資産運用をしているというが、それが保険なのか投資なのかはっきり分かっているだろうか。その中でも掴みどころに困っている人が多いIULやVULについて少し話をしてみよう。

IULやVULについて知る

そもそもIULやVULというカテゴリーの金融商品を知らない人の方が多いかもしれない。IULとはIndexed Universal Life Insurance、VULはVariable Universal Life Insuranceの略である。つまり、どちらも保険の一種である。保険であるというからには死亡保障があるわけだが、保険の中でインデックス投資なのか、ETFや投資信託などに投資するのかというところで価値が変動する性質を持っている。

価値が変動するというと分かりづらいので利回りが6%だったり9%だったりした場合の数字を出して例示されるケースが多いのだが、あくまでそうだった場合、という話であって、実際はそうなるとは限らないし、むしろその通りに毎年6%の利回りがきっちり出るなんてことはどちらかと言えば稀なことであるとはいえる。保険なのか投資なのかはぐらかされやすい分野ではある。

保険会社にお金を預けたのだから保険会社が投資のリスクを負ってくれるのではないかと想像する人もいるだろうが、IULやVULにおいて投資のリスクは加入者自身が全面的に負うことになり、保険会社はあくまで保険の機能を提供するにすぎない。

IULとVULのメリット

一言で言えば高い死亡保障と安い保険料である。しかも高額の死亡保障をかけられるから、富裕層向き、相続対策で用いられることになる。

通常の保険契約であれば、(命の価値として)数億円までが上限となるが、資産価値に依存するIULやVULの場合は、上限が3桁億円でも問題はない。(もちろん保険料が払えればという話ではあるが。)生命保険にかかるコストは年齢とともに上がっていく性質があるため、若くして加入すれば、保険料に比して死亡保障は手厚い。もちろん年齢が上がればそのレバレッジの度合いは下がらざるを得ないがそれでも十分検討に値するとは言える。

IULやVULの欠点

当たり前だが、保険を買う最も大きな動機は保障であって家族や大切な人が傘の下でしっかり守られていることにある。では、ある日突然その傘が消えてなくなるとしたらどうだろう。それはどのようなケースかと想像するなら多くの人は保険会社が破綻でもしたときか?と思う。IULやVULの場合はそうとは限らない。高い死亡保障を賄うだけの保険料が内部で工面できなくなったとき、保険契約が強制終了するのである。

いや、もちろん毎月保険料を払っていて自分が払うのをやめたのなら保険契約が強制終了するのはまだ分かる。所定の保険料を払い切ったのち、「実は足りなくなりまして」と言われるリスクがある、という話なのだ。なぜか。(もちろん追加で保険料を払って継続させる道もある。)

IULやVULでは加入者が投資リスクを負って保険会社に預けた保険料を運用して増やす。自分好みの運用ができると言えば聞こえはいいが、運用が想定した通りにいくことを前提に保険料が決まっていることに多くの人は気づかない。そもそも自分が思った通りの投資結果を長年にわたって得ているという人はどれくらいいるだろうか。それも運良く達成できて良かったという話ではなく、達成できることが前提という状況に置かれていたとしたら。

あえてアドバイスするなら

IULやVULは特殊な商品であり、追加的なリスク喚起を行うこととされている。ただ、提供している保険会社はオフショア保険会社に集中しており、(だからというのは変な話ではあるが)正しい説明を受けてリスクを理解した上で契約している人がどのくらいいるかというと疑問が残る。そもそもIULないしVULという商品であるということ自体をはっきりと伝えられていないことで一般知識も検索しづらい状況に置かれることも考えられる。

高い死亡保障と安い保険料は利用者目線なら魅力ではある。でもなぜそんなことを他の保険会社はやらず、その保険会社はできるのか、よく考えてみて欲しい。保険会社目線に立って避けたいリスクは全力で避けているはずなのである。保険加入者として払っているコストはいかほどのものか。

ネガティブな話ばかりではなくて、IULやVULはれっきとした金融商品ではある。使い方さえ間違えなければ強力なツールにはなる。ただ、強力ゆえにやり直しが効かない面がある。大切な資産と家族をちゃんと守ることを第一に思うのであれば、検討は時間をかけて行なっていきたい。

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