長い歴史を持つグローバル銀行である匯豐控股(HSBC・ホールディングス)。香港最大の銀行であり、よりアジアの富裕層向け事業へ注力する。
目次
サマリ
匯豐控股(HSBC・ホールディングス)は、1865年に設立された香港上海銀行(The Hongkong Shanghai Banking Corporation Limited)にルーツを持つ、名実ともに香港最大の銀行である。英国から中国への香港返還を前に、1991年に英国ロンドンへ登記上の本社を移転した。現在のHSBCグループの本社はバーミンガムにあるが、香港への再移転案も過去(2015年頃)には論じられた。
世界屈指の金融グループであり、商業銀行、投資銀行、リテール銀行、プライベートバンキングの4部門を持つ。日本でもHSBCプレミアという個人富裕層向けのサービスを展開していたが、2012年に撤退し、現在は法人向けのサービスのみ。
ちなみに現在のロゴは1998年に発表された統合ブランドの導入で、「ヘキサゴン(六角形)」が採用されたものである。
香港ドル紙幣を発行する民間銀行の一つであり、1993年の香港金融管理局の設立までは香港の中央銀行の役割を果たしていた。1965年に香港で最大の華人系銀行であった、ハンセン銀行が破綻した際、過半数株式を取得したため、現在もグループ傘下に収めている。
金利が市場最低水準で推移し、利ざやを圧迫する中で、香港でのバーチャル銀行誕生による競争激化への対応、あるいは中国市場への参入戦略を立てることが経営課題となっている。
特徴
筆頭株主:中国平安保険集団(ピンアンインシュアランス)8%
同銘柄はロンドン、香港、ニューヨーク、パリ、バミューダの証券取引所に上場しており、130カ国、約19万7,000人の株主が保有(HSBCホームページより)。
配当利回り:5−7%程度
外部格付け:S&P A- / ムーディーズ A3 / フィッチ A+(2022年5月時点)
株価推移
TradingView提供チャート 5 HSBC
最近のトピック
中国は2020年9月19日、中国の国家安全保障を損なう外国企業や個人に制裁を科す制度を新設しており、中国共産党系メディアの環球時報が「HSBCは信頼できない企業リストに掲載される可能性がある」と報じた。
米中の狭間に置かれ、苦境を強いられることが予想されるなか、新型コロナウィルス流行による業績悪化を踏まえて、異例の配当支払い停止を行ったことは一部の投資家の反発を招くなど影響が大きかったとされる。配当については2020年分を2021年4月に再開し、また予想を上回る収益を受けて2021年の中間配当についても行った。
今後、HSBCは中国を中心とするアジアの富裕層向け事業への傾斜を高めるため、マネジメント層の配置転換などを行っており、専門の資産管理センターなどを設置したり、子会社のHSBC Lifeを通じた保険販売に力を入れる。
アジア事業への比重が高まったことで、2022年には、アジア事業をスピンオフ(分離・独立)し、個別上場させる案が協議されている。
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*本稿の内容はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です。また、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。