香港の李嘉誠が築いた長江グループのインフラ部門、長江基建集団(CK・インフラストラクチャー)。増配を続けた安定企業は今後何を目指すのか。
目次
サマリ
CK長江基建集団 (CK・インフラストラクチャー・ホールディングス、CK Infrastructure Holdings Limited)は、1996年に設立された、インフラストラクチャー業者で、香港を本拠とする。親会社は長江和記実業(CK・ハチソン ・ホールディングス、1:HK)である。
創業者かつ最高経営責任者は、李嘉誠(りかせい)の長男である李沢鉅(ビクター・リー)が務める。
CK・インフラストラクチャー・ホールディングスは長江グループの中でインフラストラクチャー事業を受け持つ。
アジアとヨーロッパで強いプレゼンスを持ち、中核事業はエネルギーインフラ、輸送インフラ、水インフラなどだが、多岐にわたる。持分比率約36%の子会社のPower Assets Holdings Limited(6:HK)も香港上場企業である。
香港内では、Power Assetsが香港島及びランマ島での唯一の電気供給業社であるThe Hongkong Electric Company Limitedを子会社として持つ。また、セメントやアスファルトなどのインフラ素材市場において群を抜く存在である。
香港外での代表的な事業としては、
- Australian Gas Networks Limited・・・天然ガス供給としてはオーストラリアの最大事業者の一つ
- Dutch Emviro Energy Holding B.V. ・・・オランダの再生エネルギーの最大事業者AVRを保有する
- Northumbrian Water Group Limited・・・イングランド、ウェールズ地方における上下水道認可業者10社うちの一つ
- Park’N Fly・・・カナダにおける見送り用空港駐車場の最大事業者
- UK Rails・・・イギリスにおける主要鉄道会社3社のうちの一つ
- Wales & West Gas Networks (Holdings) Limited・・・ウェールズ及びイングランド南西部における天然ガス供給網サービス
インフラ事業の中でも、電力のみならず様々な事業、そして様々な国でのエクスポージャーが存在しており、安定した財務基盤も投資家に認識されている。
特徴
筆頭株主:長江和記実業(CK・ハチソン ・ホールディングス) 約76%
同銘柄は引き続き、李ファミリーによる家族経営銘柄である。
配当利回り:5 – 6%程度(2019年まで連続増配)
外部格付け:S&P A / フィッチ A-(2021年11月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 1038 CKI HOLDING
最近のトピック
21世紀に入ってからは連続増配を行ってきた安定企業であるが、2020年の新型コロナウィルス流行での逆風、とりわけ極端に低い金利環境は良い方向とは言えない。
世界的なインフラ事業における同社のプレゼンスは高く、中国外の活動も目立ったが、2020年には深圳上場のJilin Powerとのジョイントベンチャー設立を発表するなどしている。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。