香港に来たばかりの人であれ、長く住む人であれ、その土地で生まれ育っていない人にとって、良いファイナンシャルアドバイザーがもたらす隠れた価値に気づくことは大事かもしれない。

良いファイナンシャルアドバイザーとは、儲け話を持ってくる存在ではなく、また、あなたの財布からお金を出させるだけの存在でもない。

一人ひとりが持つ人生におけるゴールへ到達するための、安心と安全、そして継続的なサポートを提供する存在である。

本稿では、その具体的な例を解説してみたい。

ファイナンシャルプランニングによるゴール到達

ファイナンシャルプランの基本には当然ながら適切な保険や保障についての計画が含まれる。

生命保険、死亡保障、重大疾病保険、健康保険、収入保障、など一度は聞いたことのある人が多いだろう。広義には、万が一のときに備えて、遺言などの法的な書類を用意することも含まれる。

いずれも断片的にはお金に関わる話だし、あるいは金融にまつわるサービスではある。しかし、そこに“プランニング”は存在しただろうか、あるいは場当たり的に対応した結果、何がどうなっているのか分からなくなっていないだろうか。

効果的なファイナンシャルプランニングでは、キャッシュフローの予測を立てる。一人ひとりがどのような状況に置かれているのか、人生のゴールは何なのかを踏まえ、将来の収入や支出にどのような変化が訪れるのかのシナリオ分析を行う。

ファイナンシャルプランナーを雇うことはそれだけであれば追加的なコストに他ならない。実際にファイナンシャルプランニングを行うことによってどのような効果が期待できるのか、と問うことになる。

人生のゴールというと大袈裟に思う人もいるかもしれないが、本当はやりたいことを実はやっていないし、それを目指してすらいない人というのは意外に多い。

何も誰にでも自慢できるような壮大な目標を立てよ、というのではない。単に楽しく幸せに生きていくために一体何を大事に思っているのか、ということに他ならない。それが結果的には世界を変革するような目標の人もいれば、のんびりと慎ましやかに生きることを目標にする人もいる。

人生のゴールを仮置きすることはそれほど難しくないが、それを自力で達成することほど難しいことはない。人は何かにつけて言い訳をするし、いつの間にか人生のゴールが変わっていることだってある。

ファイナンシャルプランナーとしての仕事は、あなた自身が設定したゴールに対して、あなたが向かっている状態に保つことにある。つまり、ゴールに到達する確率を高めるためにファイナンシャルプランナーを雇うことになる。

感情的な価値

ファイナンシャルアドバイザーの価値について、実際に利用するクライアントに聞くと、半数以上の人が、信頼できるファイナンシャルアドバイザーとのリレーションである、と回答したリサーチ結果もある。

金融市場環境が不確実であっても感情的なサポートが得られるし、老後も安心して任せられるのだと言う。つまるところ、クライアントが最も価値を感じる部分は、本人のニーズを汲み取ってくれ、かつ目指しているものに向かっているという安心感を得るところにあるのである。

資産配分とリバランス

ファイナンシャルアドバイザーは、資産配分に関する効果的なアドバイスができるべきである。どのようなものに支出をするかということから始まり、余剰資金でどのような投資を行うのか、ということも含む。あらゆる投資対象を鑑み、そしてアクセスして分散投資を行い、それがリバランスを通じてポートフォリオとして管理され、最終的にあなたの人生のゴールに近づける。

投資をただ投資として見る人の場合、ポートフォリオを見てみれば、バランスが取れていないし、人生のゴールと何の結びつきもない。なぜそうしているのか、と聞いたら、儲かりそうだったから、くらいの答えしか返ってこないのである。ポートフォリオとはただ気に入ったものを詰め合わせただけの袋ではない。

投資家には感情的な面があり、損失が出ればすぐに損切りをしたくなったり、利益が出ればすぐに確定させたくなったりする。金融市場のダイナミズムとは関係なく動くことによって、たとえインデックス投資のようなものを続けていたとしても、結果的に大したリターンを受け取ることなく終わるケースが多い。人は自分がやっていることを客観的にみるのは非常に難しいのである。

ファイナンシャルアドバイザーは、効果的な資産配分に対するアドバイスを通じて(アドバイスを得なかった場合と比べて)年間1.6%程度、そして適切なタイミングでのリバランスを通じて年間0.4%程度のリターンをもたらすという研究データもある。

アドバイス費用

ファイナンシャルアドバイザーとお金のことを考えるのであれば、ファイナンシャルアドバイスに対して払う費用についても意識を向けることは重要である。

なぜなら、投資家としてあなたが受け取るリターンはその分だけ減ったことになるのだから。高すぎる初期投資費用と継続費用は積み重なってあなたの人生のゴールから遠ざかることに繋がりかねないことを知っておくべきである。

逆にただアドバイス費用を極限まで交渉して節約すればよいというものでもない。タダでアドバイスは手に入らないし、もし手に入るとしたら逆に別のところで何かを失っているのかもしれない。

香港でファイナンシャルアドバイスを得る

ファイナンシャルアドバイス自体はどこの国にいようと普遍的なものではあるが、日本を離れてなお、同様のクオリティのサービスが手に入るとは限らない。

海外ともなればローカルのサービスを利用することもできるが、それが仮にローカルでは賞賛されるサービスであっても、日本人として最大のメリットを享受できるものなのかも分からない。

金融サービスをその場の雰囲気で利用するのではなく、しっかりとしたプランニングにのっとって必要なアドバイスを受けることを意識してみてはいかがだろうか。

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