的なリターンを稼ぐことができるという、社会とのWIN-WINを目指すものでもあります。

資産運用はQOL向上に繋がる近道

資産運用は確かにマネーゲームの側面はあります。この点において、QOLと結び付けて考えることは机上の空論である、ということも言えるでしょう。ただ、人はお金に翻弄されながら生きていますから、金銭的な自由があるに越したことはありません。自由はないにせよ、お金をコントロールできる状態にあることは、生きていく上で非常に重要なことのように思います。

そうでなくても、最良の投資経験を追求する、ということは必要かもしれません。どこかの企業の株式を買っては金融市場チャートを毎日気にし、そして下がれば塩漬けにして誰にも話さないようになる、これを繰り返すことは日常生活にも支障をきたします。

あるいは、リターンを求めて高いレバレッジをかけた結果、借金を背負ってしまう人すらいるかもしれません。親が人に騙されて投資をし、家族がバラバラになってしまうということもあります。

これらは全て投資“経験”としてその人の記憶、そして心に刻まれます。金融市場というのはそうした人の心のことなどつゆ知らず、昨日のことは忘れ、明日も明後日も前だけを向いて生きていくものなのです。そんな無機質なものに感情移入をしすぎてもいけません。

何も資産運用をしない方がいい、と言っているのではありません。そうではなく、投資の役割と目的をはっきりとさせ、ストレスのない資産運用を心がけることが大事なのです。ストレスを感じるポイントは人によってもちろん異なります。資産運用において最も肝心なのは自分を知ることであるともよく言われますね。

資産運用を通じてQOLを向上させる方法

例えば公的年金によってあなたの老後がサポートされるとしたらあなたのQOLは向上しますか。もちろん、もともとは自分のお金だといえばあれですが、恐らくYesでしょう。

公的年金は資産運用以外の何者でもありません。だとしたらどうやって公的年金はあなたの老後をサポートするのでしょう。同じことを自分の手でできるだけでQOLはきっと向上しますね。気をてらう必要など微塵もありません。

資産運用を通じてQOLが低下する人がたまにいます。特に若い人の場合、老後の備え、などと自分を納得させながらも、せっかく稼いだ給与で欲しい物を買うのを我慢しなくてはならないと思ってしまうことなどがそうです。

もちろん、今と将来の天秤をかけるのは難しいですが、様々な年代の人と交流をして、お金に対する考え方を知ることは一つのきっかけになるかもしれません。例えば昔の不動産の価格や、貨幣の価値、初任給について聞いてみるだけでもなんとなくお金の感覚が身につきます。

そのほかのQOLの低下の例ですと、例えば1,000万円が余っているから何か良い投資商品を探そうと思います。しかし、比較検討をしようにも、果たして提案されたものが良い投資商品なのかどうか、判断することができません。机の上にパンフレットだけを並べつつ、資産運用のイロハ本に立ち返り、そのうち子供に声をかけられて一緒に遊び始めます。お金は結局運用されないままです。

まとめると、資産運用を通じてQOLが向上している状態とは、

  • 適切な量の資金がしっかりと資産運用をされている状態になっていて、
  • かつその資産運用をしていることにストレスを感じず、
  • そして十分に資産が増える軌道に乗っている

状態のことです。

決して簡単ではありませんが、ファイナンシャルプランナーとしてお客様としっかりと対話をしながら、実現へのルートマップを描いていけたらと思っています。

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