みなさんは金融アドバイザーとはどのような職業だと思っているでしょうか。
金融商品を売ってくれる人?確かに「何かいい投資商品ありますか?」という聞き方をする人は少なからずいます。
この時点で、“何かいい”投資商品を探すのにあなたはどれだけ時間をかけたのでしょうか。
とことん自分で探した結果なかったので、金融アドバイザーに意見を求めるという人、あるいはとりあえず金融アドバイザーの意見を聞くことからスタートしてその中で自分の納得のいくものを選別すればいいやと思っている人、様々ですね。
どちらのパターンにせよ、そもそもみなさんにとって投資商品選びは楽な作業なのでしょうか、そしてそれは金融アドバイザーとしての価値を提供したことになっているのでしょうか。
「一般の人が一年間で資産運用に割く時間」という切り口で解説してみます。
目次
1日の中で割く時間
一日のルーティンはどのようになっているでしょうか。
イメージはきっと仕事をしている日、多くの場合平日がいいでしょう。
朝起きて、経済ニュースを見るでしょうか、あるいは電子版の新聞を見る人もいます。株に興味がある人は株価の欄だけ見るのかもしれません。YoutubeやTwitterだという人も最近は多いかもしれませんね。
<15分>
日中は金融の職業でもない限り、資産運用のことを考えることはないかもしれませんね。お昼休み、同僚や友人と食事をするのが楽しみです。これもきっと資産運用とは関係ありません。
<0分>
午後、仕事の忙しさが和らいで、ふと気になった経済ニュースをグーグルで調べてみます。なんか面白そう、と思ってついつい読み進めますが、誰かから声をかけられてやめます。その後は大人しく仕事に戻ります。
<30分>
夕方、今夜は友人と食事をする予定なので、早く仕事を切り上げようと頑張ります。そして、そそくさと職場を去り、ハッピーアワーに間に合って、そこからは友人との恋愛トークや昔話、ビジネスの話に花を咲かせます。
<0分>
帰途につき、ようやく一人の時間ができます。なんともいい気分なので、家でもう一杯だけ飲んで、お風呂に入ったらそのまま就寝です。ふう。
<0分>
計45分
1週の中で割く時間
1週間が経ちました。
イメージは週末です。
少し早起きをして、健康づくりにとジョギングをします。犬の散歩をしているご近所さんとすれ違い、挨拶。
帰ってきてシャワーを浴び、コーヒーでも飲みながら、一応プライベートのメールボックスでメッセージや未読のSNSがないかを確認しておきます。大丈夫、急用はなさそうです。
いくつかメールマガジンがきていて、さっと開いて興味がありそうなものを流し読みします。そういえば今週は金融市場が結構動いたなぁ、なんでなんだっけ。フォローしている人のコメントを探してみます。
ふむふむ、それっぽいことを書いてあるが、私の意見は少し違うな。おっとっとそうこうするうちにお昼が来てしまう。
<45分>
午後は家族サービスタイム、天気も良いので家族と一緒に買い物に出かけます。あるいは子どもが出場するスポーツの試合の応援に駆けつける場合もあるでしょう。
<0分>
夜は家族揃って自宅で食事。家族からの一週間の報告をふむふむと聞きます。少しお酒が入ってちょっぴりお説教じみたことも言いはじめる頃には、子どもたちは自分の部屋に逃げ込みます。
<0分>
束の間の夫婦の時間。今度行く海外旅行のプランについて色々イメージを膨らませます。そして、どちらからともなく家族会議の話題に発展します。片方は乗り気ですが、片方はそうでもありません。
子どものこと、家計のこと、別居している両親のこと、頭の痛くならない話というわけにもいきません。将来のことは色々考えないといけないなぁ。とにもかくにもお金かぁ。どこかからお金が降ってこないかなぁ。
<30分>
就寝前にスマホを見ると、ニュースの通知が。おや、金融市場が動きそうなネタが飛び込んできた、週明けには●社の株でも買っておくか。
<15分>
計90分(土日合わせて)
1ヶ月の中で割く時間
カレンダーをめくり、1ヶ月が経ったことを実感します。
いやぁ忙しかった。仕事のプロジェクトは思ったよりも上手くいっているし、チームメンバーも成長の色が伺える。ただ、あいつとあいつは仲が悪いんだが、何とかならないものか。
無事、前回の仕事の報酬も入ってきたし、パーッとチームに美味しいものでもご馳走してやるか。いや、待てよ、それもやってはやりたいが、この前の家族会議でやっぱり将来のことが気になっていたから、何か対策ができるか考えてみよう。
両親を老人ホームに入れるとしたらいくらくらいだろう、子どもが海外留学に行きたいといったらどれくらいだろう。うわぁ、せっせと海外旅行に行くわけにも行かなくなりそう。
よっしゃ、何か今から備えができないか、資産運用の方法でも調べて見るか。〜休日返上、徹夜気味。
うーん、それっぽい方法は見つかったが、基礎知識がなさすぎて踏み込みづらい。この前買った●社の株式もずいぶん下がっているが原因はよく分からない、塩漬けしておけばそのうち戻ってるだろう。
<5時間>
計5時間
1年の中で割く時間
ちょっと断捨離がてら、資産の棚卸しをしてみます。
また一つ歳をとってしまったが、果てさて資産の状況はどうだろう。悪くはない。増えてはいる。稼ぎが良かったからだ。
運用口座の状況は、、増えて、は、いる、が理由はよく分からない。そういえば思いつきで●社の株式買ったんだっけ。結局、放ったらかしだったわけだし、振り返っても何かが変わるわけではない。まぁ次の一年もしっかり働いてちょこちょこ運用口座に移していけば大丈夫だろう。
<1時間>
計1時間
資産運用の成果はかけた時間に比例はしない
さて、一般の人は一年間で資産運用にどのくらいの時間を割いたのでしょうか。
平日と週末は1日45分計算だったので、45分×52週
1ヶ月あたりは5時間 5時間×12ヶ月
1年あたりは1時間 1時間×1年
なので、
年間通算 100時間
です。
みなさんはこの例に登場する人よりも、難しいことを考えていますか、もしそうだとしたらより多くの時間を割いていますね。あるいは、経済ニュースなどに目を通すこともなく、そこまで時間をかけられていないでしょうか。
もちろん人生のタイミングによって時間は違いますが、果たしてこの100時間、捻出し続けることができますか。
悲しいかな、資産運用の成果というのは本人の努力とは基本的に関係がありません。
100時間かけたからといって、1時間よりも資産運用の結果が良いわけではないのです。
だからこその資産運用だし、「お金に働いてもらう」という概念が存在するのです。
資産運用を開始した後は、あなたが死に物狂いで働いていようが、どこかのビーチでカクテルを飲んでいようが、運用が上手くいくときはいくし、いかないときはいかないのです。
仕事に熱心であっても、資産運用そのものに対して、楽してようが苦労してようがそんなことはお構いなしです。
だからといって、何の装備もなしに挑んだところで、思うような結果は得られません。
実際そのことをよく分かって、まずは勉強から!と始める人は少なくありませんが、やったらやっただけ成果が上がるわけではないと感じて嫌気がさすことはありますよね。当然です。
一体どうしたらいいのか、と途方に暮れて資産運用からいつしか離れてしまう人はいるでしょう。
金融アドバイザーは資産運用のことを考える時間は長いか
答えは、人による、でしょうか。ぶっちゃけ金融アドバイザーはピンからキリまでいます。
でも、少なくとも一般の方々よりも長いとは思います。
毎日朝起きて、経済ニュースをチェックしない人は流石にいないのでは、という気はします。ただ、逆に朝から晩まで、金融市場だけ見ている、というわけにもいきません。それだとトレーダーみたいな感じですからね。
上手く時間をやり繰りしながら、金融市場に触れる時間は出来るだけたくさんとり、最新の情報も踏まえながらお客様と話すということになろうかと思います。
金融アドバイザーの存在意義
さて、お金について考えた上記の100時間で果たして本当に、資産運用を具体化するところまでいけたでしょうか。
多くの時間はその前段となる経済動向の理解だったり、家族のお金の悩みだったりしましたね。確かに株式を買うところまでアクションはできましたが、でも株価がなぜ上がったり下がったりしたのか、理解もしていません。
このことは、“投資商品を見極める”までに割ける時間を一般の人は捻出ができないことを意味しています。一方、家族会議には十分な時間がかけられたかというとどうでしょうか。もっとしっかり話し合うべきポイントがありそうです。
しかし、このどのプロセスもまた、資産運用を成功に導く上で、非常に重要であることは何となく分かっている人が多いのではないでしょうか。
家族でしっかり話し合うべきこともあるし、経済のことも分かっていないといけないし、いい投資商品を見つけないといけないし。
全てが大切なことではあります。
しかし、避けて通れないのはどこでしょうか。
1年に100時間しか捻出できないとしたら、その避けて通れない部分が大きくなれば、実際の運用手法について考える時間は減るわけです。あるいはそれを補おうとすれば日常を圧迫されストレスを感じるわけです。あなたが悪いわけではなく、優先順位の問題です。
優先順位を変えられないなかで全てのことをこなすためにはやはり金融アドバイザーの力を借りた方がいいタイミングがきます。
逆に、金融アドバイザーは投資商品の知識だったり経済のことだったりはみなさんよりも時間をかけられる存在ですが、みなさんのご家族のことを勝手に決めるということはできませんね。
もちろん、家族がいなくて自分のことだけ考えていればいいとき、仕事が忙しくなくて時間があるときは相対的には他人の力を借りる必要性は薄れるかもしれません。資産運用は自分でできます、という人がいるのも事実です。しかし、最初から全部自分でやることを選んでしまった人は、忙しくなったら優先順位に従って手薄になります。
繰り返しますが、資産運用の成果というのは本人の努力とは基本的に関係がありません。もし関係がある状態になっているとしたら、やはりそれをあなたが職業にしてしまっているのです。
まとめ
少し数字が細かい上に、様々な仮定を置いていますが、要は、人は“考える”ことに多くの時間を割いているということを数値化してみるとこんな感じ、ということです。考えた上で、“意思決定する”までにさらに時間を割くであろうことは言うまでもありません。
もちろん資産運用はやってて楽しいと思えることもたくさんありますが、堂々巡りになってしまったり、うまくいかなくてイライラすることもあります。それも人生と思うか、あるいはもっと別のことで喜怒哀楽していたいか、そういうポイントです。
限られた人生の時間ですから、金融アドバイザーを上手く利用することで、よりストレスのかからない資産運用ライフを目指していただけたら幸いです。