異国の地で生活するとして、普段は困らないものの、いざとなったらとことん困るのが医療の問題です。何かあったときに対処できるように基礎的なことを理解しておきましょう。本稿では、香港の医療事情、そして医療保険(健康保険)の事情についてまとめてみます。
目次
香港の医療事情
香港に来るときに予防接種を義務化されているケースはあまり多くないことに見て取れるように、公衆衛生上は比較的安心感のある地域ではあります。(*最新の情報を確認するようにしてください。)
医療の面で見ても、外国人が多く暮らす地域でもあるので、様々な医療ニーズに応えられるようになっています。言葉の問題が気になる人もいると思いますが、私立病院の多くは日本語でのサービスに対応しています。
公立病院の場合、居住者証明であるHKIDを持っているかどうかで費用が変わります。IDカードがあれば、診察代がHK$100程度と安くはなりますが、当然ながら誰もが利用するので待ち時間が非常に長い(3〜4時間なども普通)です。
在住歴が長くならないと、公立病院はややハードルが高いと感じてしまうかもしれません。ちなみに、救急車を呼んだ場合は公立病院に運ばれますので、大事に至る前に私立病院に行くことを意識しておくといいかもしれません。
香港の医療費水準は高いか
一般論として、香港の医療費は高額です。アメリカほどではありませんが、日本人が安心して利用できるような、設備やサービスが整った病院であれば、数日の入院で軽くHK$10万を超える請求になったりします。
私立病院の一回の診察代はHK$1,000程度と思っておいてよいでしょう。少し体調を崩したくらいで医者にかかるのは気が引けるかもしれませんね。
大きな病気の心配以外にも、歯科診療を望むことは多いと思いますが、これについても香港は高額です。安心感の問題もあってか、日本にわざわざ帰国をして治療する人も中にはいます。
駐在員や出張者の場合は、会社で海外旅行保険に加入していることがありますから、まずはその契約内容を把握して、その上で上乗せ分が必要かどうかを検討することになります。
香港の医療保険(健康保険)事情
香港には公的な医療保険(健康保険)はありませんので、医療保険への加入は任意です。
従業員の福利厚生の一環として、団体医療保険に加入する会社もありますので、その場合、従業員だけなのか、従業員の家族も含めてなのかはお勤め先によります。
香港には民間の保険会社が多数あるので、医療保険だけでも様々な選択肢があります。最低限の保障を付与する方法もあれば、メディカルツーリズムのようなことも想定して、アメリカやシンガポールなどでの治療もカバーする医療保険もあります。
保険なので年齢に応じて保険料が変わってきますが、かなり手厚いプランにしたとして、40代でHK$20,000、50代でHK$30,000くらいを年間保険料の目安に考えるとよいかもしれません。昨今のインフレの波は医療費にも及んでおり、保険料が毎年上がっていく、というのも一般的です。
キャッシュレスサービスの利用
保険会社や保険のプランによってはキャッシュレスサービスが利用できます。とても便利ですね。医療保険カードを持って病院に行くようにしましょう。支払い時で構わないケースもあれば、事前に保険会社に連絡をしておかなければならないケースもあります。
キャッシュレスサービスを利用していたとしても、保険のプランによっては、支払い限度額や自己負担額、あるいは保険適用外の項目などがあったりします。
キャッシュレスだからといって料金の自己負担が全くない、と思い込まないようにしましょう。
自己負担額の設定は、医療保険の目的が、万が一の際の高額請求に耐えられるようにするものなのか、あるいは普段から気軽に病院を利用するためのものなのかで少し変わってきます。医療保険への加入を通じてどのような安心を得ておきたいのかをよく考えましょう。
民間の医療保険に加入すべきか
保険はあくまで保険なので、何かあったときのものです。
病院にあまり行かない場合はやはりメリットが薄れたと感じてしまいます。一方で、慣れない海外生活で体調を崩すことは多いですし、あるいは海外生活を満喫するために健康にお金をかけることは意外と重要だったりします。
また香港で提供されている民間の医療保険の多くは、アジア地域の医療機関をカバーしており、もちろん香港の医療機関は何かと便利ですが、その他の国で治療等を受けることもできます。
近年はバーチャル保険会社の台頭も目立ちます。基本は香港在住者対象ですが、保険料を安くしたい、あるいはVHISという税控除対象プランが欲しいという場合は有効かもしれません。
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より安心を求めて日本で治療する場合も保障の範囲に入ることがありますので、予め契約内容を確認すると良いでしょう。