新年、明けましておめでとうございます。2021年を迎えました。令和の時代の到来を喜んでからもう3年目に入ろうとしています。時が流れることの何と早いこと。

昨年は新型コロナウィルス流行による自粛生活の中で、金融市場が荒れ、そして空前の活況となり、新たに証券口座を開設したという人も多かったと聞きます。その後の皆様の資産運用はどのようになっているでしょうか。もともと資産運用に時間を割いてこなかった人にとってはこれから訪れるであろう日常への回帰は資産運用離れを引き起こしますから、もしまだ投資熱があるのであれば今のうちに資産運用における自動運転へ切り替える術を検討するのも一つの手でしょう。

さて、昨年は4年に一度の米大統領選挙があり、金融の主戦場であるアメリカに注目が集まりましたが、金融政策も財政政策も拡張傾向となったことで、金利はさらに低下し、つまり債券価格が上昇するなかで、株価も上昇するということになりました。経済危機は訪れても、金融危機だけは起こさない、そんな思惑を感じさせる年でした。ただし、いずれ出口戦略はやってきます。米、中、日それぞれのことにも触れながら2021年の先行きをざっと展望してみることにしようと思います。

1 2021年のメインシナリオは?

2021年のビッグイベントは(希望も含めて)新型コロナウィルスの収束でしょう。残念ながら、全ての始まりともなった、WHOの出した緊急事態宣言というのはそう簡単に撤回されませんから、1年で完全に日常に戻るとは思えませんが、少なくともワクチンの流通によって、事態は好転していくことが期待されます。人類が幸運であれば、ワクチンなくしてウィルスが消えていなくなる、あるいは集団免疫獲得などで乗り越える可能性もあるでしょう。

問題は、新型コロナウィルスの収束後、いわゆるポストコロナをどのように思い描くか、という点です。この1年で起きたことは大型テクノロジー企業への資本の流入を促し、結果として社会の変革のスピードを早めました。その中で淘汰された伝統的な企業も多かったことでしょう。大きく膨らんだテクノロジー企業への期待が萎む瞬間が来るとしたら、非常に大きなショックとなることも想定されます。テクノロジー企業が持つ影響力も国家級になり、その制御に苦心する様子はアメリカでも中国でも見え隠れしています。

特に中国は習近平国家主席のもと、共産党の設立から100年という節目の年を迎えます。本来出ていくはずだった外への需要をこの1年でしっかりと国内で回転させ始めた、世界最大の人口の国が、次に目指す目標に注目が集まります。市場開放を促しつつも、国内の企業への統制を強め、デジタル人民元の推進などを力強く推進していくことでしょう。中華思想を顕現する国ですから、対外的にも一帯一路を通じて勢力拡大をし続けるでしょう。香港も大湾区構想という大きな実験場のもと、貿易と金融を中心に発展していくことが期待されています。

国際関係でいえば、国防面での緊張はやや高まりつつあるとの声も聞かれます。中東では国交正常化などを通じて局面が変わりつつあるので、東アジアに目線が移ってくる可能性もあります。奇しくも新型コロナウィルス流行を通じて、“主権国家”の意味が強く意識されるようになったことで、外交面でも駆け引きが続きそうです。

日本の場合、米中の狭間にいつつ、経済戦争である限りにおいて、「どちらの陣営につくか」という話ではないので、両者と、そしてそれ以外の地域とも上手く渡り合っていかなければなりません。引き続き、日本発の材料で日本の金融市場が動くことは見込みづらいですが、国際関係が緊張するほど、日本には漁夫の利のチャンスが巡ってきやすいものと思います。

2 2021年のブラックスワンは?

ブラックスワンとしては、バイデン大統領の任期中退任だとか、米長期金利の急騰だとか、第二次新型コロナウィルス流行だとか、がメジャーなわけですが、どうせ文字を割くのであれば、私からはあえて、原油価格が上昇するオイル・ショックを挙げてみようかと思います。

2020年のブラックスワンは新型コロナウィルスだと認識されている割合が高いわけですが、思い出してみてください。最も大きなトリガーはサウジアラビアのOPECでの協調減産拒否からの増産でしたよね。引き起こされたのは原油価格の暴落でしたが、これは意図的なものでした。その後サウジアラビアはノルウェーのエクイノールや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、仏トタル、イタリアENIなど欧州の石油企業の株式を取得していますし、それ以外にも積極的に投資を行ったことが知られています。

各国が電気自動車(EV)への移行のルートマップを示すなど、原油離れが進むことが近い未来に起こるとして、サウジアラビアとして原油でもう一稼ぎをしよう、それがまた世界経済の混乱に繋がれば、一気に脱原油のための買収を進めよう、と考えるとしたらどうでしょうか。各国は経済回復に向かう中で原油需要も回復し、一方で国際的な緊張が高まって原油需要も加速し、そして拡張的な財政政策の中でインフレ傾向が進む、全てが追い風、、

なんていうことはブラックスワンを当てるためのうそぶきになることは期待します。

あとは、コンピュータウィルスの拡散によるデジタル国家戦争の勃発でしょうかね。起こったら、世紀末級の恐ろしさでしょう。

さて、2021年のテーマはそうは言っても「回復Recovery」だと思います。

しかし、傷跡が深ければ深いほど立ち直りは遅くなりますし、そして安心しているときほどショックには弱く、怪我をしやすいものです。楽観的になりすぎず、慎重に舵をとっていけるかが2021年以降は問われるように思います。

3 景気サイクルの底は脱したのか

長短金利の逆イールド状態がリセッションの兆し、などと言われた後にリセッションがやってきましたから、今は景気の底だ、と考えてよいのでしょうか。景気には大きな波と小さな波が存在します。それにしてもリセッションというのは1年やそこらで終わるものか、疑問に思うところです。

実体経済と金融市場の乖離が続いている以上、いつかは正常化するものとは思います。実体経済が追いつくのか、金融市場が退くのか、です。でも、問題はいつなのか、は分かりません。金融危機のシグナルが今時点であるわけではありませんが、資産価格が全般に高騰した今、全面的にさらにポジティブなムードになったときはその後の巻き戻しに注意が必要です。

とはいえ、いつもリセッションを気にしていては何も手につかなくなってしまいます。個人投資家に未来予知などできるはずもありませんし、四六時中金融市場を見つめ続けるわけにもいきません。しっかりと分別のある投資家として、リスク管理をしっかりとして着実に未来に向かって歩んでいきたいものです。