最近は、仮想通貨を中心に、短期売買目的なのか、長期値上がり目的なのかを分ける用語として、

「ガチホ」

つまり、ガチ(本気)でホールディング(保有)するという言い方が浸透したように思います。

ガチホとは、一度購入(投資)したらすぐに売らず、意図的に長期保有すること。もう少し細かく言うなれば、評価損を抱えた“塩漬け”のようなネガティブな保有継続ではないことも何となく意味しているようですね。

果たして、投資におけるガチホは良いのか悪いのか、そしてその極意はどこにあるのでしょうか。

回転売買をしなくなった証券マンが今度はガチホを主張し始めるのはなぜか

証券投資といえば証券マンが、何度も電話をしてきて、回転売買をさせられた、というような話も過去にはありました。

最近はやや減ったようにも思いますが、そもそもこの回転売買の動機は何だったかというと、取引手数料で儲けるビジネスモデルにあったと言えます。つまり、短期的に買いと売りをさせることによって、投資家が損したか得したかは置いておいても、証券会社は儲かったわけです。

もちろん凄腕の証券マンであれば、投資家を勝たせることができたかもしれませんが、利害の方向性としては一致していないことは言うまでもありません。

この観点から言えば、投資家にとって短期売買はメリットが薄い、と考えられます。こうした関係性のもとに、むやみに損切りをしたり、利益確定をしたりしない方がいいときがあるからです。

こういった荒っぽい稼ぎ方も時代とともに否定的な見方が強くなり、そのなかで起こったのが、最初に厚めの手数料をとって、そのまま長期保有をさせる方法でしょうか。

あるいは解約手数料が高くて、一度投資をしてしまうと長期保有をする羽目になるケースです。もちろん、長期も長期で5年どころでなく、20年くらいの場合もあります。

この場合、顧客に短期売買はさせていませんが、逆に投資の出口を塞いでしまっており、長期投資推しで、顧客フレンドリーかと思いきや、ガチホした方がいいがガチホせざるを得ないにすり替わってしまうわけです。

ガチホを強要されることにどう向き合えばいいのか

短期投資なのか長期投資なのかは投資家のスタンスの問題ではありますが、より安心して見ていられるのは長期投資であることは何となく分かるでしょう。

しかし、ようやく納得して始めた長期投資が、「ガチホせざるを得ない」投資であっては元も子もありません。

一方で、毎日のように金融商品の価格は動きますから、ガチホの意思を固く持ち続けることもまた、難しいという人がいます。だったら一層のこと、ガチホせざるを得ないよう、縛り付けておいてくれ、とでも言わんばかりの人もいます。

さて、このガチホのジレンマ、どう向き合えばよいのでしょうか。

そもそも、ガチホすべき投資とガチホすべきでない投資がある

株式やファンドにしても、短期的な動きはさておき、長期的に値上がりすればよい、と考えるのは自然です。ただ、この「長期的に値上がりする」をどのように担保すればよいのでしょうか。ここにガチホすべき投資とガチホすべきでない投資の大きな壁があります。

  • 日経平均株価連動の投資信託はガチホすべき投資でしょうか?
  • ○○という航空会社の株式はガチホすべき投資でしょうか?
  • 原油のETFはガチホすべき投資でしょうか?

この答えは目的によりますが、投資はすべからくガチホすべきである、ということにはならないこと、何となく分かるでしょうか。一度値が下がってしまえばもう二度と元の水準には戻らないし、それを超えて上昇もしない、そう結論付けられるものもなかにはあるでしょうから。

ガチホする(=長期的に維持する)のは銘柄ではなくアロケーション(配分)であるべき

一部の銘柄の中には、長期投資に向いている=ガチホに適したものもありますが、実際にはガチホしてしっかり利益が上がった後にすら手放したくなくなる現象が起こってしまいます。

個人的には、投資ポートフォリオとはそれぞれの構成銘柄に役割があり、全体としてのパフォーマンスを期待し、そして評価すべきだと思います。

当然ながら構成銘柄毎のパフォーマンスは、見るタイミングによって変わってきますから、全ての構成銘柄がいつなんどきも、プラスのリターンを挙げているということはあまり想定されません。

勝った銘柄により多くの配分(アロケーション)をしたり、あるいは一時的なパフォーマンスが悪いからといって配分を削減をしたりする、という紋切り型な対応をする必要もありません。淡々とポートフォリオのリバランスをするだけでよいときもあります。

やはり、ガチホするべきは銘柄ではなくアロケーションであるべき、と思います。

一方、個人でリバランスをするのは現実的ではないかもしれませんし、そもそも手数料がかかりすぎて、リバランスをするだけの機動性を持っていないポートフォリオであることも想定できます。この点は、今現在置かれている状況を踏まえながら、整理をして意思決定をするのが大切です。

投資におけるガチホの極意、少しは見えてきたでしょうか。

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